尿失禁〈incontinence of urine〉の種類と対応の組合せで正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
尿失禁の種類と対応の組合せで正しいものを問う。反射性尿失禁と間欠的自己導尿である。
この問題で問われていること
失禁の型ごとに、機序と対応を結びつけられるか。
しくみから理解する
反射性尿失禁は、脊髄の損傷などにより、大脳からの制御が失われ、膀胱にたまった尿が反射的に排出されるものになる。尿意を感じないまま、不随意に排尿が起こる。加えて、排尿筋と括約筋の協調が失われるため(協調不全)、膀胱内に尿が残り、腎への逆流と、水腎症、腎機能の低下を招く。したがって、定期的に自分でカテーテルを挿入して尿を排出する間欠的自己導尿が、標準的な対応になる。膀胱内を低圧に保ち、腎を守ることが目的になる。
選択肢ごとの確認
溢流性尿失禁と排尿間隔の記録の組合せは適切でない。溢流性尿失禁は、尿が出せずに膀胱にたまり続け、あふれて漏れるものになる。前立腺肥大症、尿道狭窄、糖尿病による末梢神経障害、そして薬剤(抗コリン薬)が原因になる。対応は、原因の治療と、導尿(間欠的または留置)になる。排尿間隔の記録は、切迫性尿失禁に対する膀胱訓練で用いる。
機能性尿失禁と骨盤底筋訓練の組合せも適切でない。機能性尿失禁は、排尿の機能そのものは保たれているのに、①トイレまで間に合わない(歩行の障害)、②トイレの場所が分からない、衣服を脱げない(認知機能の障害)、といった理由で漏れるものになる。対応は、トイレまでの動線の整備、手すり、ポータブルトイレ、脱ぎやすい衣服、そして定時の誘導になる。骨盤底筋訓練は、腹圧性尿失禁に対して行う。
切迫性尿失禁と下腹部への軽い刺激の組合せも適切でない。切迫性尿失禁は、急に強い尿意が起こり、我慢できずに漏れるものになる。過活動膀胱、脳血管疾患、そして加齢が背景になる。対応は、膀胱訓練(排尿の間隔を少しずつ延ばす)、骨盤底筋訓練、そして薬物療法になる。下腹部の叩打による反射誘発と膀胱圧迫は同一ではない。神経因性膀胱で検討する場合も、尿流動態で低圧かつ安全な排尿が確認され、専門職の訓練と監視を受けることが前提であり、高圧排尿や自律神経過反射の危険があるため一般的な自己対処として勧めない。
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混同しやすいポイント
失禁の型と対応を、表で覚える。①腹圧性=咳、くしゃみ、笑い、重い物を持つときに漏れる。骨盤底筋の緩み。女性に多い。対応は骨盤底筋訓練、体重の管理、手術。②切迫性=急な強い尿意で漏れる。対応は膀胱訓練、骨盤底筋訓練、薬物。③溢流性=出せずにあふれる。対応は原因の治療と導尿。④機能性=機能は保たれるが間に合わない。対応は環境と誘導。⑤反射性=脊髄の障害。対応は間欠的自己導尿。⑥混合性=腹圧性と切迫性の合併。
理解を深める
排尿の援助を整理する。間欠的自己導尿=①目的=膀胱を空にし、内圧を下げ、尿路感染と腎機能の低下を防ぐ。加えて、留置カテーテルを避けることで、感染と生活の制限を減らす。②回数=1日4〜6回程度(1回の量が400〜500mLを超えないように調整する)。③手技=手洗い、カテーテルの準備、体位、清潔操作(在宅では清潔間欠導尿として、無菌ではなく清潔な操作で行う)、挿入、排尿、抜去、記録。④指導=実際にやってみてもらい、できるまで繰り返す。鏡の使用、体位の工夫、そして外出時の携帯と処理の方法も伝える。⑤合併症=尿道の損傷、出血、感染、そして手技の中断による膀胱の過伸展。⑥継続の支援(手技そのものより、続けられるかが課題になる。指の巧緻性、視力、意欲、そして生活のリズムに合わせる)。留置カテーテル=①適応を限る(尿閉、正確な尿量の測定を要する場合、手術、終末期の安楽など)、②不要になったら速やかに抜去する(留置日数が長いほど感染の危険が高まる)、③閉鎖式のシステムを保つ、④採尿バッグは膀胱より低い位置に置き、床につけない、⑤ルートの屈曲を避ける、⑥陰部の清潔、⑦定期的な交換は必要とされず、閉塞と汚染があれば交換する、⑧膀胱洗浄は原則として行わない。看護の視点=排泄は尊厳に直結する。失禁を「おむつで対応する」ことから始めず、まず型を見極め、その人に合った方法を探す。
間違えやすい考え方
組合せを問う型で、誤肢が他の型の対応と入れ違えたものである。型ごとの機序で切る。
5分で振り返る
①反射性尿失禁=脊髄の損傷などで大脳の制御が失われ、尿意を感じないまま反射的に排尿が起こる。排尿筋と括約筋の協調不全により残尿が生じ、腎への逆流と水腎症を招く。②対応は間欠的自己導尿。膀胱内を低圧に保ち腎を守る。③溢流性=出せずにあふれる(前立腺肥大症、末梢神経障害、抗コリン薬)。対応は原因の治療と導尿。④機能性=機能は保たれるが、歩行や認知の問題で間に合わない。対応は環境の整備と定時の誘導。⑤切迫性=急な強い尿意で漏れる。対応は膀胱訓練、骨盤底筋訓練、薬物。⑥腹圧性=咳やくしゃみで漏れる。対応は骨盤底筋訓練。⑦留置カテーテルは、不要になったら速やかに抜去する。膀胱洗浄は原則として行わない。
1分チェック
- 反射性尿失禁の対応は。→ 間欠的自己導尿(膀胱を低圧に保ち腎を守る)。
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