小児期における消化器の特徴で正しいのはどれか。
公式正答:1
解説
小児期における消化器の特徴で正しいものを問う。新生児期は胃内容物が食道に逆流しやすい、である。
この問題で問われていること
新生児と乳児の消化器の未熟さを説明できるか。
しくみから理解する
新生児と乳児では、①胃が縦に長く、噴門部の括約筋の働きが弱い、②胃の形が成人のような湾曲に乏しく、筒状に近い、③食道と胃のなす角度(ヒス角)が鈍い、④胃の容量が小さい、⑤仰臥位で過ごす時間が長い、という理由で、胃の内容物が食道へ逆流しやすい。このため、授乳の後に排気(げっぷ)をさせ、上体を高くした体位をとることが必要になる。溢乳(授乳後に少量の乳を口から出すこと)は、この時期の生理的な現象になる。
選択肢ごとの確認
乳児期のリパーゼの活性は、成人と同程度ではない。膵リパーゼの活性は低く、胆汁酸の分泌も少ないため、脂肪の消化と吸収の力は成人より劣る。これを補うため、母乳には脂肪を分解する酵素(胆汁酸刺激リパーゼ)が含まれている。
ラクターゼの活性は、1歳以降に急速に高まるのではない。乳汁を主な栄養とする乳児期に最も高く、離乳の進行とともに低下していく。成人になると、多くの人で活性が下がり、乳糖不耐の状態になる(人種差が大きく、日本人を含むアジア系では活性が低下する人が多い)。
アミラーゼの活性は、12〜13歳で成人と同程度になるのではない。膵アミラーゼの活性は出生時には低く、生後数か月から高まり、2〜3歳頃までに成人に近い水準に達するとされる。なお、唾液アミラーゼは比較的早くから働く。
出生直後の腸内細菌叢は、母親の腸内細菌叢と同一ではない。胎児の腸管はほぼ無菌に近い状態で、出生時に産道と周囲の環境から菌を獲得する。その後、栄養(母乳か人工乳か)、分娩の方法(経腟か帝王切開か)、抗菌薬の使用、そして生活環境により、独自の細菌叢が形成されていく。母乳栄養児ではビフィズス菌が優勢になる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、①酵素の活性の程度、②活性の変化の方向、③時期、④細菌叢の成り立ちを、それぞれ誤っている。小児の身体の特徴は、原則として「未熟であり、成長とともに成人に近づく」と捉える。ただし、ラクターゼのように、乳児期に最も高く、その後低下するものもある点が例外になる。
理解を深める
小児の身体の特徴を整理する。消化器=①胃の容量(新生児で30〜60mL、生後1か月で90〜150mL、1歳で400〜500mL)、②胃の形(筒状に近く、噴門の括約が弱い。逆流しやすい)、③溢乳と嘔吐(生理的な溢乳と、病的な嘔吐=噴水状、胆汁性、血性を区別する。肥厚性幽門狭窄症では、生後2〜3週頃から噴水状嘔吐が始まる)、④腸の長さが体格に比して長い、⑤消化酵素の未熟さ、⑥腸内細菌叢の形成、⑦排便(新生児は胎便=暗緑色で粘稠、その後移行便を経て、母乳栄養児では黄色から緑色の柔らかい便を頻回に、人工乳栄養児ではやや硬く回数が少ない便になる)。呼吸器=①気道が細く、粘膜の浮腫で容易に狭窄する、②鼻呼吸が主体(乳児)、③胸郭が円柱形で、肋骨が水平に近く、横隔膜による腹式呼吸が主体、④呼吸数が多い(新生児40〜50、乳児30〜40、幼児20〜30、学童18〜20、成人12〜20)、⑤呼吸予備能が小さく、容易に呼吸不全に陥る。循環=①心拍数が多い(新生児120〜140、乳児120〜130、幼児100〜110、学童80〜90)、②血圧は低い、③循環血液量は体重あたりでは多いが、絶対量は少ないため、少量の出血でもショックに至る。腎=①糸球体濾過量が少なく、尿の濃縮力が未熟、②水分と電解質のバランスを崩しやすい。体温=①体表面積が体重に比して大きく、熱を失いやすい、②体温調節の機能が未熟、③環境の温度の影響を受けやすい。水分=体重に占める水分の割合が高い(新生児で約75〜80%、乳児で約70%、成人で約60%)。これらの特徴が、小児が急速に状態を悪化させる理由になる。
間違えやすい考え方
身体の特徴を問う型で、誤肢が酵素の活性と細菌叢を誤る。未熟であるという原則で切る。
5分で振り返る
①新生児と乳児は、噴門部の括約が弱く、胃が筒状に近く、ヒス角が鈍いため、胃内容物が食道へ逆流しやすい。②授乳後は排気をさせ、上体を高くした体位をとる。溢乳は生理的な現象。③乳児期のリパーゼの活性は成人より低い。母乳には脂肪を分解する酵素が含まれる。④ラクターゼの活性は乳児期に最も高く、離乳とともに低下する。1歳以降に高まるのではない。⑤膵アミラーゼは出生時に低く、2〜3歳頃までに成人に近づく。⑥出生直後の腸管はほぼ無菌に近く、出生時に産道と環境から菌を獲得する。母乳栄養児ではビフィズス菌が優勢になる。⑦胃の容量=新生児30〜60mL、1か月90〜150mL、1歳400〜500mL。⑧体重に占める水分の割合=新生児75〜80%、乳児70%、成人60%。
1分チェック
- 新生児の胃は。→ 逆流しやすい(噴門の括約が弱く、筒状に近い)。
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