成人の人体図(別冊No. 2)を別に示す。 意識清明で不整脈〈arrhythmia〉のある成人の脈拍測定時に一般的に使われる部位はどれか。
公式正答:3
解説
意識清明で不整脈のある成人の脈拍測定時に、一般的に使われる部位を問う。橈骨動脈にあたるCである。
この問題で問われていること
日常的に用いる測定部位を知っているか。
しくみから理解する
脈拍の測定には、通常、橈骨動脈を用いる。理由は、①体表の浅い位置を走り、触れやすい、②橈骨の遠位端という硬い骨の上にあるため、圧迫して触知しやすい、③衣服を脱がせずに測れる、④患者に負担と羞恥を与えない、になる。測定は、示指、中指、薬指の3本の指腹を軽く当て、1分間測る(不整脈がある場合は必ず1分間測る。15秒を4倍する方法では、不規則な脈を正しく数えられない)。
選択肢ごとの確認
Aは該当しない。頸動脈は、意識のない患者で心停止を判断する際に用いる。日常の脈拍の測定では、圧迫により徐脈と血圧低下を招く(頸動脈洞反射)、また左右同時に圧迫してはならない、という危険があるため用いない。
Bも該当しない。上腕動脈は、血圧の測定と、小児の脈拍の触知に用いる。
Dも該当しない。大腿動脈は、下肢の循環の評価と、動脈穿刺に用いる。日常の測定では、露出を要するため用いない。
Eも該当しない。足背動脈は、下肢の末梢循環の評価に用いる。動脈硬化のある人では触れないことがあり、また個体差もある。
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混同しやすいポイント
測定部位を、目的ごとに整理する。①日常の脈拍=橈骨動脈、②心停止の判断(成人)=頸動脈、③心停止の判断(乳児)=上腕動脈、④血圧の測定=上腕動脈(または膝窩動脈)、⑤下肢の循環=足背動脈、後脛骨動脈、膝窩動脈、⑥動脈血の採血=橈骨動脈、上腕動脈、大腿動脈。不整脈がある場合は、①1分間測る、②橈骨動脈で触れる脈拍数と、心尖部で聴取する心拍数を同時に測り、差(脈拍欠損)を確認する。心房細動では、収縮が弱く末梢まで届かない拍動があるため、脈拍数が心拍数より少なくなる。
理解を深める
バイタルサインの測定を整理する。脈拍=①数(成人60〜80回/分。100を超えると頻脈、60未満で徐脈)、②リズム(整、不整)、③大きさ(大脈、小脈)、④緊張度(硬さ)、⑤左右差(大動脈解離、鎖骨下動脈の狭窄)、⑥脈拍欠損。呼吸=①数(成人12〜20回/分)、②深さ、③リズム、④型(チェーン・ストークス呼吸=無呼吸と過呼吸を周期的に繰り返す。心不全、脳障害、終末期。ビオー呼吸=不規則な無呼吸と呼吸を繰り返す。中枢神経の障害。クスマウル呼吸=深く大きい呼吸が持続する。代謝性アシドーシス、糖尿病性ケトアシドーシス)、⑤呼吸音と副雑音、⑥努力呼吸(鼻翼呼吸、陥没呼吸、下顎呼吸、起坐呼吸、呼吸補助筋の使用)。測定の際は、患者に意識させると変化するため、脈拍を測るふりをして観察するとよい。体温=①腋窩(日本で最も一般的。10分程度、または電子体温計の予測式)、②口腔(腋窩よりやや高い)、③鼓膜(短時間で測れるが、測り方により誤差が出る)、④直腸(最も深部体温に近いが、侵襲がある)。血圧=①カフの幅(上腕の周囲のおよそ40%、成人で12〜14cm)、②巻き方(下縁が肘窩から2〜3cm上、指が1〜2本入る程度)、③腕の高さ(心臓の高さ)、④測定前の安静(1〜2分)、⑤誤差の原因(カフが狭い・緩い=高く出る、カフが広い・きつい=低く出る、腕が心臓より低い=高く出る)。意識=ジャパン・コーマ・スケールとグラスゴー・コーマ・スケール。
間違えやすい考え方
測定部位を問う型で、誤肢が他の目的で用いる部位である。日常の測定で触れやすい部位で切る。
5分で振り返る
①脈拍の測定には橈骨動脈を用いる。体表の浅い位置を走り、骨の上にあって触知しやすく、衣服を脱がせずに測れる。②示指、中指、薬指の3本の指腹を軽く当てる。③不整脈がある場合は必ず1分間測る。15秒を4倍する方法では正しく数えられない。④頸動脈は、意識のない患者の心停止の判断に用いる。日常の測定では、頸動脈洞反射による徐脈と血圧低下の危険があり用いない。左右同時に圧迫しない。⑤上腕動脈は血圧の測定と乳児の脈拍の触知、足背動脈は下肢の末梢循環の評価に用いる。⑥心房細動では、末梢まで届かない拍動があるため、脈拍数が心拍数より少なくなる(脈拍欠損)。⑦成人の脈拍は60〜80回/分。100超で頻脈、60未満で徐脈。
1分チェック
- 脈拍の測定は。→ 橈骨動脈(不整脈があれば1分間測る)。
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