加齢の影響を受けにくく、高齢になっても維持されやすい認知機能はどれか。
公式正答:3
解説
加齢の影響を受けにくく、高齢になっても維持されやすい認知機能を問う。結晶性知能である。
この問題で問われていること
知能と記憶の種類ごとに、加齢の影響を区別できるか。
しくみから理解する
結晶性知能は、これまでの経験と学習によって蓄積された知識、語彙、判断力、そして洞察力を指す。60歳代まで上昇を続け、その後も高い水準を保つ。長く生きてきたこと自体が、この知能の基盤になるためになる。一方、流動性知能は、新しい情報を素早く処理し、新しい状況に対応する力を指し、20歳代を頂点として、加齢とともに低下する。
選択肢ごとの確認
感覚記憶は、感覚器で受け取った情報を、ごく短い時間(1秒未満から数秒)保持するものになる。注意を向けられなかった情報は消えていく。加齢により、そもそも感覚器の機能(視力、聴力)が低下するため、影響を受ける。
短期記憶(作業記憶)は、情報を数十秒間保持し、同時に処理するものになる。加齢の影響を受けやすく、とくに複数のことを同時に扱う場面(電話番号を覚えながらメモを探す)で低下が目立つ。
流動性知能は、加齢とともに低下する。新しい機器の操作、初めての場面への対応、そして素早い判断を要する場面で影響が現れる。
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混同しやすいポイント
記憶と知能を、加齢の影響で分ける。①影響を受けやすい=感覚記憶、短期記憶(作業記憶)、エピソード記憶(出来事の記憶)、流動性知能、情報を処理する速さ、②比較的保たれる=意味記憶(知識)、手続き記憶(体で覚えた技能)、結晶性知能。誤肢は、いずれも影響を受けやすいものになる。この区別は、高齢者への関わりの根拠になる。新しいことを覚えるには時間と繰り返しが要るが、これまで培ってきた知識と技能は活かせる。
理解を深める
高齢者の認知機能を整理する。加齢による変化=①情報を処理する速さの低下、②複数のことを同時に行う力の低下、③注意を切り替える力の低下、④新しいことの学習に時間がかかる、⑤思い出すのに時間がかかる(ただし、手がかりがあれば思い出せる)、⑥判断力と語彙は保たれる、⑦感覚器の低下が、認知機能の評価に影響する(聞こえていないのに「答えられない」と評価される)。関わりへの応用=①ゆっくり、はっきり、短く話す、②一度に一つのことを伝える、③静かな環境で、正面から、顔が見えるように話す、④書いたものを渡す、⑤繰り返す、⑥急かさない、⑦これまでの経験と結びつけて説明する(結晶性知能を活かす)、⑧眼鏡と補聴器を使ってもらう、⑨できることに目を向ける。加齢によるもの忘れと認知症の違い=①加齢=体験の一部を忘れる、自覚がある、日常生活に支障がない、進行しない、ヒントで思い出せる。②認知症=体験そのものを忘れる、自覚が乏しい、日常生活に支障が出る、進行する、ヒントでも思い出せない。軽度認知障害=記憶などの認知機能に低下があるが、日常生活は自立している状態。認知症へ進む人がいる一方、改善する人もいる。運動、社会参加、そして生活習慣の管理が、進行の予防に有用とされる。認知症の危険因子として、難聴、教育歴、高血圧、肥満、喫煙、抑うつ、社会的孤立、運動不足、糖尿病、過度の飲酒、頭部外傷、大気汚染が挙げられており、これらへの介入により、一定の割合の認知症を予防できる可能性が示されている。
間違えやすい考え方
認知機能の区別を問う型で、誤肢がすべて加齢の影響を受けやすいものである。蓄積か処理かで切る。
5分で振り返る
①結晶性知能=経験と学習で蓄積された知識、語彙、判断力、洞察力。60歳代まで上昇し、その後も高い水準を保つ。②流動性知能=新しい情報を素早く処理し、新しい状況に対応する力。20歳代を頂点として低下する。③感覚記憶(1秒未満から数秒)と短期記憶(作業記憶)は加齢の影響を受けやすい。④比較的保たれる=意味記憶(知識)、手続き記憶(体で覚えた技能)、結晶性知能。⑤影響を受けやすい=感覚記憶、作業記憶、エピソード記憶、流動性知能、処理の速さ。⑥関わり=ゆっくり短く、一度に一つ、静かな環境で正面から、書いたものを渡す、繰り返す、急かさない、これまでの経験と結びつける。⑦認知症の危険因子=難聴、高血圧、肥満、喫煙、抑うつ、社会的孤立、運動不足、糖尿病、過度の飲酒。
1分チェック
- 加齢で保たれるのは。→ 結晶性知能(経験と学習の蓄積)。
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