ヒューマンエラーを起こす人間の特性で認知的特性はどれか。
公式正答:3
解説
ヒューマンエラーを起こす人間の特性で、認知的特性はどれかを問う。同じ作業の連続による注意力低下である。
この問題で問われていること
人間の特性を、認知・生理・心理社会の面で分けられるか。
しくみから理解する
認知的特性とは、人間が情報を受け取り、判断し、記憶し、そして注意を向ける働きに、生まれつき備わっている限界と偏りを指す。①注意は一つのことに向けると他が疎かになる、②同じ作業が続くと注意が低下する(単調な作業では、時間とともに見落としが増える)、③期待していたものを見てしまう(思い込み)、④記憶は変質し、忘れる、⑤同時に扱える情報の量に限りがある、といった特性になる。「同じ作業の連続による注意力低下」は、この認知的特性に当たる。
選択肢ごとの確認
同僚への依存は、心理社会的な特性になる。「誰かが確認してくれているだろう」という思い込みと、責任の分散が背景にある。
睡眠不足による疲労は、生理的な特性になる。疲労、睡眠不足、空腹、体調不良、そして加齢は、身体の状態がエラーの背景になるものになる。
パワーハラスメントによる心理的圧迫も、心理社会的な特性になる。加えて、権威勾配(上位者に対して意見を言いにくい状態)は、気づいた誤りを指摘できない状況を生み、重大な事故の背景として繰り返し報告されている。
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混同しやすいポイント
人間の特性を3つに分ける。①認知的=注意、記憶、判断、知覚の限界(見落とし、思い込み、忘れる、同時にできない)、②生理的=疲労、睡眠不足、体調、加齢、日内変動(深夜帯は最も誤りやすい)、③心理社会的=焦り、慣れ、思い込み、権威勾配、同調、責任の分散、そして組織の風土。誤肢は、①④が心理社会的、②が生理的な特性になる。
理解を深める
ヒューマンエラーを整理する。前提=人は誤る。したがって、①誤らないようにする(教育と注意喚起)だけでは不十分であり、②誤っても事故に至らない仕組み、③誤りを早く見つける仕組み、を作ることが必要になる。エラーの分類=①スリップ(意図は正しかったが、動作を誤った。取り違え、押し間違い)、②ラプス(忘れた。手順を飛ばした)、③ミステイク(判断そのものを誤った。知識と経験の不足、思い込み)、④違反(意図的に手順から外れた。近道行動、慣れ、時間の圧力)。対策の階層(効果の高い順)=①そもそも危険をなくす(薬剤を病棟に置かない)、②間違えられない設計にする(形状と接続の互換性をなくす。輸液と経腸栄養のコネクタを接続できない形にする)、③工学的な対策(機器のロック、警報、バーコードによる照合)、④管理的な対策(手順の標準化、二重の確認、教育)、⑤個人防護具と注意喚起。下へ行くほど、人の努力に依存し、効果が下がる。「気をつける」は、最も効果の低い対策になる。看護の場面で起こりやすいエラー=①患者の取り違え、②薬剤の誤り(種類、量、経路、時間、患者)、③輸液の速度と接続の誤り、④転倒と転落、⑤チューブとカテーテルの誤接続と自己抜去、⑥検体の取り違え、⑦情報の伝達の誤り、⑧医療機器の操作の誤り。防ぐ仕組み=①患者確認(フルネームを本人に名乗ってもらい、ネームバンドと照合する)、②6つの正しい確認、③指差し呼称と復唱、④中断されない環境(薬剤の準備中は話しかけない仕組み)、⑤バーコードによる照合、⑥標準化、⑦報告と共有、⑧疲労と人員の管理。深夜帯と、業務が重なる時間帯にエラーが増えることは繰り返し示されており、人の配置と業務の設計そのものが、安全に直結する。
間違えやすい考え方
特性の分類を問う型で、誤肢が心理社会的と生理的な特性である。注意・記憶・判断の限界かどうかで切る。
5分で振り返る
①認知的特性=情報を受け取り、判断し、記憶し、注意を向ける働きの限界と偏り。注意は一つに向けると他が疎かになる、同じ作業が続くと注意が低下する、思い込み、記憶の変質、同時に扱える情報の限り。②同僚への依存とパワーハラスメントによる心理的圧迫は心理社会的特性、睡眠不足による疲労は生理的特性。③人は誤るという前提に立ち、誤っても事故に至らない仕組みと、早く見つける仕組みを作る。④エラーの分類=スリップ(動作の誤り)、ラプス(忘れ)、ミステイク(判断の誤り)、違反(意図的な逸脱)。⑤対策は、危険をなくす>間違えられない設計>工学的>管理的>注意喚起の順に効果が高い。「気をつける」は最も効果が低い。⑥権威勾配は、気づいた誤りを指摘できない状況を生む。
1分チェック
- 認知的特性とは。→ 注意・記憶・判断の限界(同じ作業の連続による注意力低下)。
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