A さん(73 歳、女性)は、既往歴はなく自立した生活を送っていた。最近、尿意 を我慢できず尿失禁することがあり、夜間の排尿回数も増えたため、病院を受診し た。その結果、過活動膀胱〈overactive bladder〉と 診断された。A さんへの看護師の指導内容で適切なのはどれか。
公式正答:2
解説
尿意を我慢できず尿失禁することがあり、夜間の排尿回数も増えた73歳女性への指導内容を問う。膀胱訓練を行うである。
この問題で問われていること
切迫性尿失禁への対応を選べるか。
しくみから理解する
過活動膀胱は、①尿意切迫感(急に強い尿意が起こり、我慢できない)を必須とし、②頻尿と夜間頻尿を伴い、③しばしば切迫性尿失禁を伴う症状の集まりになる。膀胱が、十分にたまる前に勝手に収縮することによる。膀胱訓練は、尿意を感じてもすぐにトイレへ行かず、少しずつ我慢する時間を延ばして、膀胱にためられる量を増やしていく方法になる。骨盤底筋訓練と組み合わせると、より効果が高まる。
選択肢ごとの確認
腹筋を鍛えることは、この症状の改善につながらない。むしろ、腹圧をかける動作は、腹圧性尿失禁を悪化させうる。鍛えるべきは骨盤底筋になる。
水分摂取を控えることも適切でない。①脱水を招く(高齢者はもともと脱水になりやすい)、②尿が濃縮されて膀胱を刺激し、かえって症状が悪化する、③尿路感染と結石の危険が高まる、④脳梗塞と心筋梗塞の危険も高まる。適切な量(1日1,500mL程度を目安に、心不全と腎不全がなければ)を摂り、①就寝前の量を減らす、②カフェインとアルコールを控える(利尿と膀胱への刺激)、という調整を行う。
尿意を感じたらすぐトイレに行くことも、この症状には適切でない。すぐに行く習慣が続くと、膀胱がためられる量がさらに減っていく(膀胱の容量が小さくなる)。膀胱訓練は、これと逆の方向を目指す。ただし、訓練は本人の理解と同意のもとで、無理のない範囲で行う。失禁を恐れて外出しなくなる、という悪循環にも注意する。
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混同しやすいポイント
誤肢は、①鍛える場所が違う、②症状を悪化させる、③訓練と逆方向、の3つになる。失禁の型ごとの対応を整理する。①腹圧性=骨盤底筋訓練、体重の管理、②切迫性(過活動膀胱)=膀胱訓練、骨盤底筋訓練、薬物療法、③溢流性=原因の治療と導尿、④機能性=環境の整備と誘導、⑤反射性=間欠的自己導尿。この設問は②に当たる。
理解を深める
過活動膀胱を整理する。原因=①神経因性(脳血管疾患、パーキンソン病、脊髄の障害)、②非神経因性(加齢、骨盤底の脆弱化、前立腺肥大症、原因不明)。有病率は加齢とともに高まり、高齢者では男女とも高い。評価=①症状(尿意切迫感、頻尿、夜間頻尿、切迫性尿失禁)、②排尿日誌(排尿の時刻、量、尿意切迫感、失禁の有無を、3日程度記録する。最も有用な評価になる)、③質問票、④残尿の測定(溢流性の除外)、⑤尿検査(感染と血尿の除外)。治療=①行動療法=ア)膀胱訓練(尿意を感じても、5〜10分我慢することから始め、少しずつ延ばす。排尿の間隔を3〜4時間まで延ばすことを目標にする)、イ)骨盤底筋訓練(骨盤底の筋を締める運動。尿道と肛門を締める感覚。1日数十回、継続する。効果が出るまで数週間から数か月かかることを伝える)、ウ)生活の調整(水分、カフェイン、アルコール、便秘の改善、体重の管理、禁煙)、②薬物療法=抗コリン薬(口渇、便秘、尿閉、緑内障の悪化、認知機能への影響に注意。高齢者では慎重に)、ベータ3受容体作動薬(抗コリン作用が少なく、高齢者に用いやすい)、③その他=ボツリヌス毒素の膀胱内注入、仙骨神経刺激療法。看護=①排尿日誌の記録を支える、②訓練の方法を具体的に指導し、続けられるよう励ます、③生活の調整、④夜間の排尿への対応(足元灯、動線、ポータブルトイレ、転倒の予防。夜間頻尿は転倒と骨折の大きな要因になる)、⑤失禁による皮膚障害の予防、⑥心理的な支援(失禁は、外出と社会参加を控える原因になり、生活の質を大きく下げる。加えて、恥ずかしさから相談できずにいる人が多い。こちらから尋ねることが支援の入口になる)。
間違えやすい考え方
指導を問う型で、誤肢が場所違い・症状の悪化・訓練と逆方向のものである。切迫性への対応で切る。
5分で振り返る
①過活動膀胱は、尿意切迫感を必須とし、頻尿と夜間頻尿を伴い、しばしば切迫性尿失禁を伴う。膀胱が十分にたまる前に収縮することによる。②膀胱訓練は、尿意を感じてもすぐ行かず、我慢する時間を少しずつ延ばして膀胱の容量を増やす方法。骨盤底筋訓練と組み合わせる。③腹筋を鍛えても改善しない。腹圧をかける動作は腹圧性尿失禁を悪化させる。④水分を控えると、脱水、尿の濃縮による膀胱の刺激、尿路感染と結石、そして脳梗塞と心筋梗塞の危険が高まる。1日1,500mL程度を目安に、就寝前を減らし、カフェインとアルコールを控える。⑤尿意を感じてすぐ行く習慣が続くと、膀胱の容量がさらに減る。⑥排尿日誌が最も有用な評価になる。⑦夜間頻尿は転倒と骨折の大きな要因になる。⑧恥ずかしさから相談できない人が多い。こちらから尋ねる。
1分チェック
- 過活動膀胱には。→ 膀胱訓練(水分は控えない)。
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