大規模災害発生後2か月が経過し、応急仮設住宅で生活を始めた被災地の住民に 出現する可能性が高い健康問題はどれか。
公式正答:1
解説
大規模災害の発生から2か月が経過し、応急仮設住宅で生活を始めた被災地の住民に出現する可能性が高い健康問題を問う。慢性疾患の悪化である。
この問題で問われていること
災害の時期ごとに、生じる健康問題が変わることを理解しているか。
しくみから理解する
発災から2か月は、慢性期にあたる。この時期には、①医療機関の被災と受診の中断により、内服が途切れる、②食事が偏る(保存食、炭水化物と塩分に偏り、野菜と蛋白質が不足する)、③活動量が減る、④住環境の変化と将来への不安によるストレス、⑤飲酒と喫煙が増える、⑥定期的な検査を受けられない、といった要因が重なり、高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病、そして心疾患の悪化が現れる。加えて、応急仮設住宅への移動により、それまでの人間関係が絶たれ、孤立が生じることも要因になる。
選択肢ごとの確認
消化器感染症の発症は、主に発災の直後から数週間(急性期から亜急性期)に多い。上下水道の断絶、手洗いの困難、そして避難所での集団生活により、ノロウイルスなどが広がりやすい。2か月の時点では、生活環境が一定程度整い、危険は下がっている。
深部静脈血栓症の発症も、主に急性期に多い。車中泊、避難所での同一姿勢、水分の摂取の制限(トイレを控えるため)により生じる。ただし、応急仮設住宅の時期でも、活動量の低下により危険は残る。
急性ストレス障害は、出来事から3日以上1か月以内に生じるものになる。2か月の時点では、心的外傷後ストレス障害として捉える時期に入る。
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混同しやすいポイント
時期と健康問題を対応づける。①超急性期(〜48時間)=外傷、クラッシュ症候群、低体温、②急性期(〜1週間)=感染症、深部静脈血栓症、急性ストレス反応、持病の中断、③亜急性期(〜1か月)=感染症、生活不活発病、エコノミークラス症候群、便秘、不眠、④慢性期(1か月〜)=慢性疾患の悪化、生活不活発病、心的外傷後ストレス障害、抑うつ、孤立、アルコールの問題、⑤復興期=生活の再建、孤独死、そしてコミュニティの再構築。誤肢は、いずれもより早い時期の問題になる。
理解を深める
災害の慢性期の看護を整理する。応急仮設住宅での課題=①孤立(それまでの近所づきあいが絶たれる。とくに高齢者と単身者)、②生活不活発病(することがなく、動かなくなる。歩けなくなる、認知機能が落ちる)、③慢性疾患の悪化、④心の問題(抑うつ、不安、心的外傷後ストレス障害、アルコールの問題、自殺)、⑤経済的な困難(仕事の喪失、住宅の再建の費用)、⑥住環境(狭さ、断熱と結露、騒音、段差)、⑦将来の見通しの立たなさ。支援=①戸別訪問と見守り、②健康調査と、必要な人への個別の支援、③集会所での交流の場(お茶会、体操、健康教室)、④生活不活発病の予防(役割をつくる、外へ出る機会、運動)、⑤慢性疾患の管理(受診と服薬の継続、食事、運動)、⑥心のケア(話を聴く、専門的な支援へつなぐ)、⑦アルコールの問題への対応、⑧子どもと高齢者への配慮、⑨コミュニティの再構築(住民が主体となる活動の支援)、⑩支援者自身のケア。生活不活発病(廃用症候群)=災害後に特に問題になる。①することがない、②役割がない、③環境が変わり動きにくい、④遠慮して動かない、⑤「安静にしていなさい」と言われる、という理由で活動が減り、心身の機能が低下する。予防=毎日の生活の中で動く機会をつくる、役割を持つ、外へ出る、人と会う。支援の変化=時間の経過とともに、外部からの支援は減っていく。支援が引くときこそ孤立が生じやすいため、地域の中で支え合う仕組みへ引き継ぐことが重要になる。
間違えやすい考え方
時期と問題を問う型で、誤肢がすべてより早い時期の問題である。2か月=慢性期で切る。
5分で振り返る
①発災から2か月は慢性期。受診の中断、食事の偏り、活動量の低下、ストレス、飲酒と喫煙の増加により、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心疾患が悪化する。②応急仮設住宅への移動により、それまでの人間関係が絶たれ孤立が生じる。③消化器感染症は、上下水道の断絶と避難所の集団生活により、主に急性期から亜急性期に多い。④深部静脈血栓症も主に急性期(車中泊、同一姿勢、水分の制限)。⑤急性ストレス障害は3日以上1か月以内。2か月では心的外傷後ストレス障害として捉える。⑥慢性期の課題=孤立、生活不活発病、慢性疾患の悪化、抑うつとアルコールの問題、経済的困難。⑦生活不活発病は、することがない・役割がない・遠慮して動かないことで生じる。⑧支援が引くときこそ孤立が生じやすい。
1分チェック
- 応急仮設住宅の時期(2か月後)に多いのは。→ 慢性疾患の悪化。
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