筋力低下のある在宅療養者の家屋環境において転倒するリスクが最も高いのはど れか。
公式正答:1
解説
筋力低下のある在宅療養者の家屋環境において転倒する危険が最も高いものを問う。深い浴槽である。
この問題で問われていること
動作と環境の組み合わせから危険を判断できるか。
しくみから理解する
深い浴槽をまたいで出入りする動作は、①片脚立ちになる、②高く脚を上げる、③濡れて滑りやすい、④つかまる所が少ない、⑤温まって血圧が下がっている、という条件が重なるため、転倒の危険が極めて高くなる。加えて、浴室は硬い床と壁に囲まれており、転倒した際の外傷が重くなる。筋力が低下している人では、脚が十分に上がらず、浴槽の縁に引っかかることも多い。
選択肢ごとの確認
段差がない床は、転倒の危険を下げる環境になる。段差はつまずきの原因になるため、解消することが推奨される。
整理整頓された部屋も、危険を下げる環境になる。床の物、コード、そして敷物は、つまずきの原因になる。
足元灯を設置した廊下も、危険を下げる環境になる。夜間の移動では、暗さが転倒の要因になるため、足元灯は有効になる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、いずれも「危険を下げる環境」になっている。設問は危険が最も高いものを尋ねているため、消去法でも選べる。加えて、浴室が家庭内の事故の多い場所であることを押さえる。家庭内の不慮の事故による死亡では、①溺死(浴槽内)、②窒息、③転倒・転落、④その他、の順で多く、高齢者では浴槽内での溺死が大きな割合を占める。
理解を深める
在宅の転倒予防を整理する。危険な場所と対策=①浴室=浴槽をまたぐ動作(手すり、浴槽内の台、シャワーチェア、すのこで高さを調整、滑り止めマット、浴槽の縁に腰かけて回る方法)、床の滑り(滑り止め、石けんを流す)、温度差(脱衣所と浴室を暖める)、湯温(41℃以下)、長湯を避ける、食後と飲酒後を避ける、一人で入らない、家族に声をかけてから入る。②トイレ=夜間の移動、立ち上がり(手すり、便座の高さ、足元灯、ポータブルトイレ)。③階段=手すり(両側が望ましい)、滑り止め、照明、段鼻の色分け。④廊下と居室=段差の解消、敷物とコードの整理、家具の配置、足元灯。⑤玄関=上がりかまち(手すり、踏み台、椅子)。⑥屋外=門から玄関までの段差、庭、そして雨の日。用具と制度=介護保険の福祉用具貸与(手すり、スロープ、歩行器、歩行補助杖)、特定福祉用具販売(入浴補助用具、腰掛便座、簡易浴槽)、住宅改修(手すりの取付け、段差の解消、床材の変更、扉の取替え、便器の取替え。20万円を限度に、原則1割の自己負担)。本人の要因=筋力とバランス、視力、認知機能、めまい、薬剤(降圧薬、睡眠薬、抗不安薬、血糖降下薬)、履物、そして過去の転倒歴。看護=①実際の生活の場を見て評価する(本人がどう動くかを見る。想像で判断しない)、②本人の動作に合わせた提案(一般的な助言ではなく、その家の、その動線に即して)、③家族と介護支援専門員、そして福祉用具の専門相談員との連携、④転倒への恐怖により活動が減ることにも注意する(活動の減少がさらに筋力を落とす悪循環)、⑤運動の継続。
間違えやすい考え方
危険を問う型で、誤肢がすべて危険を下げる環境である。動作と条件の重なりで切る。
5分で振り返る
①深い浴槽をまたぐ動作は、片脚立ち、高く脚を上げる、濡れて滑る、つかまる所が少ない、温まって血圧が下がる、という条件が重なる。②浴室は硬い床と壁に囲まれ、転倒時の外傷が重くなる。③段差の解消、整理整頓、足元灯は、いずれも危険を下げる環境。④家庭内の不慮の事故による死亡では、浴槽内での溺死が高齢者で大きな割合を占める。⑤浴室の対策=手すり、浴槽内の台、シャワーチェア、滑り止め、脱衣所と浴室を暖める、湯温41℃以下、長湯を避ける、食後と飲酒後を避ける、一人で入らない。⑥住宅改修は介護保険で20万円を限度に原則1割負担。⑦実際の生活の場を見て、本人がどう動くかを評価する。想像で判断しない。⑧転倒への恐怖による活動の減少が、さらに筋力を落とす悪循環にも注意する。
1分チェック
- 在宅で転倒の危険が最も高いのは。→ 深い浴槽(またぐ動作+濡れ+血圧低下)。
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