ループ利尿薬について正しいのはどれか。
公式正答:1
解説
ループ利尿薬について正しいものを問う。作用発現が速いである。
この問題で問われていること
作用の部位と、それに伴う特徴を説明できるか。
しくみから理解する
ループ利尿薬は、ヘンレ係蹄の上行脚(太い部分)に作用し、ナトリウム・カリウム・塩素の共輸送体を阻害する。糸球体濾液のナトリウムを最も多く再吸収するのは近位尿細管(およそ3分の2)で、ヘンレ係蹄上行脚はおよそ4分の1である。それでも強力な利尿が得られるのは、この部位が尿の濃縮に必要な髄質の浸透圧勾配を作っており、そこを阻害すると水の再吸収も同時に妨げられるためである。加えて、作用の発現が速い(静脈内投与でおよそ5分、経口でおよそ30分)ことが特徴で、急性心不全と肺水腫の治療において、直ちに効果を要する場面で用いられる。
選択肢ごとの確認
眠前の服用は望ましくない。利尿により夜間の排尿が増え、①睡眠が妨げられる、②夜間の起床により転倒の危険が高まる。したがって、原則として朝、または朝と昼に服用する。加えて、外出の予定がある場合は、時間を考えて服用するよう指導する。
抗不整脈薬として用いられるものではない。ループ利尿薬は、心不全、浮腫(心性、腎性、肝性)、高血圧、そして高カリウム血症と高カルシウム血症の治療に用いられる。むしろ、低カリウム血症を通じて、不整脈を誘発する危険がある。
副作用は高カリウム血症ではなく、低カリウム血症になる。ループ利尿薬は、遠位尿細管へ送られるナトリウムを増やし、そこでのナトリウムとカリウムの交換が促進されるため、カリウムが排泄される。加えて、低ナトリウム血症、低マグネシウム血症、低カルシウム血症、脱水、そして高尿酸血症も生じうる。高カリウム血症を起こすのは、カリウム保持性利尿薬(スピロノラクトンなど)になる。
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混同しやすいポイント
利尿薬を、作用の部位と、カリウムへの影響で整理する。①ループ利尿薬(ヘンレ係蹄上行脚)=最も強力。低カリウム血症。②サイアザイド系(遠位尿細管)=穏やか。低カリウム血症。高血圧の治療に用いる。③カリウム保持性(集合管)=弱いが、カリウムを保持する。高カリウム血症に注意。④炭酸脱水酵素阻害薬(近位尿細管)=緑内障と高山病。⑤浸透圧利尿薬(マンニトール)=脳浮腫と頭蓋内圧の低下。⑥バソプレシン受容体拮抗薬=水のみを排泄する。誤肢は、②服用の時刻、③適応、④電解質への影響を、それぞれ誤っている。
理解を深める
利尿薬の看護を整理する。観察=①尿量と水分出納、②体重(毎日、同じ条件で。体液量の変化を最も鋭敏に反映する)、③浮腫の程度、④血圧と脈拍(起立性低血圧に注意)、⑤脱水の徴候(口渇、皮膚と粘膜の乾燥、頻脈、血圧低下、尿量の減少、意識の変容)、⑥電解質(カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム)、⑦腎機能、⑧症状の改善(呼吸困難、浮腫、体重)。低カリウム血症=①症状=脱力、筋力低下、しびれ、こむら返り、麻痺性イレウス(腹部膨満、便秘)、不整脈(期外収縮、心室頻拍。ジギタリスを併用している場合、中毒を起こしやすくなる)、②対策=カリウムを含む食品(果物、野菜、いも、豆)、カリウム製剤、カリウム保持性利尿薬の併用、③心電図=T波の平坦化、U波の出現、ST低下。指導=①服薬の時刻(朝または朝と昼)、②外出と就寝前の調整(ただし自己判断で中止しない)、③体重の測定と記録、④水分と塩分(心不全では塩分を制限するが、脱水にも注意する。医師の指示による)、⑤起立時の注意、⑥症状(脱力、こむら返り、動悸、めまい)があれば連絡する、⑦トイレに行きやすい環境(夜間の照明、ポータブルトイレ、動線)、⑧転倒の予防。高齢者への注意=①脱水と電解質異常を起こしやすい、②起立性低血圧と転倒、③腎機能の低下により作用が強く出る、④尿失禁と、それを避けるための水分制限、⑤多剤併用。利尿薬は、症状を大きく改善する一方、副作用も生じやすい薬になる。効果と副作用の両方を、毎日の観察で捉えることが看護になる。
間違えやすい考え方
薬の正誤を問う型で、誤肢が時刻・適応・電解質を誤る。作用の部位から導いて切る。
5分で振り返る
①ループ利尿薬は、ヘンレ係蹄上行脚のナトリウム・カリウム・塩素の共輸送体を阻害する。ナトリウムの再吸収を最も多く担うのは近位尿細管(およそ3分の2)で、上行脚はおよそ4分の1。それでも強力な利尿が得られるのは、この部位が髄質の浸透圧勾配を作っており、阻害すると水の再吸収も妨げられるためである。②作用の発現が速い(静脈内で約5分、経口で約30分)。急性心不全と肺水腫で用いる。③眠前の服用は、夜間の排尿により睡眠を妨げ、転倒の危険を高める。原則として朝、または朝と昼。④抗不整脈薬ではない。むしろ低カリウム血症を通じて不整脈を誘発しうる。⑤副作用は低カリウム血症。加えて低ナトリウム、低マグネシウム、低カルシウム、脱水、高尿酸血症。⑥高カリウム血症を起こすのはカリウム保持性利尿薬。⑦低カリウム血症の症状=脱力、こむら返り、麻痺性イレウス、不整脈。心電図でT波の平坦化とU波。⑧体重は体液量の変化を最も鋭敏に反映する。
1分チェック
- ループ利尿薬は。→ 作用発現が速く強力。副作用は低カリウム血症。
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