次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(29歳、初産婦)は、妊娠37週0日で2,780gの男児を正常分娩で出産した。出生後5分の児の状態は、心拍数150/分、四肢を屈曲させて啼泣している。顔面を清拭されると激しく啼泣し、全身はピンク色である。
産褥4日。A さんは、血圧112/80 mmHg、脈拍76/分、Hb 11.2 g/dL、Ht 37.0 %。子宮底を臍下4横指に硬く触れる。悪露は赤褐色で少量。凝血の混入や悪臭は ない。乳房は緊満しており移行乳が分泌している。A さんは「夜中も3時間ごとく らいに授乳をするためほとんど眠れていません」と話している。表情は穏やかであ る。 A さんのアセスメントとして適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
産褥4日、子宮底を臍下4横指に硬く触れ、悪露は赤褐色で少量、乳房は緊満して移行乳が分泌し、睡眠不足だが表情は穏やかな産婦のアセスメントを問う。子宮復古は順調である、である。
この問題で問われていること
産褥の日数ごとの基準と照合できるか。
しくみから理解する
産褥4日の子宮底の高さは、臍下3〜4横指が正常になる。加えて、硬く触れることは、子宮が良好に収縮していることを示す。悪露も、赤色から赤褐色へ移行し、量が減っており、産褥4日の経過に合致する。凝血の混入も悪臭もない。したがって、子宮復古は順調と判断できる。
選択肢ごとの確認
貧血であるとはいえない。ヘモグロビン11.2g/dL、ヘマトクリット37.0%は、分娩後としては許容される範囲になる。妊娠中は循環血漿量が増えて血液が希釈されるため、ヘモグロビンは低めになる。加えて、産褥期には水分が排出されて血液が濃縮されていく。分娩時の出血量にもよるが、この値で直ちに貧血と判断し対応を要するものではない。
産後うつ病であるともいえない。表情は穏やかであり、睡眠不足は、3時間ごとの授乳という新生児の生活リズムによるもので、この時期には当然生じる。産後うつ病を疑うのは、①持続する抑うつ気分と興味の喪失、②強い不安と焦燥、③自責感、④食欲と睡眠の障害(授乳と無関係に眠れない)、⑤児への関心の乏しさ、または過度の心配、⑥希死念慮、といった所見がある場合になる。
乳汁分泌が遅れているともいえない。産褥4日は、初乳から移行乳へ移る時期にあたり、乳房の緊満と移行乳の分泌は、この時期の正常な経過になる。成乳になるのは産褥10日以降になる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、いずれも「正常な経過を異常と読む」ものになる。事例文の数値と所見を、産褥の日数ごとの基準と一つずつ照合すれば、すべて正常の範囲に収まる。この型の設問では、①子宮底の高さ、②悪露の色と量、③乳汁の性状、④バイタルサイン、⑤会陰縫合部、⑥下肢、⑦血液検査、⑧心理状態、という項目を順に確認する。
理解を深める
産褥期の看護を整理する。子宮復古=①子宮底の高さ(分娩直後=臍下2〜3横指、産褥1日=臍高または臍下1横指、2日=臍下1〜2横指、3日=臍下2〜3横指、4日=臍下3〜4横指、5日=臍と恥骨結合の中間、7日=恥骨結合上3横指、10日以降=腹壁から触れない)、②硬さ(硬く触れることが良好な収縮を示す)、③悪露(赤色1〜3日、褐色4〜9日、黄色10日〜3週、白色3〜6週)、④後陣痛。復古を妨げるもの=膀胱の充満、胎盤と卵膜の遺残、子宮筋腫、多胎と巨大児による子宮の過伸展、感染、そして安静のとりすぎ。促すもの=授乳(オキシトシンの分泌)、早期離床、排尿、そして子宮底の輪状マッサージ。乳汁の分泌=①初乳(産褥1〜5日。黄色みを帯び粘稠。免疫グロブリンAとラクトフェリンに富む)、②移行乳(5〜10日)、③成乳(10日以降)。分泌の確立には、①頻回の授乳(1日8回以上)、②正しい吸着(乳輪まで深く含ませる)、③夜間の授乳、④母親の休息と栄養、⑤自信を支えることが重要になる。産褥期の心理=①ルービンによる母親役割の獲得の3段階=ア)受容期(産褥1〜2日。依存的で、自分のことに関心が向く。分娩の体験を語りたがる)、イ)保持期(3〜10日。依存と自立の間。児の世話を学び、できないことに不安を感じやすい)、ウ)解放期(10日以降。新しい役割を受け入れ、自立していく)。②マタニティブルーズ(産褥3〜10日頃。涙もろさ、不安、いらだち。一過性で、多くは2週間以内に軽快する)。③産後うつ病(産後数週間から数か月。2週間を超えて続き、生活に支障をきたす。エジンバラ産後うつ病質問票などで把握する)。看護=①身体の回復の観察、②授乳の支援、③休息の確保(「寝られるときに寝る」ことを勧め、面会と家事の調整を家族と相談する)、④心理的な支援、⑤育児技術の指導、⑥退院後の生活の準備、⑦家族の支援体制の確認。
間違えやすい考え方
アセスメントを問う型で、誤肢が正常な経過を異常と読むものである。日数ごとの基準と照合して切る。
5分で振り返る
①産褥4日の子宮底の高さは臍下3〜4横指が正常。硬く触れることは良好な収縮を示す。②悪露は赤色(1〜3日)から褐色(4〜9日)へ移行し、量が減っており経過に合致する。③ヘモグロビン11.2、ヘマトクリット37.0は分娩後として許容される範囲。妊娠中は血液が希釈されるためヘモグロビンは低めになる。④睡眠不足は3時間ごとの授乳によるもので、この時期に当然生じる。表情は穏やかであり産後うつ病とはいえない。⑤産褥4日は初乳から移行乳へ移る時期。乳房の緊満と移行乳の分泌は正常。成乳は10日以降。⑥復古を妨げるもの=膀胱の充満、胎盤と卵膜の遺残、子宮の過伸展、感染。⑦マタニティブルーズは産褥3〜10日の一過性のもので、2週間を超えれば産後うつ病を疑う。
1分チェック
- 産褥4日の子宮底は。→ 臍下3〜4横指で硬く触れれば順調。
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