「35歳の男性。インスタント麺ばかり食べている。全身がだるく、最近は下肢にしびれがみられる。膝蓋腱反射は減弱し、近医でビタミン不足と言われた。」不足しているビタミンはどれか。
正答:2
正答:2
インスタント麺に偏った食生活で全身倦怠と下肢のしびれが出て、膝蓋腱反射が減弱している。ビタミンB1の欠乏による脚気。正答は2。
食生活の偏りと末梢神経障害・腱反射減弱から、欠乏しているビタミンを特定できるか。
ビタミンB1(チアミン)は糖質の代謝に必要な補酵素で、不足すると神経と心筋がエネルギーを作れなくなる。精白した炭水化物に偏った食生活や大量の飲酒で欠乏しやすい。欠乏すると、末梢神経が障害されて下肢のしびれ・感覚障害・腱反射の減弱が起こり、全身の倦怠感が出る。これが脚気。進むと下肢の浮腫や心不全(脚気心)に至る。ビタミンAの欠乏は夜盲症と皮膚・粘膜の乾燥、ビタミンB12の欠乏は巨赤芽球性貧血と亜急性連合性脊髄変性症(深部感覚障害と腱反射亢進が主で、減弱ではない)、ビタミンDの欠乏はくる病・骨軟化症で、いずれも本例の所見と合わない。
B1とB12はどちらも神経症状を起こすが、B1は末梢神経で腱反射が減弱、B12は脊髄後索・側索で深部感覚障害と腱反射亢進が主。腱反射の向きが逆になるのが分かれ目。インスタント麺という記述は糖質に偏った食生活を示し、B1の欠乏を示唆する。
ビタミンB1欠乏症:脚気(末梢神経障害と心不全)、ウェルニッケ脳症(眼球運動障害・失調・意識障害、アルコール多飲者に多い)、コルサコフ症候群(健忘・作話)。脚気は乾性(神経症状主体)と湿性(浮腫と心不全主体)に分かれる。B1を多く含むのは豚肉・玄米・大豆・うなぎ。アリシン(にんにく・玉ねぎ)と結合すると吸収が上がる。日本では精白米食が普及した時代に脚気が流行し、麦飯や副食の改善で減った歴史がある。
ビタミンを4つ並べ、神経症状を起こすものを2つ置く。解法は、(1) 食生活の偏りから欠乏しやすいものを推定、(2) 腱反射の向き(減弱か亢進か)で末梢と中枢を分ける、(3) 一致するものを選ぶ。
インスタント麺に偏った食生活で糖質に偏り、ビタミンB1が欠乏した脚気。末梢神経が障害されて下肢のしびれと膝蓋腱反射の減弱、全身倦怠が出る。ビタミンB12の欠乏では脊髄後索・側索が侵され腱反射は亢進するので向きが逆。ビタミンAは夜盲症、ビタミンDはくる病・骨軟化症。