経口薬と食品の関係について、正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
経口薬と食品の関係について正しいものを問う。抗ヒスタミン薬はアルコールの摂取によって副作用が出現しやすくなるである。
この問題で問われていること
相互作用の方向(強まるか、弱まるか)を正しく述べられるか。
しくみから理解する
抗ヒスタミン薬(とくに第1世代)は、中枢に移行して眠気と鎮静を起こす。アルコールも中枢を抑制するため、併用すると、①眠気、②注意力と判断力の低下、③ふらつきと転倒、④呼吸の抑制が、相加的または相乗的に強まる。したがって、副作用が出現しやすくなるという記述は正しい。抗ヒスタミン薬を服用中は、飲酒を避け、加えて自動車の運転と危険を伴う作業も避けるよう指導する。
選択肢ごとの確認
テトラサイクリン系抗菌薬は、牛乳の摂取によって吸収が高まるのではなく、低下する。牛乳に含まれるカルシウムと結合してキレートを形成し、吸収されなくなるためになる。ニューキノロン系抗菌薬も同様で、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、そして鉄を含む食品と製剤(制酸薬、鉄剤)との併用を避け、時間をずらす。
非ステロイド性抗炎症薬が炭酸飲料の摂取によって吸収が早まる、という記述も誤りになる。炭酸飲料との明確な相互作用は知られていない。非ステロイド性抗炎症薬で問題になるのは、①胃粘膜の障害(食後に服用し、必要に応じて胃粘膜保護薬を併用する)、②腎機能への影響、③アスピリン喘息、④他の非ステロイド性抗炎症薬との重複になる。
キサンチン系気管支拡張薬(テオフィリン)が納豆の摂取によって副作用が出やすくなる、という記述も誤りになる。納豆が問題になるのはワルファリンで、ビタミンKにより効果が減弱する。テオフィリンで問題になるのは、①喫煙(代謝が促進され、血中濃度が下がる。禁煙すると逆に上がる)、②一部の抗菌薬(マクロライド系、ニューキノロン系。代謝が阻害され、血中濃度が上がる)、③カフェイン(作用が重なる)、④発熱と心不全、肝障害(代謝が低下する)になる。テオフィリンは治療域が狭く、中毒では悪心、嘔吐、頻脈、不整脈、けいれんをきたす。
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混同しやすいポイント
誤肢は、①吸収の方向、②根拠のない組合せ、③薬剤の取り違えという3点になる。代表的な相互作用を確実に覚える。①牛乳・乳製品+テトラサイクリン系とニューキノロン系=吸収が低下、②納豆・クロレラ・青汁+ワルファリン=効果が減弱、③グレープフルーツ+カルシウム拮抗薬=血中濃度が上昇、④アルコール+中枢抑制薬(抗ヒスタミン薬、睡眠薬、抗不安薬、鎮痛薬)=作用が増強、⑤喫煙+テオフィリン=血中濃度が低下、⑥セント・ジョーンズ・ワート+多くの薬=効果が減弱。
理解を深める
薬と生活の関わりを整理する。服薬の時刻=①食前(食事の30分前。食欲を出す薬、糖尿病治療薬の一部、漢方薬)、②食直前(食事の直前。食後の血糖の上昇を抑える薬)、③食後(食事の後30分以内。胃を荒らす薬、吸収がよくなる薬。30分待ってから飲むという意味ではない)、④食間(食事と食事の間、食後2時間程度。空腹時に吸収がよい薬、漢方薬)、⑤就寝前、⑥頓用(症状が出たとき)。この「食間」は「食事の最中」ではない点が、患者に誤解されやすい。指導の要点=①なぜその時刻かを説明する、②飲み忘れたときの対応をあらかじめ伝える(気づいたときに飲むか、その回を飛ばすか。薬により異なる。2回分をまとめて飲まない)、③自己判断で中止しない(とくに副腎皮質ステロイド薬、降圧薬、抗てんかん薬、抗凝固薬、抗うつ薬)、④他の医療機関からの処方と市販薬、健康食品を伝える(お薬手帳を一つにまとめる)、⑤飲みにくさを相談してよいと伝える(大きさ、味、回数、剤形は変えられることがある)、⑥保管(高温と直射日光を避ける。小児の手の届かない場所)、⑦残薬の確認。飲み合わせの説明=「だめです」だけでは守られない。なぜいけないのか、どうすればよいのか(時間をずらす、代わりに何を摂ればよいか)を、具体的に伝える。加えて、患者が「これは薬ではない」と考えて申告しないもの(健康食品、サプリメント、青汁、栄養ドリンク、そして他人からもらった薬)について、こちらから具体的に尋ねる。
間違えやすい考え方
相互作用を問う型で、誤肢が方向を逆にする・根拠がない・薬剤を取り違えるものである。代表的な組合せで切る。
5分で振り返る
①抗ヒスタミン薬(とくに第1世代)は中枢に移行して眠気と鎮静を起こす。アルコールも中枢を抑制するため、併用で眠気、注意力の低下、ふらつき、呼吸抑制が強まる。②服用中は飲酒を避け、運転と危険を伴う作業も避ける。③テトラサイクリン系とニューキノロン系は、牛乳のカルシウムと結合して吸収が低下する。時間をずらす。④納豆が問題になるのはワルファリン(ビタミンKにより効果が減弱)。⑤テオフィリンで問題になるのは、喫煙(血中濃度が低下)、一部の抗菌薬(上昇)、カフェイン、発熱と心不全、肝障害。治療域が狭く、中毒でけいれんをきたす。⑥食間は「食事と食事の間(食後2時間程度)」であり、食事の最中ではない。⑦健康食品とサプリメントは、患者が申告しないことが多いため、こちらから尋ねる。
1分チェック
- 抗ヒスタミン薬とアルコールは。→ 中枢抑制が重なり副作用が強まる。
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