「28歳の男性。職場でハラスメントを受けている。腹痛と下痢がひどく、出勤途中に数回トイレに行く。血便はなく、休日は症状が出ない。舌質は淡紅、舌苔は少、脈は弦を認める。」疾患として最も適切なのはどれか。
正答:3
正答:3
ストレスで腹痛と下痢が起こり、出勤途中に何度もトイレへ行くが、血便はなく休日は症状が出ない。過敏性腸症候群。正答は3。
消化管の機能性疾患と器質性疾患を、血便の有無と症状の状況依存性で分けられるか。
過敏性腸症候群は、器質的な病変がないのに腹痛と便通の異常が続く機能性の疾患で、脳と腸の相互作用の乱れが背景にある。ストレスで悪化し、休んでいるときや睡眠中には症状が出ないのが特徴。本例は職場のハラスメントという明確なストレス源があり、出勤途中に症状が集中し、休日には出ない。血便がないことも器質的病変を否定する。潰瘍性大腸炎は大腸に慢性の炎症が起こる器質性疾患で、粘血便が続き、休日でも症状は消えない。胃食道逆流症は胸やけと呑酸が主で、下痢は起こらない。機能性ディスペプシアは上腹部の痛みや膨満感、早期満腹感が主で、下痢は主症状ではない。
血便の有無が器質性と機能性を分ける最も重要な手がかり。血便があれば炎症性腸疾患や大腸癌を疑って医療機関へつなぐ。また症状が状況に依存する(休日は出ない、睡眠中は出ない)のは機能性の特徴。体重減少・発熱・夜間の症状・貧血があれば器質性を疑う警告徴候。
過敏性腸症候群は便通の型で下痢型・便秘型・混合型・分類不能型に分かれる。診断はローマ基準で、腹痛が排便と関連し、便の頻度や形状の変化を伴うことを見る。警告徴候(血便、体重減少、発熱、夜間の症状、貧血、50歳以上の初発、家族歴)があれば器質性疾患の検索が要る。東洋医学では肝の疏泄失調が脾を乱す肝脾不和として捉えられ、ストレスで悪化し下痢の後に腹痛が軽くなるのが特徴。
消化器疾患を4つ並べ、器質性と機能性、上部と下部を混ぜる。解法は、(1) 症状の部位(上腹部か下腹部か)を確認、(2) 血便の有無で器質性を除外、(3) 状況依存性で機能性を確認。
職場のストレスで腹痛と下痢が起こり、出勤途中に集中し休日には出ない。血便もない。器質的病変のない機能性の疾患で過敏性腸症候群。潰瘍性大腸炎は粘血便が続く器質性、胃食道逆流症は胸やけと呑酸、機能性ディスペプシアは上腹部の症状が主。血便の有無と状況依存性が分かれ目。