Cushing〈クッシング〉症候群 cushing syndrome の成人女性患者にみられるのはどれか。
公式正答:2
解説
クッシング症候群の成人女性患者にみられるものを問う。月経異常である。
この問題で問われていること
コルチゾールの過剰が、何を引き起こすかを説明できるか。
しくみから理解する
クッシング症候群は、副腎皮質から分泌されるコルチゾールが過剰になる状態になる。過剰なコルチゾールは、視床下部と下垂体に働いて、性腺刺激ホルモンの分泌を抑える。加えて、副腎から男性ホルモンの分泌が増えることもある。その結果、女性では月経不順、無月経、そして多毛とにきびが現れる。男性では性欲の低下と勃起障害が生じる。
選択肢ごとの確認
貧血ではなく、むしろ赤血球が増加する(多血)傾向を示す。コルチゾールは造血を促す方向に働く。加えて、顔面が赤みを帯びる(満月様顔貌とともに)。
体重減少ではなく、体重は増加する。ただし、特徴的な脂肪の分布を示す(中心性肥満)。体幹に脂肪がつき、顔は丸く(満月様顔貌)、肩から首の後ろに脂肪がたまる(水牛様脂肪沈着)。一方、四肢は筋タンパクの分解により細くなる。この対比が特徴になる。
肝機能の低下も特徴ではない。糖新生が促進されるため、血糖は上昇し、糖尿病を合併する。脂肪肝を生じることはあるが、主要な所見ではない。
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混同しやすいポイント
コルチゾールの働きから、症状を導く。①糖新生の促進=高血糖、糖尿病、②タンパクの異化=筋の萎縮、皮膚の菲薄化、皮膚線条(赤紫色)、易出血、創傷治癒の遅延、骨粗鬆症、③脂肪の再分布=中心性肥満、満月様顔貌、水牛様脂肪沈着、④ナトリウムと水の貯留=高血圧、浮腫、⑤カリウムの排泄=低カリウム血症、⑥免疫の抑制=易感染性、⑦性腺への抑制=月経異常、⑧精神症状=不眠、抑うつ、多幸、精神病様症状。誤肢は、いずれもこの流れから外れる。
理解を深める
副腎皮質の疾患を整理する。クッシング症候群=①原因=下垂体腺腫による副腎皮質刺激ホルモンの過剰(クッシング病)、副腎の腺腫と癌、異所性の副腎皮質刺激ホルモン産生腫瘍、そして医原性(副腎皮質ステロイド薬の長期投与。最も多い)。②診断=内因性の場合は、コルチゾールの日内変動の消失、深夜の血中コルチゾールの上昇、尿中遊離コルチゾールの増加、デキサメタゾン抑制試験で評価し、画像検査で局在を診断する。医原性(外因性)では、投与されたステロイドにより内因性のコルチゾールと副腎皮質刺激ホルモンはむしろ抑制されるため、これらの所見は当てはまらず、診断は薬剤の投与歴による。③治療=原因に応じた手術、薬物、そして医原性の場合はステロイドの減量(自己判断で中止すると急性副腎不全を起こすため、必ず段階的に)。アジソン病(慢性副腎皮質機能低下症)=コルチゾールとアルドステロンが不足する。倦怠感、食欲不振、体重減少、低血圧、低血糖、低ナトリウム血症、高カリウム血症、そして色素沈着(副腎皮質刺激ホルモンの増加による。口腔粘膜、手掌のしわ、乳輪、瘢痕)。副腎クリーゼ=感染、外傷、手術、そしてステロイドの急な中止により、急激に悪化する。ショック、意識障害、低血糖、そして電解質の異常をきたし、直ちにステロイドの補充を要する。原発性アルドステロン症=アルドステロンの過剰により、高血圧と低カリウム血症をきたす。二次性高血圧の原因として頻度が高い。褐色細胞腫=副腎髄質からカテコールアミンが過剰に分泌される。発作性の高血圧、動悸、頭痛、発汗、そして高血糖。看護(クッシング症候群)=①感染の予防、②皮膚の保護(菲薄化と易出血)、③転倒と骨折の予防(骨粗鬆症)、④血糖と血圧の管理、⑤精神症状への対応、⑥外見の変化に伴う心理的な苦痛への配慮(治療により回復することを伝える)、⑦ステロイドを服用している場合は、自己判断で中止しないことを繰り返し伝える。
間違えやすい考え方
症状を問う型で、誤肢がすべて実際と逆方向である。コルチゾールの働きから導いて切る。
5分で振り返る
①クッシング症候群はコルチゾールの過剰。性腺刺激ホルモンの分泌が抑えられ、女性では月経不順、無月経、多毛、にきびが現れる。②貧血ではなく多血傾向を示す。③体重は増加し、中心性肥満、満月様顔貌、水牛様脂肪沈着を示す一方、四肢は筋の萎縮により細くなる。④糖新生の促進により高血糖と糖尿病を合併する。⑤タンパクの異化により、皮膚の菲薄化、赤紫色の皮膚線条、易出血、創傷治癒の遅延、骨粗鬆症を生じる。⑥ナトリウムと水の貯留で高血圧、カリウムの排泄で低カリウム血症。⑦免疫の抑制により易感染性になる。⑧最も多い原因は医原性(副腎皮質ステロイド薬の長期投与)。自己判断での中止は急性副腎不全を招く。
1分チェック
- クッシング症候群の女性にみられるのは。→ 月経異常(中心性肥満、高血糖、高血圧も)。
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