後腹膜器官はどれか。
公式正答:4
解説
腹膜の後ろに位置する器官が後腹膜器官。腎臓・尿管・副腎・膵臓(大部分)・十二指腸(大部分)・腹大動脈・下大静脈がこれにあたる。
この問題で問われていること
腹膜との位置関係で臓器を分類できるか。腹腔内器官と後腹膜器官の代表を挙げられるか。
しくみから理解する
腹腔の内面と臓器の表面は腹膜という漿膜で覆われている。腹膜に完全に包まれ、腸間膜などで吊られて可動性のある器官を腹腔内器官という(胃・空腸・回腸・横行結腸・S状結腸・肝臓・脾臓)。一方、腹膜の後ろ側にあって前面だけが腹膜に覆われる器官を後腹膜器官という(腎臓・尿管・副腎・膵臓の大部分・十二指腸の下行部以降・上行結腸・下行結腸・腹大動脈・下大静脈)。後腹膜器官は背側に固定されていて可動性が乏しい。 【接地元】人体の構造と機能 第5版 腹膜と腹部臓器、解剖学深掘り編(石川先生・腎臓の構造)、三年解剖学総まとめ(腹部)
選択肢ごとの確認
腹腔内器官。大網と小網に包まれて可動性がある。
腹腔内器官。ただし横隔膜と接する無漿膜野(bare area)だけは腹膜に覆われていない。
腸間膜をもつ腹腔内器官。腸間膜があるからこそ動くことができ、腸重積や腸捻転を起こしうる。
後腹膜腔にあり、前面だけが腹膜に覆われる。脂肪被膜と腎筋膜に包まれて背側に固定されている。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
選択肢2の肝臓は「無漿膜野」があるため引っかけになり得るが、分類としては腹腔内器官。後腹膜器官の代表を語呂などで固定しておくほうが確実(腎・尿管・副腎・膵・十二指腸・上行結腸・下行結腸・大血管)。
理解を深める
この位置関係は臨床所見に直結する。後腹膜の臓器の病変では、痛みが背部へ放散しやすい(膵炎の背部痛、腎結石の側腹部から鼠径部への放散痛)。また後腹膜腔は境界が緩いため出血が広がりやすく、腹部大動脈瘤の破裂や骨盤骨折では大量の後腹膜出血が起こる。腹膜刺激症状(反跳痛・筋性防御)は腹膜が刺激されて出る所見なので、純粋な後腹膜の病変では初期に乏しいこともある。腹腔鏡手術で腎臓にアプローチするとき後腹膜到達法が選べるのも、この解剖に基づく。
間違えやすい考え方
腹部臓器を並べて分類を問う型。後腹膜器官のリストを丸ごと覚えて、選択肢がそこに含まれるかで判定する。
5分で振り返る
腹腔内器官(腹膜に包まれ可動性あり)=胃・空腸・回腸・横行結腸・S状結腸・肝臓・脾臓。後腹膜器官(腹膜の後ろ・背側に固定)=腎臓・尿管・副腎・膵臓(大部分)・十二指腸(下行部以降)・上行結腸・下行結腸・腹大動脈・下大静脈。後腹膜の病変は背部痛として現れやすく、出血が広がりやすい。
1分チェック
- 後腹膜器官を5つ以上挙げられるか
- 腹腔内器官と後腹膜器官の違いは何か
- 腎臓が後腹膜にあることは臨床でどう現れるか
- 肝臓の無漿膜野とは何か
この問題に対応する教材の確認中です。