食中毒予防の原則である「中心温度75 ℃以上1分以上の加熱」が有効なのはどれ か。
公式正答:4
解説
食中毒予防の原則である「中心温度75℃以上1分以上の加熱」が有効なものを問う。サルモネラ属菌である。
この問題で問われていること
加熱で防げるものと防げないものを区別できるか。
しくみから理解する
サルモネラ属菌は、感染型の食中毒を起こす細菌になる。菌そのものが腸管で増えて症状を起こすため、加熱により菌を死滅させれば予防できる。中心温度75℃以上で1分以上の加熱が目安になる(ノロウイルスでは85〜90℃で90秒以上)。原因食品は、鶏卵、食肉(とくに鶏肉)、そしてそれらの加工品になる。潜伏期は6〜72時間で、発熱、腹痛、下痢、嘔吐をきたす。
選択肢ごとの確認
フグ毒(テトロドトキシン)は、加熱では分解されない。極めて安定な毒素で、100℃で数時間加熱しても失活しない。フグの内臓と皮に含まれ、摂取後20分から3時間で、口唇と舌のしびれ、指先のしびれ、運動麻痺、そして呼吸筋の麻痺により死に至る。解毒薬はなく、人工呼吸による呼吸の管理が中心になる。調理には資格を要する。
毒キノコの毒素も、多くは加熱で分解されない。日本の食中毒で問題になるのは、ツキヨタケ、クサウラベニタケ、カキシメジなど。「縦に裂ける」「虫が食べている」といった言い伝えは、いずれも根拠がない。
黄色ブドウ球菌は、菌そのものは加熱で死滅するが、産生する毒素(エンテロトキシン)が耐熱性で、100℃で30分加熱しても分解されない。したがって、いったん毒素が作られてしまうと、加熱しても予防できない。手指の傷と化膿巣に多く存在するため、調理前の手洗いと、傷のある手で直接食品に触れないことが予防になる。潜伏期は1〜5時間と短く、激しい嘔吐が特徴で、発熱は乏しい。
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混同しやすいポイント
食中毒を、①感染型(菌が増えて症状を起こす。加熱で予防できる)、②毒素型(あらかじめ作られた毒素による。毒素が耐熱性なら加熱では予防できない)、③自然毒(動物性・植物性。多くは加熱で分解されない)、④化学物質、に分けて整理する。誤肢は、自然毒2つと、耐熱性の毒素を作る細菌1つになる。「加熱が有効か」という問いに対して、毒素と自然毒が除外される。
理解を深める
食中毒を整理する。細菌性=①感染型(サルモネラ属菌、カンピロバクター、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌、ウェルシュ菌)、②毒素型(黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、セレウス菌の嘔吐型)。主なもの=①カンピロバクター=近年、事件数が最も多い。鶏肉が原因。潜伏期2〜7日と長い。ギラン・バレー症候群を合併することがある。②腸管出血性大腸菌(O157など)=ベロ毒素を産生する。潜伏期3〜8日。血便、激しい腹痛。溶血性尿毒症症候群(溶血性貧血、血小板減少、急性腎障害)を合併し、小児と高齢者で重篤になる。菌量が少なくても発症し、人から人へも感染する。③腸炎ビブリオ=魚介類。真水に弱く、増殖が速い。近年は減少している。④ボツリヌス菌=嫌気性で、芽胞を形成する。真空パックと缶詰、いずしなど。神経毒により、複視、眼瞼下垂、嚥下障害、呼吸筋麻痺をきたす。1歳未満のはちみつによる乳児ボツリヌス症も、この菌による。⑤ウェルシュ菌=カレー、シチューなど大量調理したものを室温で放置した場合。芽胞は加熱に耐える。ウイルス性=ノロウイルス(患者数が最も多い。冬季。二枚貝、そして人から人への感染。85〜90℃で90秒以上の加熱、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒)。寄生虫=アニサキス(サバ、イカ、サンマなど。冷凍または加熱で予防。食後数時間の激しい腹痛)。予防の3原則=①つけない(手洗い、器具の使い分け、保存の分離)、②増やさない(低温での保存。10℃以下、冷凍は-15℃以下。調理後は速やかに食べる)、③やっつける(中心温度75℃以上で1分以上。ノロウイルスは85〜90℃で90秒以上)。届出=食中毒を診断した医師は、直ちに最寄りの保健所長へ届け出る(食品衛生法)。
間違えやすい考え方
予防法を問う型で、誤肢が自然毒と耐熱性の毒素である。加熱で防げるかどうかで切る。
5分で振り返る
①サルモネラ属菌は感染型で、菌そのものが腸管で増えて症状を起こす。中心温度75℃以上1分以上の加熱で予防できる。②フグ毒(テトロドトキシン)は極めて安定で、加熱では分解されない。呼吸筋の麻痺で死に至り、解毒薬はない。③毒キノコの毒素も多くは加熱で分解されない。「縦に裂ける」などの言い伝えに根拠はない。④黄色ブドウ球菌は、菌は加熱で死滅するが、産生するエンテロトキシンが耐熱性で分解されない。手指の傷と化膿巣が原因。潜伏期1〜5時間、激しい嘔吐。⑤カンピロバクターは細菌性食中毒では近年の事件数が最も多い(病因物質全体では寄生虫のアニサキスが首位になる)。ギラン・バレー症候群を合併しうる。⑥腸管出血性大腸菌は溶血性尿毒症症候群を合併する。⑦ノロウイルスは85〜90℃で90秒以上。⑧予防の3原則=つけない、増やさない、やっつける。
1分チェック
- 加熱で予防できるのは。→ 感染型の食中毒(サルモネラ属菌)。
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