感染予防のための手指衛生で正しいのはどれか。
公式正答:1
解説
感染予防のための手指衛生で正しいものを問う。石けんは十分に泡立てることである。
この問題で問われていること
手洗いの効果を高める条件を説明できるか。
しくみから理解する
石けんを十分に泡立てることには、①泡が皮膚の表面に広がり、汚れと微生物を包み込んで浮き上がらせる、②界面活性の作用が発揮される、③摩擦により物理的に除去しやすくなる、という意味がある。泡立てずに使うと、石けんが皮膚全体に行き渡らず、効果が下がる。加えて、①流水で行う、②手のひら、手の甲、指先と爪、指の間、親指、手首まで洗う、③少なくとも15秒以上(一般に30秒程度)かける、④よくすすぐ、⑤ペーパータオルで押さえるように拭く、という手順が伴う。
選択肢ごとの確認
洗面器に溜めた水で洗うことは誤りになる。溜めた水では、洗い落とした微生物が水の中に残り、再び手に付着する。必ず流水で行う。
水分を拭きとるタオルを共用にすることも誤りになる。共用のタオルは、湿った状態で微生物が増殖し、手を介して伝播させる。使い捨てのペーパータオル、または個人専用のタオルを用いる。
塗布したアルコール消毒液を紙で拭き取ることも誤りになる。アルコールは、乾くまでの間に効果を発揮するため、拭き取ってはならない。適量(一般に3mL程度、手のひらにくぼみができる量)を取り、手指全体にすり込んで、乾くまで(15〜30秒程度)擦り合わせる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、①溜め水、②タオルの共用、③拭き取り、の3つになる。いずれも「せっかくの効果を打ち消す」行為になる。手指衛生の原則は、①流水と石けん、または擦式アルコール製剤、②手の全面に行き渡らせる、③十分な時間をかける、④乾かす(拭き取る/乾くまで待つ)、になる。加えて、手洗いとアルコールの使い分けを押さえる。目に見える汚れがあるとき、そしてノロウイルスやクロストリディオイデス・ディフィシルなど、アルコールが効きにくい病原体が想定されるときは、流水と石けんによる手洗いを行う。
理解を深める
手指衛生を整理する。世界保健機関が示す5つの場面(手指衛生の5つのタイミング)=①患者に触れる前、②清潔・無菌操作の前、③体液に曝露された可能性のある後、④患者に触れた後、⑤患者周辺の環境に触れた後。手指衛生の方法=①擦式アルコール製剤(速効性があり、効果が高く、手荒れが少ない。目に見える汚れがない場合の第一選択)、②流水と石けんによる手洗い(目に見える汚れがあるとき、排泄物に触れたとき、ノロウイルスと芽胞形成菌が想定されるとき)、③手術時手指消毒(より長い時間と手順で行う)。手洗いの実際=①時計と指輪を外す、②爪は短く切る(爪の周囲は微生物が残りやすい)、③流水で手を濡らす、④石けんを泡立てる、⑤手のひら、手の甲、指先と爪、指の間、親指、手首の順に洗う、⑥流水でよくすすぐ、⑦ペーパータオルで押さえて拭く、⑧水道の栓は、ペーパータオルを介して閉める(手で触れると再汚染する)。洗い残しの多い部位=指先、爪の周囲、指の間、親指、手首。手荒れ=手荒れがあると、皮膚のバリアが損なわれ、微生物が定着しやすくなる。加えて、痛みから手指衛生を避けるようになる。したがって、保湿剤の使用は感染対策の一部になる。順守率=医療現場での手指衛生の順守率は、意識していても高くないことが繰り返し報告されている。仕組み(消毒薬の配置、教育、観察と結果の共有、そして手荒れ対策)で支える必要がある。
間違えやすい考え方
手技の正誤を問う型で、誤肢が効果を打ち消す行為である。流水・全面・時間・乾燥の原則で切る。
5分で振り返る
①石けんを泡立てることで、汚れと微生物を包み込み、界面活性の作用が発揮され、摩擦で除去しやすくなる。②溜めた水では、洗い落とした微生物が再び付着する。必ず流水で行う。③タオルの共用は、湿った状態で微生物が増殖し、手を介して伝播させる。使い捨てか個人専用にする。④アルコールは乾くまでの間に効果を発揮する。拭き取らず、乾くまで(15〜30秒)擦り合わせる。⑤手指衛生の5つのタイミング=患者に触れる前、清潔・無菌操作の前、体液に曝露された可能性のある後、患者に触れた後、患者周辺の環境に触れた後。⑥目に見える汚れがあるとき、ノロウイルスと芽胞形成菌が想定されるときは、流水と石けんで洗う。⑦洗い残しの多い部位=指先、爪の周囲、指の間、親指、手首。⑧手荒れは微生物の定着を招くため、保湿は感染対策の一部になる。
1分チェック
- 手洗いでは。→ 石けんを十分に泡立て、流水で洗う(アルコールは拭き取らない)。
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