成人の持続点滴静脈内注射のために選択される部位で最も適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
成人の持続点滴静脈内注射のために選択される部位で最も適切なものを問う。前腕内側である。
この問題で問われていること
持続投与に適した血管の条件を挙げられるか。
しくみから理解する
前腕内側(尺側皮静脈と橈側皮静脈の走行する部位)は、①血管が比較的太くまっすぐで、②関節を越えないため、体位と動作により屈曲せず、③固定しやすく、④日常の動作を妨げにくく、⑤観察しやすい、という条件を満たす。したがって、持続的に点滴を行う部位として最も適する。加えて、利き手を避け、患者の生活を妨げない側を選ぶ。
選択肢ごとの確認
足背は、①歩行を妨げる、②静脈炎と血栓を起こしやすい、③下肢の血流が悪い人(糖尿病、末梢動脈疾患)では危険が高い、という理由から、成人では原則として避ける。やむを得ず用いる場合も、可能な限り早く上肢へ変更する。
鼠径は、①中心静脈カテーテルの挿入部位として用いられることはあるが、末梢の持続点滴の部位ではない、②感染の危険が高い(排泄物による汚染)、③体動を妨げる、④深部静脈血栓症の危険がある、という理由から適さない。
肘関節付近は、①関節を越えるため、屈曲により滴下が止まる、②固定が難しい、③屈伸の繰り返しにより血管が傷む、④肘を曲げられず日常の動作を妨げる、という理由から、持続点滴には適さない。採血と、一時的な投与には用いられる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、①歩行を妨げる、②感染の危険が高い、③関節を越える、の3つになる。持続点滴の部位を選ぶ基準=①太く、まっすぐで、弾力がある、②関節を越えない、③利き手を避ける、④患者の生活と体位を妨げない、⑤観察しやすい、⑥固定しやすい、⑦避けるべき部位ではない(麻痺側、乳房切除とリンパ節郭清をした側、シャントのある側、感染と炎症のある部位、点滴が漏れた部位の末梢側、下肢)。静脈血は末梢から中枢へ流れるため、漏出した部位より末梢側に再穿刺すると、輸液が損傷部を通過して再び漏れる。可能なら別の肢を選び、同じ肢しか使えない場合は損傷部位より遠位を避けて、施設の手順と血管の状態に従う。
理解を深める
点滴の管理を整理する。穿刺の実際=①部位の選定、②駆血帯(穿刺部位より7〜10cm中枢側。1〜2分以内)、③消毒(乾くまで待つ)、④10〜20度で刺入、⑤逆血の確認、⑥角度を寝かせて外筒を進める、⑦駆血帯を外す、⑧接続、⑨固定(刺入部が見えるよう透明なドレッシング材で。ループを作って引っ張られないようにする)、⑩日付と時刻の記載。観察=①刺入部(発赤、腫脹、疼痛、熱感、滲出、硬結)、②滴下(速度、閉塞)、③固定の状態、④末梢の循環、⑤患者の訴え(痛み、違和感、腫れ)、⑥全身状態(呼吸困難、浮腫、尿量。過剰な負荷は心不全と肺水腫を招く)。合併症=①血管外漏出(腫脹、疼痛、滴下の不良、逆血の消失。抗がん薬では組織の壊死を招くものがあり、施設の手順に従う)、②静脈炎(機械的=カテーテルの太さと固定、化学的=薬剤のpHと浸透圧、細菌性=汚染)、③血栓、④感染(カテーテル関連血流感染)、⑤空気塞栓、⑥神経損傷。予防=①適切な部位と太さの選択、②清潔操作、③薬剤の希釈と投与速度、④確実な固定、⑤定期的な観察、⑥不要になったら速やかに抜去する。患者への説明=①刺入部の痛みと腫れがあれば知らせる、②引っ張らない、③体位の変え方、④トイレと更衣の方法、⑤滴下が止まったときの対応、⑥アラームの意味。持続点滴は、患者の行動を制限し、睡眠と生活を妨げる。必要性を定期的に見直し、経口摂取が可能になれば早期に終了することも、看護の役割になる。
間違えやすい考え方
部位を問う型で、誤肢が歩行を妨げる・感染の危険が高い・関節を越えるものである。持続に適した条件で切る。
5分で振り返る
①前腕内側は、血管が太くまっすぐで、関節を越えず、固定しやすく、動作を妨げず、観察しやすい。持続点滴に最も適する。②利き手を避け、生活を妨げない側を選ぶ。③足背は、歩行を妨げ、静脈炎と血栓を起こしやすく、下肢の血流が悪い人では危険が高い。④鼠径は感染の危険が高く、体動を妨げる。⑤肘関節付近は、屈曲により滴下が止まり、固定が難しく、血管が傷む。採血と一時的な投与には用いる。⑥避けるべき部位=麻痺側、乳房切除とリンパ節郭清をした側、シャントのある側、感染部位、漏れた部位の末梢側(そこへ入れると輸液が損傷部を通過して再び漏れる)、下肢。可能なら別の肢を選ぶ。⑦観察=刺入部(発赤、腫脹、疼痛、熱感、滲出)、滴下、固定、末梢循環、全身状態。⑧不要になったら速やかに抜去する。
1分チェック
- 持続点滴の部位は。→ 前腕内側(関節を越えず、固定しやすい)。
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