後天性の大動脈弁狭窄症 aortic stenosis について正しいのはどれか。
公式正答:2
解説
後天性の大動脈弁狭窄症について正しいものを問う。弁尖の石灰化による、である。
この問題で問われていること
弁の狭窄が心臓に何をもたらすかを説明できるか。
しくみから理解する
後天性の大動脈弁狭窄症で、現在最も多い原因は加齢に伴う弁の変性と石灰化になる。動脈硬化と同様の機序により、弁尖に脂質が沈着し、炎症を経て線維化と石灰化が進み、弁が硬くなって開きにくくなる。高齢化に伴い、この型が増えている。かつて多かったリウマチ性のものは減少した。
選択肢ごとの確認
二尖弁が多いというのは、先天性のものになる。大動脈弁は通常3枚の弁尖からなるが、生まれつき2枚の人が1〜2%程度おり、弁にかかる負担が大きいため、比較的若年(50〜60歳代)で狭窄をきたす。この設問は後天性を尋ねているため、当てはまらない。
左室壁は薄くなるのではなく、厚くなる。狭くなった弁を通して血液を送り出すため、左心室は強い圧に対抗する必要があり、求心性の肥大を生じる。長期には、拡張機能の低下、そして最終的には収縮機能の低下と心不全へ進む。
心雑音は拡張期ではなく、収縮期に聴取する。左心室が収縮して、狭い弁を血液が通るときに生じるためになる。収縮期駆出性雑音といい、第2肋間胸骨右縁を最強点とし、頸部へ放散する。拡張期の雑音は、大動脈弁閉鎖不全と僧帽弁狭窄で聴かれる。
心筋の酸素需要は減少せず、増加する。肥大した心筋は、より多くの酸素を必要とする。一方、肥大により冠血流の予備は減り、また心拍出量の低下により冠動脈への血流も減るため、需要と供給の不均衡が生じる。その結果、冠動脈に狭窄がなくても狭心症状が現れる。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
「弁が狭い→送り出しにくい→左心室が頑張る→肥大する」という一本の流れから、すべてが導ける。①肥大するので壁は厚くなる、②肥大した心筋は酸素をより必要とする、③収縮期に狭い弁を通るので収縮期雑音。誤肢は、この流れの逆を述べているか、先天性のものになる。
理解を深める
大動脈弁狭窄症を整理する。原因=①加齢に伴う変性と石灰化(現在最も多い)、②先天性の二尖弁、③リウマチ性(減少している)。症状=①長く無症状の時期が続く(代償されるため)、②三徴=狭心痛、失神、心不全(労作時呼吸困難)。症状が出現すると予後が急速に悪化し、無治療では、狭心痛で平均5年、失神で3年、心不全で2年とされる。したがって、症状の出現は治療の重要な契機になる。所見=①収縮期駆出性雑音(第2肋間胸骨右縁、頸部へ放散)、②脈が小さく、立ち上がりが遅い(遅脈、小脈)、③心尖拍動の増強、④心電図で左室肥大、⑤心エコーで弁の石灰化、弁口面積の減少、圧較差の上昇、左室肥大。治療=①症状のある重症例では手術(大動脈弁置換術)、②高齢者と手術の危険が高い例では、経カテーテル的大動脈弁植込み術、③薬物療法は症状の緩和にとどまり、狭窄そのものは治せない。看護=①症状の観察(労作時の胸痛、失神、めまい、呼吸困難)、②活動の指導(過度の労作と、急に立ち上がる動作を避ける。失神の危険がある)、③脱水と血管拡張薬に注意する(前負荷が減ると、心拍出量が保てず失神する)、④感染性心内膜炎の予防(歯科処置の際の抗菌薬。口腔の清潔)、⑤手術前後の管理、⑥抗凝固療法(機械弁では生涯必要。ワルファリンの管理と、納豆などの制限)、⑦定期的な受診。その他の弁膜症=①大動脈弁閉鎖不全(拡張期雑音、脈圧の増大、水衝脈)、②僧帽弁狭窄(拡張期ランブル、心房細動と血栓、左房の拡大)、③僧帽弁閉鎖不全(収縮期雑音、心尖部で最強、左腋窩へ放散)。
間違えやすい考え方
疾患の正誤を問う型で、誤肢が先天性のものと流れの逆である。弁が狭い→左室が肥大するで切る。
5分で振り返る
①後天性の大動脈弁狭窄症で最も多い原因は、加齢に伴う変性と石灰化。動脈硬化と同様の機序による。②二尖弁は先天性で、比較的若年(50〜60歳代)で狭窄をきたす。③狭い弁を通して送り出すため、左心室は求心性に肥大し、壁は厚くなる。④雑音は収縮期(収縮期駆出性雑音。第2肋間胸骨右縁、頸部へ放散)。拡張期の雑音は大動脈弁閉鎖不全と僧帽弁狭窄。⑤肥大した心筋は酸素需要が増え、冠血流の予備は減るため、冠動脈に狭窄がなくても狭心症状が出る。⑥三徴=狭心痛、失神、心不全。症状が出ると予後が急速に悪化する。⑦治療は大動脈弁置換術、または経カテーテル的大動脈弁植込み術。⑧脱水と血管拡張薬に注意する(前負荷が減ると失神する)。
1分チェック
- 後天性の大動脈弁狭窄症は。→ 弁尖の石灰化による。左室は肥大し、収縮期雑音を聴取する。
この問題に対応する教材の確認中です。