A さん(57 歳、女性)は1人暮らし。統合失調症 schizophrenia で精神科病院への入退院を繰り 返しており、今回は入院してから1年が経過している。日常生活動作〈ADL〉はほ ぼ自立し、服薬の自己管理ができるようになってきた。 A さんが退院に向けて利用するサービスとして適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
入院から1年が経過し、日常生活動作がほぼ自立し、服薬の自己管理ができるようになってきた57歳女性が、退院に向けて利用するサービスを問う。地域移行支援である。
この問題で問われていること
退院に向けた支援の制度を、対象と目的で選べるか。
しくみから理解する
地域移行支援は、障害者総合支援法にもとづく相談支援の一つになる。障害者支援施設に入所している人、または精神科病院に入院している人に対し、地域における生活へ移行するための支援を行う。具体的には、①住居の確保(見学、体験宿泊)、②地域生活へ向けた相談と同行、③外出への同行、④サービスの体験利用、⑤関係機関との調整になる。この患者は、退院を目指す段階にあり、まさにこの支援の対象になる。
選択肢ごとの確認
療養介護は、医療を要する障害のある人で、常時の介護を必要とする人に対し、医療機関で機能訓練、療養上の管理、看護、介護、そして日常生活の世話を行うものになる。この患者は日常生活動作がほぼ自立しており、該当しない。
施設入所支援は、施設に入所する人に対し、夜間と休日に、入浴、排泄、食事の介護などを行うものになる。これは施設での生活を支えるもので、地域生活への移行を目指すこの場面には合わない。
自立訓練としての機能訓練は、身体機能または生活能力の維持と向上のために、理学療法と作業療法などの訓練を行うものになる(身体障害のある人が主な対象)。精神障害のある人には、生活訓練が対応する。この患者は日常生活動作が自立しており、訓練を主目的とする段階ではない。
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混同しやすいポイント
サービスを選ぶときは、①本人の状態、②目指す方向、③制度の目的、を照合する。この患者は、①日常生活動作が自立し服薬も管理できる、②地域生活への移行を目指す段階、という条件を満たす。誤肢は、いずれも施設または医療機関での生活を支えるもの、あるいは機能の訓練を目的とするものになる。加えて、地域移行支援と対になる地域定着支援(一人暮らしを始めた後、常時の連絡体制を確保し、緊急時に対応する)も押さえておく。
理解を深める
精神障害のある人の地域生活支援を整理する。障害者総合支援法のサービス=①介護給付(居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、生活介護、短期入所、療養介護、施設入所支援、重度障害者等包括支援)、②訓練等給付(自立訓練=機能訓練と生活訓練、就労移行支援、就労継続支援A型とB型、就労定着支援、自立生活援助、共同生活援助)、③相談支援(計画相談支援、地域移行支援、地域定着支援)、④自立支援医療、⑤補装具、⑥地域生活支援事業(相談支援、意思疎通支援、日常生活用具、移動支援、地域活動支援センター、福祉ホーム)。長期入院からの退院支援=①本人の希望を聴く(長期の入院により、「退院したい」と言えなくなっていることがある。地域で暮らすことの具体的なイメージを持てるよう、見学と体験を重ねる)、②生活能力の評価と支援(金銭の管理、買い物、調理、洗濯、掃除、交通機関、そして人との関わり)、③住まいの確保(アパート、共同生活援助、そして保証人の問題)、④経済的な基盤(障害年金、生活保護、就労)、⑤医療の継続(通院、服薬、訪問看護、そして緊急時の対応)、⑥日中の過ごし方(デイケア、地域活動支援センター、就労、そして居場所)、⑦人とのつながり(家族、友人、ピアサポート)、⑧退院前カンファレンス(本人、病院、相談支援事業所、市町村、訪問看護、そして地域の事業所)、⑨退院後の早い時期の訪問。看護師の役割=日々の関わりの中で、生活する力を取り戻す支援を行い、本人の希望を引き出し、そして地域の関係者へつなぐこと。長期入院は、本人の力を奪う(施設症)ため、入院中から生活の主体性を保つ関わりが重要になる。
間違えやすい考え方
資源を選ぶ型で、誤肢が施設での生活と機能訓練である。地域生活への移行という目的で切る。
5分で振り返る
①地域移行支援は障害者総合支援法の相談支援の一つ。施設入所者と精神科病院の入院患者に対し、地域生活へ移行するための支援を行う。②内容=住居の確保(見学、体験宿泊)、相談と同行、外出への同行、サービスの体験利用、関係機関との調整。③地域定着支援は、一人暮らしを始めた後、常時の連絡体制を確保し緊急時に対応する。④療養介護は、医療を要し常時の介護を必要とする人が対象。⑤施設入所支援は、施設での夜間と休日の介護。地域移行の場面には合わない。⑥自立訓練の機能訓練は身体障害のある人が主な対象。精神障害には生活訓練が対応する。⑦長期入院は本人の力を奪う(施設症)ため、入院中から生活の主体性を保つ関わりが重要。⑧退院支援=希望を聴く、生活能力、住まい、経済、医療の継続、日中の過ごし方、人とのつながり。
1分チェック
- 退院に向けて地域生活へ移るには。→ 地域移行支援(その後は地域定着支援)。
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