呼吸音の変化と原因の組合せで正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
呼吸音の変化と原因の組合せで正しいものを問う。肺野での気管支呼吸音の聴取と肺炎である。
この問題で問われていること
正常な呼吸音が、どこで、どう聴こえるかを説明できるか。
しくみから理解する
気管支呼吸音は、本来、胸骨上部と肩甲骨の間(気管と主気管支の上)で聴かれる、高調で強い音になる。末梢の肺野では、通常は肺胞呼吸音(低調で柔らかく、吸気が長い)が聴かれる。肺炎により肺胞が滲出液で満たされると、①肺胞の空気が失われ、②音を伝えやすくなる(含気が減ると音の伝導がよくなる)ため、中枢で生じた気管支呼吸音が、末梢の肺野まで伝わって聴かれるようになる。これを気管支呼吸音化といい、肺の実質が硬くなっている(含気が減っている)ことを示す所見になる。
選択肢ごとの確認
呼気延長と胸水の組合せは誤りになる。呼気の延長は、気道が狭くなる病態で生じる。気管支喘息と慢性閉塞性肺疾患では、呼気時に気道が虚脱し、吐き出すのに時間がかかる。胸水では、貯留した部位で呼吸音が減弱または消失し、打診で濁音を呈する。
呼吸音の減弱と過換気症候群の組合せも誤りになる。過換気症候群では、呼吸が速く深くなるため、呼吸音はむしろ増強する。呼吸音が減弱するのは、①胸水、②気胸、③無気肺、④肺気腫(含気が増えて音が伝わりにくい)、⑤肥満と胸壁の厚さ、⑥浅い呼吸になる。
呼吸音の増強と無気肺の組合せも誤りになる。無気肺では、その部位の肺が虚脱して空気が入らないため、呼吸音は減弱または消失する。
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混同しやすいポイント
呼吸音を、①どこで、②どんな音が、③なぜ聴こえるか、で整理する。誤肢は、①病態と音の対応、②③増強と減弱の方向を、それぞれ誤っている。原則=①空気が入らなければ音は減弱する(胸水、気胸、無気肺)、②含気が減って実質が硬くなれば、中枢の音が伝わりやすくなる(肺炎=気管支呼吸音化)、③気道が狭ければ呼気が延長し、笛のような音が出る(喘息、慢性閉塞性肺疾患)、④液体があれば断続性の音が出る(水泡音)。
理解を深める
呼吸音を整理する。正常な呼吸音=①気管呼吸音(頸部の気管上。最も高調で大きい。吸気より呼気が長い)、②気管支呼吸音(胸骨上部、肩甲間部。吸気より呼気が長い)、③気管支肺胞呼吸音(第2〜3肋間、肩甲骨の間。吸気と呼気がほぼ等しい)、④肺胞呼吸音(末梢の肺野。最も低調で柔らかい。吸気が長く、呼気は短い)。副雑音=①断続性ラ音=ア)水泡音(粗い断続性ラ音。ブツブツ、ゴロゴロ。気道内の分泌物と液体。肺炎、心不全、気管支拡張症)、イ)捻髪音(細かい断続性ラ音。パチパチ、髪をこするような音。虚脱した肺胞が吸気の終わりに開く音。間質性肺炎、肺線維症、初期の心不全)、②連続性ラ音=ア)笛音(高調。ヒューヒュー。細い気管支の狭窄。気管支喘息)、イ)いびき音(低調。グーグー。太い気管支の狭窄と分泌物)、③胸膜摩擦音(胸膜炎。吸気と呼気の両方で、歩くような音)、④喘鳴(気道の狭窄による、聴診器なしでも聴こえる音)。聴診の方法=①静かな環境、②直接皮膚に当てる(衣服の上からは聴かない)、③左右を比較しながら、上から下へ、前面・側面・背面を、④1か所につき1呼吸以上、⑤口を開けて、深くゆっくり呼吸してもらう(過換気にならないよう、途中で休ませる)、⑥呼吸音の減弱と左右差を見逃さない。呼吸のアセスメントの全体=視診(呼吸数、深さ、リズム、胸郭の動きと左右差、努力呼吸、チアノーゼ、ばち指、姿勢)、触診(胸郭の拡張、声音振盪、皮下気腫)、打診(清音、鼓音、濁音)、聴診(呼吸音と副雑音)。加えて、酸素飽和度、血液ガス、そして本人の訴え(息苦しさは主観的なものであり、数値と一致しないことがある)。
間違えやすい考え方
組合せを問う型で、誤肢が病態と音の方向を誤る。空気が入るか、含気が減るかで切る。
5分で振り返る
①気管支呼吸音は、本来、胸骨上部と肩甲間部で聴かれる高調で強い音。末梢の肺野では肺胞呼吸音が聴かれる。②肺炎で肺胞が滲出液に満たされると、含気が減って音を伝えやすくなり、中枢の気管支呼吸音が末梢まで伝わる(気管支呼吸音化)。③呼気の延長は、気道が狭くなる病態(気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患)で生じる。④過換気症候群では呼吸音はむしろ増強する。減弱するのは、胸水、気胸、無気肺、肺気腫。⑤無気肺では、肺が虚脱して空気が入らず、呼吸音は減弱または消失する。⑥副雑音=水泡音(分泌物と液体。肺炎、心不全)、捻髪音(間質性肺炎、肺線維症)、笛音(細い気管支の狭窄。喘息)、いびき音(太い気管支の狭窄)。⑦聴診は直接皮膚に当て、左右を比較しながら行う。
1分チェック
- 肺野で気管支呼吸音が聴かれるのは。→ 肺炎(含気が減り音が伝わりやすくなる)。
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