次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(30歳、初妊婦)は、夫(32歳、会社員)と2人暮らし。身長は160cm、非妊時体重60kgである。妊娠8週の妊婦健康診査を受診し順調な経過と診断された。嘔吐はないが、時々嘔気があると訴え、対処法について質問があった。
A さんは、妊娠34 週4日の妊婦健康診査を受けた。A さんの母は祖母の介護を しており、産後の支援を期待できない。妊婦健康診査後、「産後は夫と2人で子育 てをしていきます。子育てのために何か利用できる制度はありますか」と相談が あった。 産後、A さんの夫が適用となる制度はどれか。
公式正答:1
解説
産後、産婦の夫が適用となる制度を問う。育児休業である。
この問題で問われていること
制度ごとに、対象が誰かを区別できるか。
しくみから理解する
育児休業は、育児・介護休業法にもとづき、原則として1歳に満たない子を養育する労働者が取得できる。男女を問わず対象になり、父母がともに取得することもできる。加えて、①父母がともに取得する場合、子が1歳2か月に達するまで延長できる仕組み、②出生後8週間以内に4週間まで取得できる出生時育児休業(産後パパ育休。2回に分割可能)、③育児休業自体も2回に分割して取得できる仕組み、が設けられている。休業中は、雇用保険から育児休業給付金が支給される。
選択肢ごとの確認
育児時間は、労働基準法にもとづき、生後満1年に達しない生児を育てる女性が、1日2回、各々少なくとも30分、請求できるものになる。対象は女性に限られるため、夫には適用されない。
休日労働の制限は、育児・介護休業法にもとづくもので、小学校就学前の子を養育する労働者が請求できる(時間外労働の制限、深夜業の制限とともに)。男性も対象になるが、この設問は「産後」に子育てをするために利用する制度を尋ねており、休業そのものを可能にする育児休業が最も適合する。
勤務時間の変更は、就業規則と個別の取り決めによるもので、法にもとづく特定の制度としては、育児のための所定労働時間の短縮措置(3歳に満たない子を養育する労働者が対象)と、始業時刻の変更等の措置が該当する。これも男性が利用できるが、産後の期間に夫が子育てに専念するための制度としては、育児休業が中心になる。
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混同しやすいポイント
制度を、①根拠法、②対象(男女、子の年齢)、③内容で整理する。①育児休業=育児・介護休業法。男女。原則1歳まで(延長あり)。②出生時育児休業=同法。出生後8週間以内に4週間まで。③育児時間=労働基準法。女性のみ。生後1年まで。1日2回各30分。④産前産後休業=労働基準法。女性のみ。産前6週間(多胎14週間)、産後8週間(本人が請求し医師が支障ないと認めた場合、6週間経過後は就業可能)。⑤所定労働時間の短縮=3歳まで。⑥時間外労働・深夜業の制限=小学校就学前まで。⑦子の看護休暇=小学校就学前まで、年5日(子が2人以上なら10日)。令和6年の改正で「子の看護等休暇」へ名称が変わり、対象が小学校3年生修了までへ広がった(令和7年4月施行)。名称と対象は同じ版で揃えて覚える。誤肢のうち②が「女性のみ」である点が、この設問の鍵になる。
理解を深める
仕事と育児の両立を整理する。育児休業=①対象=原則として1歳未満の子を養育する労働者(有期雇用の場合も、一定の要件を満たせば取得できる)、②期間=原則1歳まで。保育所に入れないなどの事情があれば1歳6か月、さらに2歳まで延長できる。父母がともに取得する場合は1歳2か月まで(パパ・ママ育休プラス)、③分割=2回まで分割して取得できる、④出生時育児休業=子の出生後8週間以内に、4週間まで、2回に分割して取得できる。労使協定があれば、休業中に就業することも可能(上限あり)、⑤給付=雇用保険の育児休業給付金(休業開始時賃金日額の67%、181日目以降は50%。加えて、出生後の一定期間、父母がともに取得する場合の給付率を引き上げる仕組みが設けられている)、⑥社会保険料の免除。事業主の義務=①制度の周知と、取得の意向の確認(本人または配偶者の妊娠・出産を申し出た労働者に対して、個別に行う)、②雇用環境の整備(研修、相談窓口、事例の収集と提供、方針の周知)、③不利益な取扱いの禁止、④ハラスメントの防止措置、⑤一定規模以上の事業主に対する取得状況の公表。産後の父親の役割=①母体の回復への配慮(産褥期の身体の変化と、無理をさせないこと)、②育児の分担(授乳以外はすべて担える。加えて、搾乳した母乳を与えることもできる)、③家事、④上の子の世話、⑤母親の心の支え(産後うつの予防と早期発見)、⑥父親自身の変化と負担(父親も、生活の変化、睡眠不足、そして役割の重さから、産後に抑うつを経験することが知られている)。看護=①制度を知らせる(知らなければ使えない)、②父親も対象として関わる(両親学級、面会、退院指導)、③夫婦で話し合う機会を促す、④「手伝う」ではなく「共に担う」という視点を共有する。
間違えやすい考え方
制度の対象を問う型で、誤肢に女性限定の制度が混じる。誰が対象かで切る。
5分で振り返る
①育児休業は育児・介護休業法にもとづき、男女を問わず、原則として1歳未満の子を養育する労働者が取得できる。②父母がともに取得する場合は1歳2か月まで延長できる。保育所に入れない等の事情があれば1歳6か月、さらに2歳まで。③出生時育児休業(産後パパ育休)=出生後8週間以内に4週間まで、2回に分割して取得できる。④育児休業も2回に分割できる。⑤雇用保険から育児休業給付金が支給され、社会保険料も免除される。⑥育児時間は労働基準法にもとづき、女性のみが対象。生後1年まで、1日2回各30分。⑦産前産後休業も女性のみ。産前6週間(多胎14週間)、産後8週間。⑧所定労働時間の短縮は3歳まで、時間外労働と深夜業の制限は小学校就学前まで。⑨制度は知らなければ使えない。知らせることが支援になる。
1分チェック
- 産後、夫が使える制度は。→ 育児休業(育児時間は女性のみ)。
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