認知症高齢者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。
公式正答:2
解説
認知症高齢者とのコミュニケーションで適切なものを問う。作話があっても話を聞くである。
この問題で問われていること
作話の意味を理解し、関わりを選べるか。
しくみから理解する
作話は、記憶の欠けた部分を、本人が無意識のうちに埋めようとして生じるものになる。嘘をついているのではなく、①記憶の空白を埋めて、②自分の話に一貫性を持たせ、③その場をやり過ごそうとする、本人なりの対処になる。したがって、①否定しない、②訂正しない、③話を聞く、という関わりが適切になる。加えて、作話の内容には、その人が大切にしてきたこと、気がかりなこと、そして不安が表れていることが多く、聞くこと自体が理解につながる。
選択肢ごとの確認
説得するように話すことは適切でない。認知症のある人は、論理的に説明されても、それを理解し記憶にとどめることが難しい。加えて、説得されることは「否定された」という感情として残る(内容は忘れても、感情は残る)。その結果、抵抗と興奮を招く。
一度に多くの情報を伝えることも適切でない。同時に扱える情報の量が減っているため、混乱を招く。①一度に一つ、②短く、③具体的に、④ゆっくり、⑤必要なら繰り返す、という伝え方をする。
同じ内容を繰り返している場合に会話を終了することも適切でない。繰り返しの背景には、①記憶にとどまらない、②不安がある、③気がかりなことがある、④確かめたい、という理由がある。会話を終えることは、その不安に応えないことになる。同じ問いには、初めて聞くように答え、加えて、背景にある不安に目を向ける(「心配なことがありますか」)。
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混同しやすいポイント
誤肢は、①説得する、②情報を詰め込む、③関わりを断つ、の3つになる。認知症のある人とのコミュニケーションの原則は、①否定しない、②急がせない、③一度に一つ、④短く具体的に、⑤正面から目線を合わせて、⑥穏やかな声で、⑦非言語(表情、視線、触れること)を大切にする、⑧感情に応える、⑨その人の世界を尊重する、になる。
理解を深める
認知症のある人との関わりを整理する。理解の前提=①記憶(とくに近時記憶)が失われても、感情は残る。何を言われたかは忘れても、嫌な思いをしたことは残る、②その人には、その人なりの理由と世界がある、③できないことが増える一方で、できることも多く残っている、④環境と関わり方により、症状は大きく変わる。具体的な工夫=①話しかけるとき=正面から、目線を合わせ、名前を呼び、ゆっくり、短く、具体的に。後ろから急に触れない、②聞くとき=最後まで聞く、遮らない、待つ、言葉が出ないときは選択肢を示す、③伝えるとき=一度に一つ、視覚的な手がかり(実物、絵、文字)を添える、④否定しないとき=「違います」ではなく、「そうですか」と受け止め、必要なら話題を移す、⑤環境=静かに、明るく、見当識の手がかり(時計、カレンダー、写真)、なじみの物、⑥感覚=眼鏡と補聴器を使ってもらう(聞こえていないだけのことがある)、⑦時間=急がせない。待つことが最も有効な援助になることが多い。パーソン・センタード・ケア=認知症のある人を、疾患ではなく一人の人として捉え、その人の視点に立ってケアを考える。5つの心理的な欲求=①くつろぎ、②自分らしさ、③結びつき、④たずさわること、⑤共にあること。これらが満たされないとき、行動と心理の症状が現れやすくなる。バリデーション=感情を否定せず、共感し、その人の世界を受け入れる関わり。回想法=昔のことを語ってもらう。遠隔記憶は保たれやすいため、話せる話題になり、自尊心の回復にもつながる。看護師の姿勢=「困った行動」ではなく、「困っている人」として見る。行動の背景を探し、環境と関わりを変える。
間違えやすい考え方
対応を問う型で、誤肢が説得する・詰め込む・断つものである。否定せず聞くという原則で切る。
5分で振り返る
①作話は、記憶の欠けた部分を無意識に埋めようとして生じる。嘘ではなく、本人なりの対処になる。②否定せず、訂正せず、話を聞く。作話の内容には、その人が大切にしてきたことと不安が表れている。③説得は理解されにくく、「否定された」という感情として残り、抵抗と興奮を招く。内容は忘れても感情は残る。④一度に多くの情報を伝えると混乱する。一度に一つ、短く、具体的に、ゆっくり。⑤同じ内容の繰り返しには、記憶にとどまらないこと、不安、気がかりが背景にある。会話を終えず、初めて聞くように答え、背景の不安に目を向ける。⑥正面から目線を合わせ、名前を呼び、後ろから急に触れない。⑦眼鏡と補聴器を使ってもらう(聞こえていないだけのことがある)。⑧「困った行動」ではなく「困っている人」として見る。
1分チェック
- 作話があっても。→ 否定せず話を聞く(説得しない)。
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