A さん(80 歳、男性)は、1人暮らし。高血圧症〈hypertension〉 で内服治療をしているが健康状態や認知機能に問題はなく、日常生活動作〈ADL〉は自立している。毎朝30 分の散 歩と買い物を日課とし、週1回は老人クラブでゲートボールをしている。A さん は受診の際に看護師に「最近、昼食後に居眠りをしてしまう。今は大丈夫だが、こ のままだと夜眠れなくなるのではないか」と話した。 A さんへの対応で最も適切なのはどれか。
公式正答:4
解説
日常生活が自立し、活動的に過ごしている80歳男性が「昼食後に居眠りをしてしまう。夜眠れなくなるのではないか」と話した際の対応を問う。30分程度の昼寝は夜の睡眠に影響はないと伝えることである。
この問題で問われていること
適度な昼寝の位置づけを正しく説明できるか。
しくみから理解する
午後の早い時間(正午から午後3時頃)に、30分以内の短い昼寝をとることは、①日中の眠気を解消し、②午後の活動性を高め、③夜間の睡眠を妨げない、とされている。むしろ、高齢者では推奨される場合もある。避けるべきは、①長すぎる昼寝(30分を超えると、深い睡眠に入り、目覚めが悪く、夜間の睡眠にも影響する)、②夕方以降の居眠り、になる。この患者は活動的で、健康状態にも問題がないため、不安を取り除き、正しい情報を伝えることが最も適切な対応になる。
選択肢ごとの確認
昼食後にも散歩を促すことは、この場面では最も適切とはいえない。既に毎朝30分の散歩を行っており、活動量は十分になる。加えて、Aさんの訴えは睡眠に関するものであり、散歩を増やすことはその訴えに直接応えていない。
主治医に相談するよう勧めることも、この時点では優先されない。昼食後の眠気は生理的なものであり、病的な所見は示されていない。ただし、①日中の強い眠気が続く、②いびきと無呼吸がある、③夜間の睡眠の質が悪い、④薬剤の影響が疑われる、といった場合は、受診を勧める。
老人クラブの参加回数を増やすよう勧めることも適切でない。既に週1回参加しており、社会参加は保たれている。加えて、本人が求めているのは活動を増やすことではなく、眠気への不安の解消になる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、いずれも「何かを増やす」提案になる。この患者が求めているのは、行動の変更ではなく、「これは大丈夫か」という問いへの答えになる。訴えの内容に立ち返り、正しい情報を伝えることで不安を解消する、という対応が最も適切になる。加えて、この患者の生活は既に良好であり、不必要に変えることは、かえって負担になる。
理解を深める
高齢者の睡眠を整理する。加齢による変化=①深い睡眠が減る、②中途覚醒が増える、③体内時計が前へずれる(早寝早起きになる)、④総睡眠時間が短くなる、⑤日中の居眠りが増える、⑥睡眠に対する満足感が下がる。これらは自然な変化であり、それ自体は治療の対象ではない。むしろ、「若い頃と同じように眠らなければ」という思い込みが、不眠への不安を強めることが多い。健康づくりのための睡眠指針の要点=①良い睡眠で、体も心も健康に、②適度な運動、しっかり朝食、寝る前の喫煙とカフェインを避ける、③良い睡眠は生活習慣病の予防につながる、④睡眠による休養感は心の健康に重要、⑤年齢や季節に応じて、昼間の眠気で困らない程度の睡眠を、⑥良い睡眠のためには環境づくりも重要、⑦若年世代は夜更かしを避けて体内時計のリズムを保つ、⑧勤労世代の疲労回復と能率アップに、毎日十分な睡眠を、⑨熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠、⑩眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない、⑪いつもと違う睡眠には要注意、⑫眠れない苦しみを抱えずに、専門家に相談を。高齢者への具体的な助言=①寝床にいる時間を長くしすぎない(眠れないまま長く横になると、かえって不眠が強まる)、②朝は決まった時刻に起き、光を浴びる、③日中の活動と社会参加、④昼寝は午後3時前までに30分以内、⑤夕方以降のカフェインと、就寝前の飲酒を避ける(飲酒は寝つきを良くするように感じるが、睡眠の質を下げ、中途覚醒を増やす)、⑥就寝前の入浴(1〜2時間前)、⑦夜間の排尿への対応、⑧睡眠薬に頼る前に生活を整える。
間違えやすい考え方
対応を問う型で、誤肢がすべて「何かを増やす」提案である。訴えの内容に立ち返って切る。
5分で振り返る
①午後の早い時間(正午〜午後3時頃)の30分以内の昼寝は、日中の眠気を解消し、午後の活動性を高め、夜間の睡眠を妨げない。②30分を超えると深い睡眠に入り、目覚めが悪く夜間の睡眠にも影響する。夕方以降の居眠りも避ける。③この患者は活動的で健康状態に問題がなく、求めているのは不安の解消。正しい情報を伝える。④昼食後すぐの運動は消化を妨げ、食後低血圧のある高齢者では危険になる。⑤加齢による睡眠の変化=深い睡眠が減る、中途覚醒が増える、早寝早起きになる、総睡眠時間が短くなる。自然な変化で治療の対象ではない。⑥寝床にいる時間を長くしすぎない。眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。⑦飲酒は寝つきを良くするように感じるが、睡眠の質を下げ中途覚醒を増やす。
1分チェック
- 高齢者の30分程度の昼寝は。→ 夜の睡眠に影響しない(午後3時前まで)。
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