感覚受容にリンパ液の動きが関与するのはどれか。2つ選べ。
公式正答:2・5
解説
内耳は液体で満たされている。その液体(内リンパ・外リンパ)の動きが有毛細胞を刺激するのが聴覚と平衡感覚。
この問題で問われていること
内耳の構造と、そこで受け取る2つの感覚を結びつけられるか。受容の仕組みが液体の動きであることを知っているか。
しくみから理解する
内耳は骨迷路のなかに膜迷路が入った二重の構造で、骨迷路と膜迷路のあいだが外リンパ、膜迷路の内部が内リンパで満たされている。音が伝わると、鼓膜から耳小骨を経て前庭窓が振動し、外リンパに波が生じる。この波が蝸牛管の基底板を揺らし、その上のコルチ器にある有毛細胞の感覚毛が動いて興奮する。これが聴覚。平衡感覚では、半規管の内リンパが頭の回転に遅れて動くことでクプラが傾き、有毛細胞が興奮して回転加速度を感じる。前庭(卵形嚢・球形嚢)では耳石が重力や直線加速度で動き、その下の有毛細胞を刺激する。いずれも液体または耳石の動きを有毛細胞が受け取るという共通の仕組みである。 【接地元】ガイトン生理学 聴覚(第53章)、三年解剖学総まとめ(聴覚器・平衡覚器)、人体の構造と機能 第5版
選択肢ごとの確認
鼻腔上部の嗅上皮で、空気中の化学物質が嗅覚受容器に結合して感じる。リンパ液は関与しない。
外リンパの振動が基底板を揺らし、コルチ器の有毛細胞を刺激する。
舌の味蕾で、唾液に溶けた化学物質が味細胞に作用して感じる。唾液はリンパ液ではない。
深部感覚の一つで、皮下や骨膜のパチニ小体などが振動を受け取る。後索-内側毛帯路を通る体性感覚で、内耳とは無関係。
半規管の内リンパの動きと、前庭の耳石の動きが有毛細胞を刺激する。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
「振動感覚」は音の振動を連想させるが、これは皮膚と深部の体性感覚であって内耳の話ではない。名前の似た語に引きずられないこと。また味覚は唾液に溶けて感じるが、唾液は外分泌腺の分泌物でリンパ液ではない。
理解を深める
内耳の液体が関わることが、めまいと難聴が同時に起こる理由を説明する。メニエール病は内リンパが過剰に溜まる内リンパ水腫が原因とされ、回転性めまい・難聴・耳鳴りが反復する。半規管に耳石が迷い込むと良性発作性頭位めまい症になり、頭を動かしたときだけ短時間のめまいが起こる。カロリック検査(外耳道に冷水や温水を入れて内リンパに対流を起こす)で前庭機能を調べられるのも、内リンパの動きが刺激になるという仕組みを利用している。
間違えやすい考え方
感覚を5つ並べ、共通の仕組みをもつものを選ばせる型。「どこで・何が動いて・何が受け取るか」を感覚ごとに整理しておく。
5分で振り返る
内耳=骨迷路のなかに膜迷路。骨迷路と膜迷路のあいだが外リンパ、膜迷路内が内リンパ。聴覚=耳小骨→前庭窓→外リンパの波→基底板→コルチ器の有毛細胞。平衡感覚=半規管(内リンパの動きで回転加速度)+前庭の卵形嚢・球形嚢(耳石の動きで重力と直線加速度)。嗅覚と味覚は化学物質の受容、振動感覚は体性感覚(深部感覚)。
1分チェック
- 内耳を満たす2種類の液体は何か
- 聴覚の受容器は何というか
- 半規管と前庭はそれぞれ何を感じるか
- 振動感覚はどの分類に入るか
この問題に対応する教材の確認中です。