Guillain-Barré〈ギラン・バレー〉症候群 Guillain-Barré syndrome で正しいのはどれか。
公式正答:5
解説
ギラン・バレー症候群で正しいものを問う。抗ガングリオシド抗体が出現する、である。
この問題で問われていること
この疾患の機序を説明できるか。
しくみから理解する
ギラン・バレー症候群は、先行する感染(カンピロバクター、サイトメガロウイルス、エプスタイン・バーウイルス、マイコプラズマなど)の後に生じる、自己免疫性の末梢神経障害になる。病原体の表面の構造が、末梢神経のガングリオシド(糖脂質)と似ているため、病原体に対して作られた抗体が、自分の末梢神経も攻撃する(分子擬態)。したがって、血中に抗ガングリオシド抗体が検出される。
選択肢ごとの確認
若年者に多いとはいえない。あらゆる年齢に発症し、やや高齢で発症率が高くなる傾向がある。
遺伝性疾患ではない。感染を契機とする自己免疫性の疾患になる。
骨格筋に病因があるのではない。病変の主座は末梢神経(髄鞘、または軸索)になる。筋そのものに病因があるのは、筋ジストロフィーと多発性筋炎になる。
症状に日内変動があるのは重症筋無力症になる。神経筋接合部でアセチルコリン受容体に対する自己抗体が働き、朝は軽く、夕方に悪化する(日内変動)、そして反復する運動で悪化し休息で回復する(易疲労性)という特徴を示す。ギラン・バレー症候群では、症状は急速に進行し、日内変動はない。
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混同しやすいポイント
神経筋疾患を、病変の部位で分ける。①末梢神経=ギラン・バレー症候群、糖尿病性神経障害、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、②神経筋接合部=重症筋無力症、ボツリヌス中毒、③筋=筋ジストロフィー、多発性筋炎と皮膚筋炎、④運動ニューロン=筋萎縮性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症、⑤中枢=多発性硬化症(中枢の脱髄)。誤肢は、①年齢、②遺伝性、③部位、④日内変動という4点を誤っている。
理解を深める
ギラン・バレー症候群を整理する。経過=①先行感染(1〜3週間前の上気道感染または胃腸炎)、②急性に発症し、③下肢から始まり上行する筋力低下(両側性、左右対称)、④深部腱反射の消失(早期から現れる重要な所見)、⑤感覚障害(しびれ、異常感覚。運動障害より軽いことが多い)、⑥4週間以内に症状が極期に達し、その後は改善へ向かう(単相性の経過)。重症例=①呼吸筋の麻痺(人工呼吸を要することがある。最も注意すべき合併症)、②嚥下障害と構音障害(脳神経の障害)、③自律神経症状(不整脈、血圧の変動、尿閉、腸の麻痺)。診断=①臨床経過、②髄液検査(タンパク細胞解離=タンパクが増加するのに細胞数は増えない。発症後1週間以降に明らかになる)、③神経伝導検査、④抗ガングリオシド抗体。治療=①免疫グロブリン大量静注療法、②血漿交換、③支持療法(呼吸の管理、自律神経の監視、深部静脈血栓症の予防、疼痛の管理、リハビリテーション)。副腎皮質ステロイドは有効性が示されていない。予後=多くは数か月から1年で回復するが、一部に後遺症が残り、また死亡することもある。看護=①呼吸の観察(呼吸数、努力呼吸、肺活量、酸素飽和度、そして「息苦しい」という訴え。急速に悪化しうるため、頻回に評価する)、②嚥下と誤嚥、③自律神経(心電図モニター、血圧の変動、排尿と排便)、④疼痛(神経障害性の痛みが強いことがある)、⑤関節の拘縮と褥瘡の予防、⑥深部静脈血栓症の予防、⑦不安への対応(急に動けなくなり、呼吸まで危うくなる体験は、強い恐怖を伴う。加えて、人工呼吸下では意思を伝えられない。意識は保たれているため、必ず声をかけ、説明し、意思を伝える手段を確保する)、⑧回復期のリハビリテーション。
間違えやすい考え方
疾患の正誤を問う型で、誤肢が年齢・遺伝性・部位・日内変動を誤る。末梢神経の自己免疫という機序で切る。
5分で振り返る
①ギラン・バレー症候群は、先行感染(カンピロバクター、サイトメガロウイルス、マイコプラズマなど)の後に生じる自己免疫性の末梢神経障害。②病原体の構造が末梢神経のガングリオシドと似ているため、抗体が自分の神経を攻撃する(分子擬態)。抗ガングリオシド抗体が検出される。③遺伝性ではない。病変の主座は末梢神経であり、骨格筋ではない。④症状の日内変動があるのは重症筋無力症(朝は軽く夕方に悪化、易疲労性)。⑤下肢から始まり上行する左右対称の筋力低下、深部腱反射の消失が特徴。4週間以内に極期に達する単相性の経過。⑥髄液でタンパク細胞解離(タンパクは増えるが細胞は増えない)。⑦最も注意すべき合併症は呼吸筋の麻痺。呼吸を頻回に評価する。⑧治療は免疫グロブリン大量静注療法と血漿交換。ステロイドは有効性が示されていない。
1分チェック
- ギラン・バレー症候群では。→ 抗ガングリオシド抗体が出現する(先行感染後の自己免疫)。
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