胸膜腔に存在するのはどれか。
公式正答:4
解説
胸膜腔にはごく少量の漿液が入っていて、呼吸のたびに滑らかに滑る潤滑油の役目をしている。空気が入れば気胸。
この問題で問われていること
体腔を満たす液体の種類を区別できるか。漿液・滑液・粘液の違いを言えるか。
しくみから理解する
肺の表面を覆う臓側胸膜と、胸壁の内面を覆う壁側胸膜のあいだの隙間を胸膜腔という。ここには10〜20mL程度の漿液(胸水)があり、2枚の胸膜が滑り合うのを助けている。胸膜腔の内圧は大気圧より低い陰圧で、この陰圧があるから肺は縮もうとしながらも胸壁に引っ張られて膨らんだ状態を保つ。ここに空気が入ると陰圧が失われ、肺が縮んでしまう(気胸)。液体が異常に溜まれば胸水貯留、血液なら血胸、膿なら膿胸である。滑液は関節腔にある液体、粘液は気道や消化管の粘膜が分泌するもので、いずれも胸膜腔のものではない。 【接地元】人体の構造と機能 第5版 呼吸器系、三年解剖学総まとめ(胸部)、ガイトン生理学 肺の換気
選択肢ごとの確認
関節腔を満たす液体。滑膜から分泌され、関節面の摩擦を減らす。名前が似ているが場所が違う。
正常では存在しない。入れば気胸になる。緊張性気胸では縦隔が圧排されて循環が破綻するため緊急の脱気が要る。
正常では存在しない。あれば血胸で、外傷などによる出血を示す。
10〜20mL程度の漿液があり、胸膜どうしの摩擦を減らす。
気道や消化管の粘膜の杯細胞などが分泌するもの。胸膜腔にはない。
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混同しやすいポイント
漿液・滑液・粘液の3つを場所とセットで覚える。漿液=漿膜(胸膜・心膜・腹膜)の腔、滑液=関節腔、粘液=粘膜の表面。どれも「滑らかにする液」だが、産生する膜と場所が違う。
理解を深める
胸膜腔が陰圧であることは呼吸の仕組みそのものである。吸気では横隔膜が収縮して下がり、外肋間筋が肋骨を挙上して胸郭が広がる。胸膜腔の陰圧がさらに強まり、肺が引き伸ばされて空気が入る。呼気は安静時には筋を使わず、肺と胸郭の弾性で戻るだけ。だから吸気は能動的、安静呼気は受動的である。気胸で陰圧が失われるとこの仕組みが働かなくなる。胸腔ドレナージで水封(ウォーターシール)を使うのは、空気を外へ逃がしつつ外気の逆流を防いで陰圧を回復させるためである。
間違えやすい考え方
似た名前の体液を並べる型。それぞれ「どの膜が出し・どの腔にあるか」で覚えれば全部区別できる。
5分で振り返る
胸膜腔=臓側胸膜と壁側胸膜のあいだ。10〜20mLの漿液が入り摩擦を減らす。内圧は陰圧で、これにより肺が膨らんだ状態を保つ。空気が入れば気胸、血液なら血胸、膿なら膿胸。漿液=漿膜(胸膜・心膜・腹膜)の腔、滑液=関節腔、粘液=粘膜表面。吸気は横隔膜と外肋間筋による能動的な運動、安静呼気は弾性による受動的な運動。
1分チェック
- 胸膜腔にあるのは何か。量はどのくらいか
- 胸膜腔の内圧は大気圧と比べてどうか
- 空気が入るとどうなるか
- 滑液と粘液はそれぞれどこにあるか
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