脳梗塞〈cerebral infarction〉による 右片麻痺がある成人患者に用いる日常生活動作〈ADL〉の評価として適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
脳梗塞による右片麻痺がある成人患者に用いる日常生活動作の評価として適切なものを問う。バーセルインデックスである。
この問題で問われていること
尺度が何を測るものかを区別できるか。
しくみから理解する
バーセルインデックスは、基本的日常生活動作を評価する尺度になる。①食事、②車椅子とベッド間の移乗、③整容、④トイレ動作、⑤入浴、⑥歩行(または車椅子の駆動)、⑦階段昇降、⑧更衣、⑨排便の管理、⑩排尿の管理、の10項目を、自立の程度に応じて0、5、10、15点で採点し、合計100点で表す。簡便で、経過を追いやすく、脳血管疾患のリハビリテーションで広く用いられる。
選択肢ごとの確認
ニューヨーク心臓協会の分類は、心不全の重症度を、身体活動の制限の程度により4段階で表すものになる(Ⅰ度=制限なし、Ⅱ度=軽度の制限、Ⅲ度=著しい制限、Ⅳ度=安静時にも症状)。日常生活動作の評価尺度ではない。
ボルグスケールは、運動時の主観的な運動強度(きつさ)を表す尺度になる。6〜20の数値(または修正版として0〜10)で、本人が感じる強さを答える。運動療法と心臓リハビリテーションで、運動の強度を決める際に用いる。
主観的包括的アセスメントは、栄養状態を評価する方法になる。病歴(体重の変化、食事摂取量の変化、消化器症状、身体機能、疾患と栄養必要量の関係)と、身体所見(皮下脂肪の減少、筋肉の消耗、浮腫、腹水)から、栄養状態を3段階(良好、中等度の低栄養、高度の低栄養)で判定する。特別な検査を要さず、ベッドサイドで行える。
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混同しやすいポイント
尺度を、何を測るものかで整理する。①日常生活動作=バーセルインデックス、機能的自立度評価法、②手段的日常生活動作=ロートンの尺度、老研式活動能力指標、③認知機能=改訂長谷川式簡易知能評価スケール、ミニメンタルステート検査、④意識=ジャパン・コーマ・スケール、グラスゴー・コーマ・スケール、⑤心不全=ニューヨーク心臓協会の分類、⑥運動強度=ボルグスケール、⑦栄養=主観的包括的アセスメント、簡易栄養状態評価表、⑧褥瘡の危険=ブレーデンスケール、⑨痛み=数値評価尺度、視覚的評価尺度、⑩抑うつ=老年期うつ病評価尺度、⑪嚥下=反復唾液嚥下テスト、改訂水飲みテスト。
理解を深める
脳血管疾患のリハビリテーションを整理する。評価=①意識、②麻痺の程度(徒手筋力テスト、ブルンストロームステージ)、③筋緊張(痙縮)、④感覚、⑤関節可動域、⑥バランスと座位・立位の保持、⑦歩行、⑧日常生活動作(バーセルインデックス、機能的自立度評価法)、⑨嚥下、⑩高次脳機能(失語、失行、失認、半側空間無視、注意障害、記憶障害、遂行機能障害、社会的行動障害)、⑪気分(脳卒中後のうつは頻度が高い)、⑫疼痛(肩の亜脱臼、肩手症候群、視床痛)。時期=①急性期(発症直後から。全身状態が安定次第、早期に離床を始める。良肢位、関節可動域、体位変換、そして早期のリハビリテーションが、その後の回復を左右する)、②回復期(回復期リハビリテーション病棟。集中的な訓練と、生活の中での実践)、③生活期(在宅と施設。維持と、生活の質の向上)。看護師の役割=①訓練室で獲得した能力を、病棟と自宅の生活で実際に使えるようにする、②できることを奪わない(時間がかかっても本人が行う)、③安全の確保(転倒、誤嚥)、④合併症の予防、⑤意欲を支える(回復の実感、目標の共有、小さな変化を認める)、⑥家族への指導と支援、⑦退院後の生活を見据えた調整。障害の受容=ショック、否認、混乱、努力、そして受容という段階をたどるとされるが、一方向に進むものではない。「頑張れば元に戻る」という期待と、現実との間で揺れ動く時期が長く続く。看護師は、その揺れに付き合いながら、いまできることを共に見つける立場になる。
間違えやすい考え方
尺度を問う型で、誤肢が心不全・運動強度・栄養の尺度である。何を測るものかで切る。
5分で振り返る
①バーセルインデックスは、基本的日常生活動作を評価する尺度。食事、移乗、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降、更衣、排便の管理、排尿の管理の10項目を、0・5・10・15点で採点し、合計100点で表す。②ニューヨーク心臓協会の分類は、心不全の重症度を身体活動の制限で4段階に表す。③ボルグスケールは、運動時の主観的な強度を表す(6〜20、または0〜10)。④主観的包括的アセスメントは、病歴と身体所見から栄養状態を3段階で判定する。⑤機能的自立度評価法は、運動13項目と認知5項目の計18項目を各7段階で評価し、介助の量を表せる。⑥手段的日常生活動作はロートンの尺度、認知機能は改訂長谷川式とミニメンタルステート検査。⑦「できる」能力と「している」活動は異なる。両方を把握する。
1分チェック
- 日常生活動作の評価は。→ バーセルインデックス(10項目、100点満点)。
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