巨赤芽球性貧血〈megaloblastic anemia〉 の原因はどれか。
公式正答:2
解説
巨赤芽球性貧血の原因を問う。ビタミンB12欠乏である。
この問題で問われていること
ビタミンの欠乏と、それによる疾患を対応づけられるか。
しくみから理解する
巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12または葉酸の欠乏により生じる。これらは、デオキシリボ核酸の合成に必要であり、欠乏すると細胞の分裂が進まない。一方、細胞質の成熟は進むため、赤芽球が大きいまま(巨赤芽球)となり、多くは骨髄内で壊される(無効造血)。その結果、大球性の貧血になる。選択肢の中では、ビタミンB12が該当する。
選択肢ごとの確認
ビタミンA欠乏は、夜盲症、眼球乾燥症、そして角膜軟化症を起こす。過剰では、頭蓋内圧の亢進と、妊娠中の胎児の奇形が問題になる。
ビタミンC欠乏は、壊血病を起こす。コラーゲンの合成が障害され、歯肉の出血、皮下出血、創傷治癒の遅延、そして関節痛が現れる。
ビタミンE欠乏は、まれだが、溶血性貧血と神経症状を起こしうる。抗酸化作用を持つ。
ビタミンK欠乏は、出血傾向を起こす。凝固因子(第Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ因子)の合成に必要になる。新生児では、ビタミンK欠乏性出血症(とくに頭蓋内出血)の予防のため、ビタミンK2シロップを投与する。
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混同しやすいポイント
ビタミンの欠乏症を、対で覚える。①ビタミンA=夜盲症、②ビタミンB1=脚気、ウェルニッケ脳症、③ビタミンB2=口角炎、口内炎、④ビタミンB6=末梢神経障害、皮膚炎、⑤ビタミンB12と葉酸=巨赤芽球性貧血(B12では神経症状も)、⑥ビタミンC=壊血病、⑦ビタミンD=くる病(小児)、骨軟化症(成人)、⑧ビタミンE=溶血性貧血、⑨ビタミンK=出血傾向、⑩ナイアシン=ペラグラ(皮膚炎、下痢、認知症)。誤肢は、いずれも別の欠乏症を起こすものになる。
理解を深める
ビタミンを整理する。分類=①脂溶性(A、D、E、K)=脂肪とともに吸収され、体内に蓄積するため、過剰症が問題になる。胆汁の分泌が障害されると吸収が低下する、②水溶性(B群、C)=過剰分は尿へ排泄されるため、過剰症は起こりにくい(一部を除く)が、蓄積しないため継続した摂取が必要になる。ビタミンB12=①供給源=動物性食品(肉、魚、卵、乳製品)。植物性食品にはほとんど含まれないため、厳格な菜食では欠乏しうる、②吸収=胃の壁細胞から分泌される内因子と結合し、回腸末端で吸収される、③欠乏の原因=悪性貧血(自己免疫による内因子の欠乏)、胃切除、回腸の切除と病変、萎縮性胃炎、厳格な菜食、そして一部の薬剤(メトホルミン、プロトンポンプ阻害薬の長期使用)、④体内に数年分の貯蔵があるため、欠乏が現れるまでに時間がかかる、⑤症状=貧血、黄疸、ハンター舌炎、そして神経症状(深部感覚の障害、しびれ、歩行の障害、認知機能の低下)。葉酸=①供給源=緑黄色野菜、レバー、豆類、②貯蔵が少なく、数か月で欠乏しうる、③欠乏の原因=摂取の不足、アルコール依存、妊娠、溶血、そして薬剤(メトホトレキサート、抗てんかん薬)、④妊娠を計画する時期から初期にかけて、神経管閉鎖障害の予防のため、通常の食事に加えて1日400μgの摂取が推奨される。鑑別の重要性=ビタミンB12欠乏に葉酸だけを与えると、貧血は改善しても神経症状が進行する。したがって、どちらの欠乏かを確かめてから治療する。看護=①食事の指導、②治療の継続(悪性貧血では生涯の注射)、③神経症状の観察と転倒の予防、④口腔のケア、⑤原因疾患への対応。
間違えやすい考え方
欠乏症を問う型で、誤肢が別のビタミンの欠乏症である。ビタミンと欠乏症の対で切る。
5分で振り返る
①巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12または葉酸の欠乏による。デオキシリボ核酸の合成が障害され、細胞の分裂が進まない一方、細胞質の成熟は進むため、赤芽球が大きくなる。②大球性の貧血で、骨髄内で壊される(無効造血)ため黄疸も生じる。③ビタミンA欠乏は夜盲症、C欠乏は壊血病、E欠乏は溶血性貧血、K欠乏は出血傾向。④ビタミンB12は動物性食品に含まれ、胃の内因子と結合して回腸末端で吸収される。⑤欠乏の原因=悪性貧血、胃切除、回腸の切除と病変、厳格な菜食。体内に数年分の貯蔵がある。⑥ビタミンB12欠乏では神経症状(深部感覚の障害、歩行の障害)が現れる。葉酸欠乏では出にくい。⑦ビタミンB12欠乏に葉酸だけを与えると、貧血は改善しても神経症状が進行する。鑑別が重要。⑧葉酸は妊娠の計画期から初期に1日400μgが推奨される。
1分チェック
- 巨赤芽球性貧血の原因は。→ ビタミンB12(または葉酸)の欠乏。
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