病院における医療安全文化の醸成につながる行動はどれか。
公式正答:2
解説
病院における医療安全文化の醸成につながる行動を問う。他の病棟で起こったインシデントについて学ぶことである。
この問題で問われていること
安全文化が何を指すかを理解しているか。
しくみから理解する
医療安全文化とは、組織の全員が安全を最優先し、①失敗を隠さず報告できる、②報告した者が責められない、③報告から学び、仕組みを改める、④現場の声が上層部へ届く、⑤安全のために必要な資源が割かれる、という状態を指す。他の病棟で起きたインシデントについて学ぶことは、①事例を組織全体で共有し、②自分の病棟でも起こりうると捉え、③あらかじめ対策を講じる、という点で、まさに安全文化の中核になる行動になる。
選択肢ごとの確認
食事介助を30分以内で行うルールを決めることは、安全につながらない。時間を区切ることは、急いで介助することにつながり、誤嚥の危険を高める。食事に要する時間は、その人の嚥下の状態と食事の量により異なる。加えて、一律のルールで現場を縛ることは、個別の状況に応じた判断を妨げる。
薬剤を間違えても影響がない場合に患者に説明しないことは、誤りになる。影響の有無にかかわらず、患者に生じた事実は伝えることが原則になる。加えて、隠すことは信頼を失い、また同じ誤りが繰り返される。報告と共有により、なぜ起きたかを分析し、仕組みを改めることができる。
水薬の内服時にこぼれた量が少ない場合にそのままとすることも誤りになる。実際に投与された量が不明であれば、効果と副作用の評価ができない。こぼれたことを報告し、どう対応するかを医師と相談する。少量だから問題ないという判断を個人で行うことが、事故の温床になる。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
誤肢は、①現場を縛る一律のルール、②隠す、③自己判断で済ませる、の3つになる。いずれも、安全文化とは逆方向になる。安全文化を支える考え方=①人は誤るという前提に立つ(人を責めても再発は防げない)、②誤りを個人の資質ではなく、仕組みの問題として捉える、③報告を罰しない(非懲罰性)、④小さな出来事も共有する、⑤現場が主体となって改善する。
理解を深める
医療安全を整理する。用語=①インシデント(ヒヤリ・ハット。誤りが生じたが、患者に影響が及ばなかった、または軽微だったもの)、②アクシデント(患者に不利益が生じたもの)、③レベル分類(レベル0=誤りが実施される前に発見、レベル1=実施されたが影響なし、レベル2=観察の強化を要した、レベル3a=簡単な処置を要した、レベル3b=濃厚な処置を要した、レベル4=障害が残った、レベル5=死亡)。分析の手法=①根本原因分析(なぜを繰り返し、背景要因と仕組みの問題を明らかにする)、②スイスチーズモデル(複数の防御の層の穴が重なったときに事故が起こる。穴を減らし、層を増やす)、③ハインリッヒの法則(1件の重大な事故の背景に、29件の軽微な事故と300件のヒヤリ・ハットがある)、④エラーの分類(スリップ=やり方は分かっていたが手が滑った、ラプス=忘れた、ミステイク=そもそも判断を誤った、違反=意図的に手順から外れた)。対策=①人に頼らない仕組み(間違えられない設計、色分け、形状の違い、機器のロック、電子的な確認)、②標準化(手順、名称、配置)、③二重の確認(ただし、形骸化しやすい。何をどう確認するかを明確にする)、④指差し呼称と復唱、⑤患者確認(フルネームを本人に名乗ってもらう。ネームバンドと照合する)、⑥6つの正しい確認(正しい患者、薬剤、量、方法、時間、目的)、⑦報告の仕組み、⑧教育と訓練、⑨疲労と人員の管理(長時間労働と人手不足は、誤りの背景要因になる)。医療事故が起きたとき=①患者の安全を最優先に対応する、②事実を記録する、③報告する、④患者と家族へ誠実に説明する、⑤原因を分析し、再発を防ぐ、⑥当事者となった職員を支える(第二の被害者として、強い自責と心理的な影響を受ける)。
間違えやすい考え方
安全文化を問う型で、誤肢が縛る・隠す・自己判断で済ませるものである。報告と学びの共有で切る。
5分で振り返る
①医療安全文化=失敗を隠さず報告でき、報告した者が責められず、報告から学び仕組みを改める状態。②他の病棟のインシデントを学ぶことは、事例を組織全体で共有し、自分の病棟でも起こりうると捉え、あらかじめ対策を講じることになる。③食事介助を時間で区切ることは、急いだ介助につながり誤嚥の危険を高める。④影響の有無にかかわらず、患者に生じた事実は伝える。隠すことは信頼を失い、同じ誤りを繰り返す。⑤こぼれた量が不明なら効果と副作用の評価ができない。報告し、医師と相談する。⑥人は誤るという前提に立ち、個人ではなく仕組みの問題として捉える。報告を罰しない。⑦ハインリッヒの法則=1件の重大事故の背景に29件の軽微な事故と300件のヒヤリ・ハット。⑧当事者となった職員も支援を要する。
1分チェック
- 安全文化につながるのは。→ 他の部署のインシデントから学ぶこと。
この問題に対応する教材の確認中です。