加齢によって高齢者に便秘が起こりやすくなる原因で適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
加齢によって高齢者に便秘が起こりやすくなる原因で適切なものを問う。経口摂取量の低下である。
この問題で問われていること
便秘の要因を、加齢による変化と結びつけられるか。
しくみから理解する
高齢者では、①食欲の低下、②歯と義歯の問題、③嚥下の障害、④独居と調理の負担、⑤薬剤の影響、といった理由で、食事と水分の摂取量が減る。摂取量が減れば、①便の量そのものが減り、②食物繊維の摂取が減り、③水分が不足して便が硬くなり、④胃結腸反射が起こりにくくなるため、便秘が生じやすくなる。したがって、経口摂取量の低下は、高齢者の便秘の主要な原因になる。
選択肢ごとの確認
味覚の閾値の低下は誤りになる。加齢により味覚の閾値は上昇する(薄い味を感じにくくなる)。その結果、濃い味を好むようになり、塩分の摂取が増える傾向がある。閾値の低下ではなく上昇になる。
腸管での水分吸収の低下も誤りになる。便が長くとどまることで、水分がより多く吸収され、便は硬くなる。吸収が低下するのであれば、むしろ下痢の方向になる。
直腸内圧感受性の閾値の低下も誤りになる。加齢により、直腸に便がたまっても、それを感じ取る力が鈍くなる(閾値が上昇する)。その結果、便意を感じにくくなり、便が直腸にとどまって硬くなる(直腸性便秘)。閾値の低下ではなく上昇になる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、いずれも「低下」と書かれているが、実際は「上昇」または逆の方向になる。加齢による感覚の変化は、原則として「鈍くなる=閾値が上がる」と覚える。味覚、嗅覚、温度感覚、痛覚、渇きの感覚、そして直腸の感覚が、いずれも鈍くなる。この方向を押さえておけば、この種の設問は確実に判断できる。
理解を深める
高齢者の便秘を整理する。要因=①摂取量の減少(食事、水分、食物繊維)、②腸の蠕動の低下、③腹筋と骨盤底筋の筋力低下(いきむ力が弱い)、④活動量の低下と臥床、⑤直腸の感覚の低下(便意を感じにくい)、⑥薬剤(オピオイド、抗コリン薬、抗うつ薬、カルシウム拮抗薬、鉄剤、利尿薬、制酸薬)、⑦併存疾患(糖尿病、パーキンソン病、脳血管疾患、甲状腺機能低下症、うつ)、⑧排便を我慢する習慣(トイレまで行けない、人に頼みにくい、時間がかかる)、⑨環境(トイレの位置、寒さ、プライバシー)、⑩下剤の乱用。援助=①食事(食物繊維、水分、油脂、発酵食品。ただし、嚥下と摂取量に配慮する)、②水分(心不全と腎不全がなければ1日1,500mL程度を目安に。高齢者は渇きを感じにくいため、時間を決めて促す)、③活動(歩行、腹筋の運動、体位変換)、④腹部のマッサージ(大腸の走行に沿って時計回りに)、⑤温罨法、⑥排便の習慣(毎朝、決まった時間に。食後の胃結腸反射を利用する)、⑦姿勢(前傾で、足台を使って股関節を深く曲げる)、⑧環境(プライバシー、時間の余裕、呼びやすさ)、⑨我慢させない(トイレへの誘導、ポータブルトイレ)、⑩薬剤の見直し、⑪下剤(膨張性、浸透圧性、刺激性、上皮機能変容薬)、⑫摘便と浣腸は最後の手段。観察=回数、量、性状(ブリストル便性状スケール)、色、腹部の膨満と腸蠕動音、腹痛、食事と水分の摂取量。注意=①便秘が食欲不振、悪心、せん妄の原因になることがある、②宿便による溢流性の下痢(硬い便の脇から液状の便が漏れる)を「下痢」と誤らない、③下剤は薬効群ごとに長期使用の根拠と注意点が異なる。ポリエチレングリコールなど継続使用が推奨される薬剤と、短期またはレスキュー使用が基本の刺激性下剤を一括して「連用で依存」と説明しない、④急に始まった便秘、血便、体重減少では大腸がんを疑う。
間違えやすい考え方
原因を問う型で、誤肢がすべて方向が逆である。加齢は感覚が鈍くなる(閾値が上がる)で切る。
5分で振り返る
①高齢者では、食欲の低下、歯と義歯の問題、嚥下の障害、薬剤の影響で摂取量が減る。②摂取量が減ると、便の量が減り、食物繊維と水分が不足し、胃結腸反射も起こりにくくなる。③加齢により味覚の閾値は上昇する(薄い味を感じにくい)。低下ではない。④便が長くとどまると水分がより多く吸収され硬くなる。吸収の低下ではない。⑤直腸の感覚の閾値は上昇し、便意を感じにくくなる(直腸性便秘)。⑥加齢による感覚の変化は、原則として「鈍くなる=閾値が上がる」。味覚、嗅覚、温度感覚、痛覚、渇き、直腸の感覚。⑦便秘が食欲不振、悪心、せん妄の原因になることがある。⑧宿便による溢流性の下痢を「下痢」と誤らない。
1分チェック
- 高齢者の便秘の原因は。→ 経口摂取量の低下(感覚の閾値は上昇する)。
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