成人の敗血症 sepsis について正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
成人の敗血症について正しいものを問う。全身炎症性反応を認める、である。
この問題で問われていること
感染に対する体の反応が制御を失う病態を説明できるか。
しくみから理解する
敗血症は、感染に対する制御不能な生体の反応により、生命を脅かす臓器障害が生じる状態になる。病原体の成分と、体が放出する炎症性の物質により、全身に炎症が広がる。その結果、発熱(または低体温)、頻脈、頻呼吸、白血球数の増加(または減少)といった、全身の炎症を示す反応が現れる。加えて、血管の拡張と透過性の亢進により血圧が下がり、微小循環の障害と凝固の異常が加わって、複数の臓器の障害へ進む。
選択肢ごとの確認
徐脈にはならない。体温の上昇と、血圧の低下を代償するために、頻脈になる。ただし、高齢者と、ベータ遮断薬を服用している人では、頻脈が現れにくいことがあり、それが発見を遅らせる要因になる。
高血圧は典型的な選択肢ではない。ただし敗血症の定義に低血圧は必須ではなく、低血圧や昇圧薬を要する循環不全は敗血症性ショックとの境界を明確にして説明する。十分な輸液を行っても平均動脈圧を保つために昇圧薬を要し、かつ血中乳酸値が上昇している状態を、敗血症性ショックという。
血管透過性は低下せず、亢進する。炎症性の物質により、血管の壁の隙間が広がり、血漿成分が血管の外へ漏れ出る。その結果、血管内の容量が減り(浮腫と、いわゆる第三の間隙への貯留)、循環が保てなくなる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、いずれも実際とは逆に述べている。「炎症が全身に広がり、血管が広がって漏れる」という一点から、すべてが導ける。血管が広がる→血圧が下がる→代償のため頻脈になる。血管が漏れる→血管内の容量が減る→さらに血圧が下がる、という流れになる。この病態の理解が、治療(大量の輸液と昇圧薬)の根拠にもなる。
理解を深める
敗血症を整理する。診断=感染が疑われ、かつ臓器障害の指標が一定以上増加した場合に診断する。臓器障害の評価には、呼吸、凝固、肝、循環、中枢神経、腎の6項目を用いる指標がある。簡便な評価=感染が疑われる患者で、①呼吸数22回/分以上、②意識の変容、③収縮期血圧100mmHg以下、のうち2項目以上を満たす場合に、敗血症を疑って精査を進める。敗血症性ショック=十分な輸液を行っても、平均動脈圧65mmHg以上を保つために昇圧薬を要し、かつ血中乳酸値が2mmol/Lを超える状態。死亡率が著しく高い。治療=①抗菌薬は、敗血症性ショックまたは感染可能性が高い敗血症では認識後直ちに(理想的には1時間以内)、ショックを伴わず可能性が未確定なら迅速評価後、懸念が続く場合は3時間以内を目安に開始する。血液培養は可能なら投与前に採取するが、緊急投与を実質的に遅らせない。②輸液は敗血症性低灌流またはショックに対して晶質液を用い、初期投与後も輸液反応性と過剰負荷を反復評価する、③昇圧薬(ノルアドレナリンが第一選択)、④感染源の制御(膿瘍のドレナージ、感染したカテーテルの抜去、壊死組織の除去)、⑤臓器の支持(呼吸、腎、循環)、⑥血糖の管理、⑦深部静脈血栓症とストレス潰瘍の予防。早期発見が予後を左右するため、①バイタルサインの変化(とくに呼吸数の増加は最も早く現れる指標の一つ)、②意識の変容、③尿量の減少、④皮膚の色と温度、⑤末梢血管の再充満時間、を継続して観察する。看護=①徴候の早期の察知と報告、②検体の採取と抗菌薬の投与の準備、③輸液と昇圧薬の管理、④水分出納と尿量、⑤体温の管理、⑥感染源の探索への協力、⑦人工呼吸器と血液浄化を要する場合の管理、⑧家族への説明と支援。加えて、敗血症を生き延びた後にも、身体機能の低下、認知機能の障害、そして心理的な問題が長く残ることがあり(集中治療後症候群)、回復期の支援も重要になる。
間違えやすい考え方
病態の正誤を問う型で、誤肢がすべて実際と逆である。血管が広がって漏れるという一点で切る。
5分で振り返る
①敗血症は、感染に対する制御不能な生体の反応により、生命を脅かす臓器障害が生じる状態。②全身に炎症が広がり、発熱(または低体温)、頻脈、頻呼吸、白血球数の増加(または減少)が現れる。③血管が拡張し、透過性が亢進して血漿が漏れ出るため、血圧が低下する。徐脈と高血圧にはならない。④簡便な評価=呼吸数22回/分以上、意識の変容、収縮期血圧100mmHg以下のうち2項目以上。⑤敗血症性ショック=十分な輸液でも昇圧薬を要し、血中乳酸値が上昇した状態。⑥治療=速やかな抗菌薬(投与前に血液培養を2セット)、大量の輸液、昇圧薬(ノルアドレナリン)、感染源の制御。⑦呼吸数の増加は最も早く現れる指標の一つ。⑧高齢者とベータ遮断薬の服用者では頻脈が現れにくく、発見が遅れる。
1分チェック
- 敗血症では。→ 全身の炎症、頻脈、血圧低下、血管透過性の亢進。
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