自力での摂取が困難な成人患者の食事介助で適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
自力での摂取が困難な成人患者の食事介助で適切なものを問う。患者に食事内容が見える位置に食器を配置することである。
この問題で問われていること
食事介助で、なぜ見えることが必要かを説明できるか。
しくみから理解する
食事の内容が見えることには、複数の意味がある。①これから何を食べるかが分かり、心と身体の準備ができる(唾液の分泌、嚥下の準備)、②食欲が刺激される、③自分で選べる(「次は何を食べますか」と尋ねられる)、④食事を「される」ものではなく、自分の行為として体験できる、⑤誤嚥の危険を減らす(何が口に入るか分からないまま入れられると、驚いて誤嚥しやすい)。したがって、見える位置に配置することが適切になる。
選択肢ごとの確認
水分の少ない食べ物を準備することは適切でない。パサパサしたものは、口腔内でまとまらず、咽頭に残留しやすく、誤嚥を招く。適度な水分と、まとまりやすさ(凝集性)のある食品を選ぶ。ただし、さらさらした液体は最も誤嚥しやすいため、必要に応じてとろみをつける。
時間をかけずに次々と食物を口に入れることも適切でない。①嚥下が終わる前に次を入れると、咽頭に食物が溜まり誤嚥する、②咀嚼の時間が確保されない、③本人のペースを無視することになる。一口ごとに、飲み込んだことを確認してから次を入れる(喉頭の挙上、嚥下の音、口腔内が空になったこと)。
患者の下顎が上がるよう高い位置からスプーンを操作することも適切でない。下顎が上がる(頸部が伸展する)と、気道が直線化して誤嚥しやすくなる。スプーンは、正面からやや下の位置で口へ運び、舌の中央に置いて、上唇で取り込んでもらう。これにより、頸部が軽く前屈した姿勢(顎を引いた姿勢)が保たれる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、①食品の性状、②速さ、③スプーンの位置という、いずれも誤嚥の危険を高めるものになる。食事介助の原則は、「誤嚥を防ぎ、本人の主体性を保つ」の2点になる。誤嚥を防ぐ=姿勢、形態、一口量、速さ、確認。主体性を保つ=見せる、選んでもらう、できることは自分で、そしてペースを尊重する。
理解を深める
食事の援助を整理する。準備=①環境(においと音、テレビを消す、周囲の整理、明るさ)、②口腔ケア(食前に行うと、口腔内が刺激され、唾液の分泌と嚥下反射が促される)、③排泄を済ませる、④手を清潔にする、⑤義歯の装着と適合の確認、⑥眼鏡、⑦覚醒の確認(眠い状態では誤嚥する)。姿勢=①座位が基本(椅子に深く座り、足底を床につけ、体幹を安定させる。テーブルの高さは肘が軽く曲がる程度)、②ベッド上では、体幹を30〜60度以上挙上し、頸部を軽く前屈させる(顎を引く)、③片麻痺があれば、健側を下にした側臥位を用いることもある、④膝を軽く曲げてずり落ちを防ぐ、⑤足底の支持。介助=①正面またはやや斜め前から、目線を合わせる(立ったまま上から介助しない。頸部が伸展する)、②何を食べるかを伝える、③一口量を少なく(ティースプーン1杯程度)、④スプーンは舌の中央に置き、上唇で取り込んでもらう、⑤引き抜くときは水平に、⑥飲み込みを確認してから次へ、⑦水分と固形を交互に(交互嚥下)、⑧一口につき2回飲み込んでもらう(複数回嚥下)、⑨むせたら中断し、しっかり咳をしてもらう、⑩食後は30分から1時間、座位を保つ、⑪食後の口腔ケア。観察=摂取量と内容、時間、むせ、湿った声、食物が口腔内に残る、食べ疲れ、体重、そして本人の意欲と楽しみ。誤嚥性肺炎の徴候=発熱、痰の増加、呼吸数の増加、酸素飽和度の低下、活気の低下。高齢者では、典型的な症状が出ないことがあるため、「何となく元気がない」という変化にも注意する。
間違えやすい考え方
介助の方法を問う型で、誤肢がすべて誤嚥の危険を高めるものである。誤嚥を防ぎ主体性を保つで切る。
5分で振り返る
①食事の内容が見えることで、心と身体の準備ができ、食欲が刺激され、自分で選べ、誤嚥の危険も減る。②水分の少ないパサパサしたものは、口腔内でまとまらず咽頭に残留し誤嚥を招く。ただし、さらさらした液体が最も誤嚥しやすく、必要に応じてとろみをつける。③嚥下が終わる前に次を入れると、咽頭に溜まって誤嚥する。一口ごとに飲み込みを確認する。④下顎が上がる(頸部が伸展する)と気道が直線化して誤嚥しやすい。正面からやや下の位置でスプーンを運び、舌の中央に置く。⑤姿勢=座位が基本。ベッド上では30〜60度以上挙上し、頸部を軽く前屈させる。足底を支持する。⑥立ったまま上から介助しない。⑦交互嚥下と複数回嚥下を用いる。⑧食後30分から1時間は座位を保つ。
1分チェック
- 食事介助では。→ 食事内容が見える位置に置く(速く入れない、顎を上げない)。
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