加齢に伴う血管壁の硬化による血圧への影響はどれか。
公式正答:1
解説
加齢に伴う血管壁の硬化による血圧への影響を問う。収縮期血圧は上昇し、拡張期血圧は低下することである。
この問題で問われていること
血管の弾性が失われると、収縮期と拡張期にそれぞれ何が起こるかを説明できるか。
しくみから理解する
弾力のある動脈では、心臓が血液を送り出すとき(収縮期)に血管が広がって圧の上昇を吸収し、心臓が拡張するとき(拡張期)には、広がった血管が元に戻る力で血液を末梢へ押し出し、圧を保つ。加齢により血管が硬くなると、①収縮期に血管が広がらないため、圧が高くなる、②拡張期に押し戻す力が働かないため、圧が下がる、という2つが同時に起こる。結果として、収縮期血圧が上がり、拡張期血圧が下がり、その差である脈圧が拡大する。
選択肢ごとの確認
収縮期血圧が低下し、拡張期血圧が上昇するという組み合わせは、機序と逆になる。
両方が上昇するというのも、加齢による血管の硬化の説明としては正しくない。若年から中年の高血圧では、末梢血管の抵抗の上昇により、両方が上がる型が多い。加齢では、収縮期だけが上がる型(収縮期高血圧)が特徴になる。
両方が低下するというのも誤りになる。
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混同しやすいポイント
「硬い管では、押し込むときに圧が高くなり、押し込むのをやめると一気に圧が下がる」という物理の話として理解すると覚えやすい。誤肢は、いずれも機序から導けない組み合わせになる。加えて、脈圧の拡大は、動脈の硬化の程度を反映する指標になり、心血管疾患の危険とも関連することが知られている。
理解を深める
高齢者の血圧を整理する。特徴=①収縮期高血圧が多い、②脈圧が大きい、③血圧の変動が大きい(測定のたびに値が違う、日内変動が大きい、季節による差が大きい)、④白衣高血圧(診察室で高い)と仮面高血圧(診察室で正常だが家庭で高い)が多い、⑤起立性低血圧を起こしやすい(圧受容器の感受性の低下)、⑥食後低血圧(食後30分から1時間に、血液が消化管へ集まり、血圧が下がる)、⑦夜間の血圧が下がりにくい型が増える。測定の注意=①臥位と立位(または座位と立位)の両方で測り、起立性低血圧を評価する(立位で収縮期20mmHg以上、または拡張期10mmHg以上の低下)、②複数回測り、平均をとる、③家庭血圧の測定を勧める(診察室血圧より予後をよく反映する)、④カフの大きさと巻き方、腕の高さ(心臓の高さ)、⑤測定前の安静、⑥不整脈(心房細動)があると値が安定しない。降圧の目標=75歳以上では、診察室血圧で140/90mmHg未満を目安とし、忍容性があれば130/80mmHg未満を目指す(ただし、併存疾患、フレイル、認知機能、そして生活の状況を考えて個別に判断する)。過度の降圧は、めまい、ふらつき、転倒、そして腎機能の悪化を招く。看護=①測定と記録、②起立性低血圧への対応(ゆっくり起き上がる、脱水を避ける、食後すぐに動かない、弾性ストッキング)、③服薬の管理、④生活(減塩、運動、体重、禁煙、節酒、保温)、⑤ヒートショックの予防(脱衣所と浴室を暖める、湯温を41℃以下に、長湯を避ける、飲酒後の入浴を避ける、一人で入らないよう家族に声をかけてもらう)、⑥転倒の予防。
間違えやすい考え方
変化の方向を問う型で、誤肢が機序から導けない組み合わせである。硬い管の物理で切る。
5分で振り返る
①弾力のある動脈では、収縮期に広がって圧を吸収し、拡張期に元へ戻る力で血液を押し出し圧を保つ。②硬くなると、収縮期に広がらず圧が高くなり、拡張期に押し戻す力が働かず圧が下がる。③結果として脈圧(収縮期と拡張期の差)が拡大する。脈圧は動脈硬化の程度を反映する。④加齢では収縮期高血圧が特徴。若年から中年の高血圧は、末梢血管抵抗の上昇により両方が上がる型が多い。⑤高齢者は血圧の変動が大きく、白衣高血圧と仮面高血圧が多い。⑥圧受容器の感受性の低下により起立性低血圧と食後低血圧を起こしやすい。⑦血圧は臥位と立位の両方で測る(立位で収縮期20mmHg以上の低下で起立性低血圧)。⑧過度の降圧は、めまい、転倒、腎機能の悪化を招く。
1分チェック
- 加齢で血管が硬くなると。→ 収縮期血圧は上昇、拡張期血圧は低下、脈圧は拡大。
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