体温低下を引き起こすのはどれか。
公式正答:2
解説
代謝を高めるホルモンが減れば熱産生も減る。甲状腺ホルモンが不足すると体温が下がる。
この問題で問われていること
ホルモンと代謝・体温の関係を言えるか。どのホルモンが熱産生を上げ、どれが体温と関係しないかを区別する。
しくみから理解する
甲状腺ホルモン(T3・T4)は、ほぼ全身の細胞で基礎代謝率を高める。ミトコンドリアの数と活性を増やし、酸素消費と熱産生を増やす。したがって分泌が低下する甲状腺機能低下症では基礎代謝が落ち、低体温・寒がり・徐脈・体重増加・便秘・無気力といった全身の代謝低下の症状が出る。逆に亢進するバセドウ病では高体温・暑がり・頻脈・体重減少・下痢・発汗過多になる。カテコラミン(アドレナリン・ノルアドレナリン)も代謝を高め、褐色脂肪組織での熱産生を促すので、分泌が増えれば体温は上がる方向に働く。 【接地元】ガイトン生理学 甲状腺代謝ホルモン、人体の構造と機能 第5版 内分泌、三年解剖学総まとめ(内分泌系)
選択肢ごとの確認
代謝を高め、褐色脂肪組織での熱産生も促す。体温は上がる方向。寒冷刺激で分泌が増えるのも産熱のため。
基礎代謝が低下して熱産生が減り、体温が下がる。甲状腺機能低下症では低体温と寒がりが典型症状。
PTHはカルシウム代謝のホルモンで、血中カルシウム濃度を上げる。低下すると低カルシウム血症になりテタニーを起こすが、体温は変わらない。名前が似ているだけで甲状腺ホルモンとは全く別物。
下垂体前葉から出てコルチゾールの分泌を促す。コルチゾールは糖新生や抗炎症に働くが、体温を直接下げるわけではない。
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混同しやすいポイント
甲状腺ホルモンと副甲状腺ホルモンは名前が1文字違いだが役割は全く別。甲状腺ホルモン=代謝、副甲状腺ホルモン=カルシウム。この2つを別物として頭に入れておかないと、内分泌の問題は繰り返し外す。
理解を深める
甲状腺機能の亢進と低下を対で覚えると、多くの症状が導ける。亢進(バセドウ病)=暑がり・多汗・体重減少・頻脈・下痢・手指振戦。低下(橋本病など)=寒がり・低体温・体重増加・徐脈・便秘・無気力・浮腫(粘液水腫)。ここまでは「代謝が速いか遅いか」で説明できる。一方、バセドウ病の眼球突出はこれに当てはまらない。眼窩の線維芽細胞に対する自己免疫性の炎症によるもので、甲状腺機能が正常化しても残存したり進行したりする。代謝による症状と、自己免疫による局所の症状を分けて覚える。新生児のクレチン症(先天性甲状腺機能低下症)は知能と発育に不可逆な影響を及ぼすため、新生児マススクリーニングの対象になっている。
間違えやすい考え方
名前が似たホルモンを並べる型。甲状腺/副甲状腺、ACTH/ADH、オキシトシン/バソプレシンなど、紛らわしい組を意識して整理しておく。
5分で振り返る
甲状腺ホルモン=全身の基礎代謝を高める。低下=低体温・寒がり・徐脈・体重増加・便秘・無気力。亢進=高体温・暑がり・頻脈・体重減少・下痢・多汗。副甲状腺ホルモン(PTH)=血中カルシウムを上げる(骨吸収促進・腎での再吸収・活性型ビタミンD産生)。カテコラミン=代謝亢進と褐色脂肪での熱産生で体温を上げる。ACTH=コルチゾールの分泌を促す。
1分チェック
- 基礎代謝を高めるホルモンは何か
- 甲状腺機能低下症の症状を3つ挙げられるか
- 副甲状腺ホルモンは何を調節するか
- カテコラミンは体温をどちらに動かすか
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