経口投与後の薬物が初回通過効果を受ける場所はどれか。
公式正答:2
解説
経口投与後の薬物が初回通過効果を受ける場所を問う。肝臓である。
この問題で問われていること
経口投与された薬が、全身へ回るまでの経路を説明できるか。
しくみから理解する
経口投与された薬は、①消化管(主に小腸)で吸収され、②門脈を通って肝臓へ入り、③肝臓で代謝を受けてから、④肝静脈を経て全身の循環へ入る。この、全身へ回る前に肝臓で代謝される現象を初回通過効果という。この効果が大きい薬は、経口では血中濃度が上がりにくく、①投与量を多くする、②別の経路(舌下、直腸、経皮、注射)を用いる、という対応がとられる。
選択肢ごとの確認
胃は、主に薬の崩壊と溶解の場になる。吸収も一部行われるが(酸性の薬)、初回通過効果を受ける場所ではない。
小腸は、吸収の主な場になる。なお、小腸の粘膜にも薬物代謝酵素が存在し、代謝を受けるため、広い意味では初回通過効果に含めることがある。ただし、この効果の中心は肝臓になる。
腎臓は、排泄の主な場になる。代謝を受けた薬と、その代謝物が、糸球体濾過と尿細管分泌により尿へ排泄される。
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混同しやすいポイント
薬物動態の4過程を、場所とともに整理する。①吸収=主に小腸、②分布=血流により全身へ。アルブミンとの結合、③代謝=主に肝臓(薬物代謝酵素による。第1相=酸化、還元、加水分解。第2相=抱合)、④排泄=主に腎臓(一部は胆汁を経て便へ)。初回通過効果を避ける投与経路=①舌下(口腔粘膜から吸収され、直接静脈へ入る。ニトログリセリン)、②直腸(下部の直腸静脈は下大静脈へ入るため、一部は肝を経ない)、③経皮(貼付剤)、④吸入、⑤注射(静脈内、筋肉内、皮下)。
理解を深める
薬物動態を整理する。吸収=①経口=簡便だが、初回通過効果と、消化管の状態(食事、pH、蠕動、他の薬)に影響される、②舌下=速効性。初回通過効果を受けない、③直腸=経口が困難な場合。一部は初回通過効果を受ける、④経皮=持続的。初回通過効果を受けない、⑤吸入=局所に高濃度。全身への影響が少ない、⑥注射=静脈内(最も速く、確実。100%が循環へ入る)、筋肉内、皮下、皮内。分布=①血漿タンパク(アルブミン)との結合。結合型は作用せず、遊離型のみが作用する。低アルブミン血症では遊離型が増え、作用が強く出る、②血液脳関門(脂溶性の薬は通過しやすい)、③胎盤(多くの薬が通過する)、④乳汁。代謝=①主に肝臓。薬物代謝酵素(シトクロムP450)による、②酵素の阻害(グレープフルーツ、一部の抗真菌薬とマクロライド系抗菌薬)=血中濃度が上がる、③酵素の誘導(喫煙、一部の抗てんかん薬と抗結核薬、セント・ジョーンズ・ワート)=血中濃度が下がる、④プロドラッグ(代謝を受けて初めて作用を持つ薬)。排泄=①腎臓(糸球体濾過、尿細管分泌、尿細管再吸収)。腎機能が低下すると、排泄される薬の血中濃度が上がるため、投与量の調整を要する、②胆汁と便(腸肝循環により再吸収されるものもある)、③その他(呼気、汗、乳汁)。半減期=血中濃度が半分になるまでの時間。定常状態に達するまでに、半減期のおよそ4〜5倍の時間を要する。看護に関わる点=①投与の経路と時刻の意味を理解する、②食事との関係(空腹時、食後、食間)、③高齢者と腎肝機能の低下している人では作用が強く出る、④相互作用の確認、⑤効果と副作用の観察、⑥患者への説明。
間違えやすい考え方
薬物動態を問う型で、誤肢が吸収と排泄の場所である。門脈を通って肝へ入るという経路で切る。
5分で振り返る
①経口投与された薬は、小腸で吸収され、門脈を通って肝臓へ入り、そこで代謝を受けてから全身の循環へ入る。これが初回通過効果。②この効果が大きい薬は、経口では血中濃度が上がりにくく、投与量を多くするか、別の経路を用いる。③初回通過効果を避ける経路=舌下(ニトログリセリン)、経皮、吸入、注射。直腸では一部が避けられる。④胃は主に崩壊と溶解の場、小腸は吸収の場、腎臓は排泄の場。⑤薬物動態の4過程=吸収(小腸)、分布(アルブミンとの結合)、代謝(肝臓)、排泄(腎臓)。⑥結合型は作用せず、遊離型のみが作用する。低アルブミン血症では作用が強く出る。⑦酵素の阻害(グレープフルーツ)で血中濃度が上がり、誘導(喫煙、一部の抗てんかん薬)で下がる。⑧定常状態に達するには半減期の4〜5倍の時間を要する。
1分チェック
- 初回通過効果を受けるのは。→ 肝臓(門脈を通って入る)。
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