健常な成人で心臓壁が最も厚いのはどれか。
公式正答:3
解説
健常な成人で心臓壁が最も厚い部位を問う。左心室である。
この問題で問われていること
壁の厚さが何によって決まるかを説明できるか。
しくみから理解する
心臓の壁の厚さは、その部屋が血液を送り出す先の抵抗(圧)に比例する。左心室は、全身(体循環)へ血液を送り出すため、高い圧(収縮期でおよそ120mmHg)を生み出す必要があり、壁が最も厚くなる(およそ10mm前後)。一方、右心室は肺(肺循環)へ送り出すため、必要な圧は低く(収縮期でおよそ25mmHg)、壁は左心室のおよそ3分の1になる。心房は、隣接する心室へ血液を送るだけであり、壁は最も薄い。
選択肢ごとの確認
右心室は、左心室より薄い。肺循環の抵抗が体循環より低いためになる。
右心房は、心室より薄い。
左心房も、心室より薄い。ただし、右心房よりわずかに厚いとされる。
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混同しやすいポイント
「送り出す先の圧が高いほど壁が厚い」という一本の理屈で並ぶ。①左心室(全身へ)>②右心室(肺へ)>③心房。この理屈は、病態の理解にもつながる。①高血圧と大動脈弁狭窄では、左心室の後負荷が増えて左室肥大が生じる、②肺高血圧と肺塞栓症では、右心室に負荷がかかり右室の肥大と拡大が生じる(肺性心)、③僧帽弁狭窄では、左心房に負荷がかかり左房が拡大し、心房細動と血栓を生じやすくなる。
理解を深める
心臓の構造と循環を整理する。構造=①4つの部屋(右心房、右心室、左心房、左心室)、②4つの弁(三尖弁=右房室弁、肺動脈弁、僧帽弁=左房室弁、大動脈弁)、③心臓壁の3層(心内膜、心筋層、心外膜)、④刺激伝導系(洞結節→心房内の伝導→房室結節→ヒス束→右脚と左脚→プルキンエ線維)。血液の流れ=全身→上大静脈と下大静脈→右心房→三尖弁→右心室→肺動脈弁→肺動脈→肺(ガス交換)→肺静脈→左心房→僧帽弁→左心室→大動脈弁→大動脈→全身。注意=肺動脈には静脈血が、肺静脈には動脈血が流れる(「動脈=動脈血」ではない。心臓から出る血管が動脈、心臓へ戻る血管が静脈になる)。冠循環=大動脈起始部から左右の冠動脈が分岐する。①右冠動脈=右心室、下壁、そして房室結節(多くの人で)、②左冠動脈=左前下行枝(前壁と中隔)と左回旋枝(側壁と後壁)。冠血流は、主に拡張期に流れる(収縮期は心筋の収縮により圧迫される)。したがって、頻脈になると拡張期が短くなり、冠血流が減る。心周期=①等容性収縮期、②駆出期、③等容性弛緩期、④充満期。心音=Ⅰ音(房室弁の閉鎖。収縮期の始まり)、Ⅱ音(半月弁の閉鎖。拡張期の始まり)、Ⅲ音とⅣ音(病的なことが多い)。心拍出量=1回拍出量×心拍数。1回拍出量を決めるもの=①前負荷(拡張末期の容量。静脈還流)、②後負荷(末梢血管抵抗、大動脈の弾性)、③収縮力。心臓の働きを保つ仕組み=フランク・スターリングの法則(心筋は、伸ばされるほど強く収縮する。ただし限度を超えると低下する)、自律神経による調節、そしてホルモンによる調節。
間違えやすい考え方
構造を問う型で、誤肢が他の部屋である。送り出す先の圧で切る。
5分で振り返る
①心臓の壁の厚さは、送り出す先の圧に比例する。②左心室は全身へ送るため最も厚い(およそ10mm前後、収縮期圧はおよそ120mmHg)。③右心室は肺へ送るため薄く、左心室のおよそ3分の1(収縮期圧はおよそ25mmHg)。④心房は隣の心室へ送るだけで最も薄い。⑤高血圧と大動脈弁狭窄では左室肥大、肺高血圧では右室の肥大と拡大(肺性心)、僧帽弁狭窄では左房の拡大が生じる。⑥血液の流れ=全身→大静脈→右心房→三尖弁→右心室→肺動脈→肺→肺静脈→左心房→僧帽弁→左心室→大動脈→全身。⑦肺動脈には静脈血、肺静脈には動脈血が流れる。⑧冠血流は主に拡張期に流れるため、頻脈になると減る。
1分チェック
- 心臓壁が最も厚いのは。→ 左心室(全身へ高い圧で送り出すため)。
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