妊娠の初期と後期のどちらの時期にも起こるマイナートラブルはどれか。
公式正答:4
解説
妊娠の初期と後期のどちらの時期にも起こるマイナートラブルを問う。頻尿である。
この問題で問われていること
症状の機序が、時期によって異なることを説明できるか。
しくみから理解する
頻尿は、妊娠初期と後期の両方に現れるが、機序が異なる。初期は、①子宮が骨盤内で大きくなり、前方にある膀胱を圧迫する、②プロゲステロンの影響で骨盤内の血流が増える、③腎血流量と糸球体濾過量が増え、尿量が増える、ことによる。中期には子宮が腹腔内へ上がるため、いったん軽快する。後期は、児頭が下降して骨盤内へ入り、再び膀胱を圧迫することによる。この「初期→軽快→後期」という経過が特徴になる。
選択肢ごとの確認
下肢静脈瘤は、主に妊娠中期から後期に現れる。増大した子宮が下大静脈を圧迫し、下肢からの静脈の還流が妨げられることによる。加えて、プロゲステロンによる血管平滑筋の弛緩も関与する。
搔痒感も、主に中期から後期に現れる。腹部の皮膚が伸展すること、そしてホルモンの影響による。妊娠性掻痒、そして胆汁うっ滞による掻痒(この場合は肝機能の検査を要する)がある。
つわりは、妊娠初期に限られる。妊娠5〜6週頃に始まり、8〜11週頃に最も強く、12〜16週頃までに軽快する。ヒト絨毛性ゴナドトロピンの上昇、エストロゲンとプロゲステロンの変化、そして精神的な要因が関与するとされる。
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混同しやすいポイント
マイナートラブルを、時期ごとに整理する。①初期=つわり、頻尿、乳房の緊満と疼痛、眠気、倦怠感、便秘、帯下の増加、②中期=便秘、腰背部痛、こむら返り、下肢静脈瘤、掻痒感、動悸と息切れ、③後期=頻尿、便秘、腰背部痛、こむら返り、下肢の浮腫、静脈瘤、胸やけ、息切れ、不眠、痔核、仰臥位低血圧症候群。誤肢は、いずれも特定の時期に限られるものになる。頻尿だけが、機序を変えて初期と後期の両方に現れる。
理解を深める
妊娠期のマイナートラブルを整理する。つわり=①軽減の工夫=空腹を避ける(少量頻回、枕元に食べられる物を置く)、におい・味・温度の調整(冷たいもの、あっさりしたもの)、水分(少しずつ)、無理に食べようとしない、休息、②妊娠悪阻との区別=体重が妊娠前より5%以上減少、脱水、尿ケトン体の陽性、電解質の異常があれば、輸液と入院を要する。ビタミンB1の補充を忘れない(欠乏によりウェルニッケ脳症を起こす)。便秘=プロゲステロンによる腸管の蠕動の低下、子宮による圧迫、鉄剤の影響。水分、食物繊維、適度な運動、規則的な排便の習慣。腰背部痛=腹部の増大による重心の移動と、腰椎の前弯の増強。姿勢、靴、腹帯、骨盤ベルト、ストレッチ、そして体位の工夫(側臥位でシムス位)。こむら返り=カルシウムとマグネシウムの不足、下肢の血行の不良、筋の疲労。ストレッチ、マッサージ、保温、栄養。浮腫=生理的なものが多いが、高血圧と蛋白尿を伴う場合は妊娠高血圧症候群を疑う。仰臥位低血圧症候群=妊娠後期に仰臥位をとると、増大した子宮が下大静脈を圧迫し、静脈還流が減って血圧が下がる。悪心、冷汗、顔面蒼白、意識の低下をきたす。対応は、直ちに左側臥位にすること。予防として、後期は左側臥位を勧める。胸やけ=プロゲステロンによる下部食道括約筋の弛緩と、子宮による胃の圧迫。少量頻回、食後すぐに横にならない、上体を高くして寝る。看護の姿勢=「マイナー」という語がつくが、本人にとっては生活を大きく損なう苦痛になりうる。訴えを軽く扱わず、機序を説明し、具体的な工夫を一緒に考える。加えて、病的なもの(妊娠悪阻、妊娠高血圧症候群、胆汁うっ滞、深部静脈血栓症)を見逃さない。
間違えやすい考え方
時期を問う型で、誤肢が特定の時期に限られる症状である。機序が時期で変わるかで切る。
5分で振り返る
①頻尿は初期と後期の両方に現れる。初期は骨盤内で大きくなった子宮が膀胱を圧迫し、腎血流量と糸球体濾過量も増える。中期は子宮が腹腔内へ上がりいったん軽快する。後期は児頭が下降して再び膀胱を圧迫する。②下肢静脈瘤は中期から後期。増大した子宮が下大静脈を圧迫する。③掻痒感も中期から後期。腹部の皮膚の伸展とホルモンの影響による。④つわりは初期に限られる。5〜6週頃に始まり、8〜11週頃に最も強く、12〜16週頃までに軽快する。⑤妊娠悪阻では、体重が妊娠前より5%以上減少、脱水、尿ケトン体陽性。輸液の際はビタミンB1を補充する。⑥仰臥位低血圧症候群は、後期の仰臥位で下大静脈が圧迫され血圧が下がる。直ちに左側臥位にする。
1分チェック
- 初期と後期の両方に起こるのは。→ 頻尿(初期は子宮、後期は児頭が膀胱を圧迫)。
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