次の文を読み、問いに答えよ。A君(7歳、男児)は、サッカークラブに所属している。本日、練習中に転倒して右腕を地面についた後、肘周囲に腫れと強い痛みが生じたため、父親と救急外来を受診した。エックス線撮影の結果、右側の上腕骨顆上骨折〈supracondylarfractureofhumerus〉と診断され、非観血的整復とギプス固定が行われることになった。A君は不安な表情で父親と処置室の前で待っている。
退院時、A 君は「明日から学校に行けるかな」と看護師に質問した。看護師は、 学校には行けることを伝えた後、学校生活における注意点を説明することにした。 A 君への説明で適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
右上肢にギプス固定をした7歳男児の学校生活における注意点の説明を問う。「ギプスをぶつけないようにしてね」である。
この問題で問われていること
子どもに伝わる形で、必要なことを伝えられるか。
しくみから理解する
ギプスをぶつけると、①ギプスが割れて固定の効果が失われる、②衝撃が骨折部に伝わり、整復した位置がずれる、③痛みが生じる、という問題が起こる。学校では、①教室での移動、②休み時間の遊び、③他の子どもとの接触、④階段、⑤かばんの持ち運びなど、ぶつける機会が多い。したがって、この注意を、本人が分かる言葉で伝えることが適切になる。加えて、周囲の子どもと担任にも、状況を伝えて配慮を求める。
選択肢ごとの確認
「右手の指は使わないでね」は誤りになる。ギプスの外に出ている手指は、①動かすことで血流が保たれ、②浮腫が軽減し、③筋力と関節の動きが保たれる。したがって、積極的に動かすよう伝える。使わないでいると、拘縮と筋力の低下を招く。
「ギプスは濡れても大丈夫だよ」も誤りになる。ギプスが濡れると、①強度が落ちて固定が失われる、②中が乾かず、皮膚がふやけて感染と皮膚障害を起こす、③においが生じる。入浴時はビニールで覆い、手洗いの際も注意する。濡れた場合は、速やかに医療機関へ相談する。
「体育の授業は休まなくてもいいよ」も誤りになる。骨折の治癒には数週間を要し、その間、患部に負担をかけてはならない。体育の参加については、医師の指示にもとづいて、見学または一部の参加とする。学校へは、診断書または連絡により、参加できる範囲を伝える。
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混同しやすいポイント
誤肢は、①動かすべきものを制限する、②濡らしてよいとする、③負担をかけてよいとする、の3つになる。ギプス固定中の生活指導の柱は、①ぶつけない、②濡らさない、③中に物を入れない、④固定していない関節は動かす、⑤挙上する、⑥異常があれば受診する、になる。加えて、子どもへ伝える際は、①「〜しないでね」だけでなく「〜していいよ」も伝える、②理由を、その子が分かる形で添える、③守れたことを認める、が大切になる。
理解を深める
小児のギプス固定中の生活を整理する。学校生活への配慮=①担任への連絡(骨折の部位、固定の期間、してよいこととしてはいけないこと、異常時の対応、そして受診の予定)、②体育の参加の範囲、③給食(利き手が使えない場合の配慮。食器、スプーン、そして時間)、④文字を書くこと(利き手の場合、ノートの代わりに配布資料、写真、そして口頭での確認)、⑤トイレと着替え、⑥登下校(かばんの持ち方、混雑、雨の日)、⑦休み時間の過ごし方、⑧周囲の子どもへの説明(本人と保護者の同意を得て。「見せて」と触られることも多いため、あらかじめ伝えておく)。家庭での注意=①睡眠時の体位と、患肢の位置(枕やクッションで挙上する)、②入浴(ビニールで覆う。専用のカバーもある)、③衣服(袖の広いもの、前開き)、④かゆみへの対応(中に物を入れない。冷やす、ギプスの外から軽く叩く、医師に相談する)、⑤におい(濡れた場合と、皮膚のトラブルを示すことがある)、⑥食事(利き手が使えない場合の工夫)。受診が必要な徴候=①指のしびれと動かしにくさ、②色の変化(白い、紫)、③冷たい、④強い痛みと、痛みの増強、⑤腫れの増強、⑥ギプスが緩んだ、割れた、濡れた、⑦中に物を落とした、⑧発熱、⑨においと滲出。子どもへの伝え方=①具体的に(「ぶつけないで」より「ドアや机の角に気をつけてね」)、②理由を添える(「中の骨がくっつくところだから」)、③絵や図を使う、④保護者と一緒に聞いてもらう、⑤本人にも役割を持たせる(「毎日、指を動かすのが君のお仕事」)、⑥できたら認める。
間違えやすい考え方
指導を問う型で、誤肢が制限・濡らす・負担をかけるものである。ギプス固定中の生活の柱で切る。
5分で振り返る
①ギプスをぶつけると、割れて固定が失われ、衝撃が骨折部に伝わり整復した位置がずれる。②学校では、移動、休み時間の遊び、他の子どもとの接触、階段など、ぶつける機会が多い。③ギプスの外に出ている手指は、動かすことで血流が保たれ、浮腫が軽減し、筋力と関節の動きが保たれる。積極的に動かす。④ギプスが濡れると、強度が落ち、皮膚がふやけて感染と皮膚障害を起こす。入浴時はビニールで覆う。⑤骨折の治癒には数週間を要し、体育の参加は医師の指示にもとづく。⑥生活の柱=ぶつけない、濡らさない、中に物を入れない、固定していない関節は動かす、挙上する、異常があれば受診する。⑦受診が必要な徴候=しびれ、動かしにくさ、色の変化、冷たい、強い痛み、腫れの増強、ギプスの緩みと割れ、発熱、におい。
1分チェック
- ギプス固定中の学校生活では。→ ぶつけない(濡らさない、指は動かす)。
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