褐色細胞腫〈pheochromocytoma〉で みられるのはどれか。
公式正答:1
解説
褐色細胞腫でみられるものを問う。高血糖である。
この問題で問われていること
カテコールアミンの作用から症状を導けるか。
しくみから理解する
褐色細胞腫は、副腎髄質(または傍神経節)の腫瘍で、カテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)を過剰に分泌する。カテコールアミンは、①肝でのグリコーゲンの分解と糖新生を促進する、②インスリンの分泌を抑制する、③末梢での糖の利用を減らす、という作用を持つため、血糖が上昇する。加えて、発作性の高血圧、頭痛、動悸、発汗、そして代謝の亢進(体重減少)が現れる。
選択肢ごとの確認
中心性肥満はクッシング症候群の所見になる。コルチゾールの過剰による脂肪の再分布による。褐色細胞腫では、代謝が亢進して体重は減少する。
満月様顔貌もクッシング症候群の所見になる。
血清カリウム濃度の低下は、原発性アルドステロン症とクッシング症候群でみられる。ただし機序は異なり、原発性アルドステロン症ではアルドステロンがカリウムの排泄を促すため、クッシング症候群では過剰なコルチゾール自体が鉱質コルチコイド受容体を刺激するためである(とくに異所性ACTH産生腫瘍で顕著)。クッシング症候群のアルドステロンはむしろ正常から低値になる。褐色細胞腫では、カリウムの低下は特徴ではない。
副腎皮質ホルモンの産生の亢進も該当しない。褐色細胞腫は副腎髄質の腫瘍であり、産生されるのはカテコールアミンになる。副腎皮質と髄質は、発生も機能も異なる。
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混同しやすいポイント
副腎の疾患を、どの部位からどのホルモンが出るかで整理する。①副腎皮質=球状層からアルドステロン(原発性アルドステロン症=高血圧と低カリウム血症)、束状層からコルチゾール(クッシング症候群=中心性肥満、満月様顔貌、高血糖、高血圧、低カリウム血症、骨粗鬆症)、網状層から副腎アンドロゲン、②副腎髄質=カテコールアミン(褐色細胞腫=発作性高血圧、頭痛、動悸、発汗、高血糖、体重減少)。誤肢は、いずれも副腎皮質の疾患の所見になる。
理解を深める
褐色細胞腫を整理する。特徴=「10%病」と呼ばれ、およそ10%が悪性、10%が両側性、10%が副腎外(傍神経節腫)、10%が家族性(遺伝性の症候群に伴う)とされる。ただし、近年の研究では、遺伝性の割合はより高いとされる。症状=①発作性の高血圧(持続性のこともある)、②頭痛、③動悸、④発汗、この3つを合わせて三徴という。加えて、⑤蒼白、⑥不安と振戦、⑦体重減少、⑧高血糖、⑨便秘、⑩起立性低血圧(血管が常に収縮しており、循環血漿量が減っているため)。発作の誘因=体位の変換、腹部の圧迫、排尿(膀胱に発生した場合)、運動、ストレス、そして特定の薬剤。診断=①血中と尿中のカテコールアミンとその代謝産物(メタネフリン、ノルメタネフリン、バニリルマンデル酸)の測定、②画像検査(コンピュータ断層撮影、磁気共鳴画像、そして核医学検査による局在の診断)。治療=①手術(腫瘍の摘出)、②術前の準備が極めて重要になる。あらかじめアルファ遮断薬を投与して血管を拡張させ、循環血漿量を増やしておく(この準備なしに手術を行うと、腫瘍の操作によりカテコールアミンが大量に放出され、危機的な高血圧を招く。逆に、摘出後は急激な血圧低下とショックを起こす)、③ベータ遮断薬は、アルファ遮断薬の後に用いる(先に用いると、血管の拡張作用が失われ、高血圧が悪化する)。看護=①血圧の頻回の測定と、発作の記録、②発作の誘因を避ける(腹部の圧迫、急な体位変換、ストレス)、③術前の薬物療法の管理と、水分の補給、④術中と術後の血圧の急変への備え、⑤術後の血糖と副腎機能の観察、⑥不安への対応。
間違えやすい考え方
症状を問う型で、誤肢がすべて副腎皮質の疾患の所見である。髄質か皮質かで切る。
5分で振り返る
①褐色細胞腫は副腎髄質(または傍神経節)の腫瘍で、カテコールアミンを過剰に分泌する。②カテコールアミンは、グリコーゲンの分解と糖新生を促進し、インスリンの分泌を抑えるため、血糖が上昇する。③三徴=頭痛、動悸、発汗。加えて発作性の高血圧、蒼白、体重減少、便秘、起立性低血圧。④中心性肥満、満月様顔貌、低カリウム血症は、副腎皮質の疾患(クッシング症候群、原発性アルドステロン症)の所見。⑤副腎皮質=アルドステロン、コルチゾール、副腎アンドロゲン。副腎髄質=カテコールアミン。⑥「10%病」=悪性、両側性、副腎外、家族性がそれぞれ約10%とされる。⑦診断=血中と尿中のカテコールアミンと代謝産物(メタネフリン、バニリルマンデル酸)。⑧術前にアルファ遮断薬で準備する。ベータ遮断薬を先に用いない。
1分チェック
- 褐色細胞腫では。→ 高血糖(カテコールアミンの過剰)。三徴は頭痛・動悸・発汗。
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