労働者災害補償保険法に規定されているのはどれか。2つ選べ。
公式正答:1・5
解説
労働者災害補償保険法に規定されているものを2つ問う。通勤災害時の療養給付と、業務上の事故による介護補償給付である。
この問題で問われていること
労働保険の2つの制度を区別できるか。
しくみから理解する
労働者災害補償保険は、業務上の事由、複数の事業の業務を要因とする事由、または通勤による、労働者の負傷、疾病、障害、死亡に対して、保険給付を行う制度になる。給付は、①療養(補償)給付、②休業(補償)給付、③障害(補償)給付、④遺族(補償)給付、⑤葬祭料(葬祭給付)、⑥傷病(補償)年金、⑦介護(補償)給付、⑧二次健康診断等給付になる。したがって、通勤災害時の療養給付と、介護補償給付は、いずれもこの法律に規定される。
選択肢ごとの確認
失業時の教育訓練給付金は、雇用保険法に規定される。雇用保険の給付は、①求職者給付(基本手当など)、②就職促進給付、③教育訓練給付、④雇用継続給付(高年齢雇用継続給付、介護休業給付)、そして育児休業給付になる。
災害発生時の超過勤務手当は、労働基準法に関わる。時間外労働に対する割増賃金の規定になる。労働者災害補償保険法の給付ではない。
有害業務従事者の健康診断は、労働安全衛生法に規定される。特殊健康診断として、有機溶剤、鉛、特定化学物質、電離放射線、高気圧作業、そして石綿などの業務に従事する労働者に対して行われる。
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混同しやすいポイント
労働に関わる法律を、何を定めるかで整理する。①労働基準法=労働条件の最低基準(労働時間、休憩、休日、賃金、年次有給休暇、女性と年少者の保護)、②労働安全衛生法=職場の安全と健康(安全衛生管理体制、健康診断、面接指導、ストレスチェック、危険有害業務の規制)、③労働者災害補償保険法=業務上と通勤による災害への補償、④雇用保険法=失業と雇用の継続、そして教育訓練への給付、⑤労働契約法、⑥育児・介護休業法、⑦男女雇用機会均等法、⑧労働組合法。誤肢は、②雇用保険、③労働基準法、④労働安全衛生法に関わるものになる。
理解を深める
労働者災害補償保険を整理する。適用=労働者を1人でも使用する事業に適用される(農林水産の一部を除く)。パートタイム、アルバイト、日雇いを含め、すべての労働者が対象になる。保険料=全額を事業主が負担する(労働者の負担はない)。この点が、他の社会保険と大きく異なる。業務災害=業務遂行性(事業主の支配下にあること)と、業務起因性(業務と傷病の間に因果関係があること)の両方を満たす必要がある。通勤災害=住居と就業の場所との間の、合理的な経路と方法による移動が対象になる。逸脱と中断があると原則として対象外だが、日常生活上必要な行為(日用品の購入、病院での受診、選挙、そして家族の介護など)をやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合は、その後の経路に戻れば再び対象になる。給付の名称=業務災害では「〜補償給付」、通勤災害では「〜給付」と、「補償」の有無で区別される(この設問の選択肢も、その区別に沿っている)。過労死等=脳血管疾患と心疾患(長時間労働との関連)、そして精神障害(強い心理的負荷)についても、認定基準にもとづいて労働災害と認められる場合がある。二次健康診断等給付=定期健康診断で、血圧、血中脂質、血糖、そして腹囲または体格指数のすべてに異常の所見が認められた場合、二次健康診断と、その結果にもとづく特定保健指導を無料で受けられる。看護職に関わる労働災害=針刺しと切創、腰痛、感染症、そして暴力とハラスメントによる精神障害。針刺し事故は、①直ちに流水で洗い、②報告し、③曝露源の感染の状況を確認し、④必要な予防措置(B型肝炎ワクチンと免疫グロブリン、ヒト免疫不全ウイルスへの曝露後予防)を速やかに行う。事故の隠蔽は、本人の健康と補償の両面で不利益になるため、報告しやすい体制が重要になる。
間違えやすい考え方
根拠法を問う型で、誤肢が雇用保険・労働基準法・労働安全衛生法に関わるものである。法律ごとに何を定めるかで切る。
5分で振り返る
①労働者災害補償保険の給付=療養、休業、障害、遺族、葬祭料、傷病年金、介護、二次健康診断等の8種類。②業務災害では「〜補償給付」、通勤災害では「〜給付」と、「補償」の有無で区別する。③保険料は全額を事業主が負担する。労働者の負担はない。④労働者を1人でも使用する事業に適用され、パート、アルバイト、日雇いを含むすべての労働者が対象。⑤教育訓練給付金は雇用保険法、超過勤務手当は労働基準法、有害業務従事者の健康診断は労働安全衛生法。⑥業務災害の認定には、業務遂行性と業務起因性の両方が要る。⑦通勤災害では、日常生活上必要な行為をやむを得ず最小限度で行い、経路に戻れば再び対象になる。⑧針刺し事故は、直ちに洗浄し、報告し、曝露源を確認し、予防措置を速やかに行う。
1分チェック
- 労働者災害補償保険法の給付は。→ 業務上と通勤による災害への補償(保険料は全額事業主負担)。
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