血圧を上昇させるのはどれか。2つ選べ。
公式正答:1・3
解説
血圧を上昇させるものを2つ問う。セロトニンとバソプレシンである。
この問題で問われていること
血管に対する作用の方向で分けられるか。
しくみから理解する
セロトニンは、血小板に貯蔵され、血管が損傷した際に放出されて、血管を収縮させる。したがって、血圧を上昇させる方向に働く(血管床により反応は異なるが、全体としては収縮性に働く)。バソプレシン(抗利尿ホルモン)は、下垂体後葉から分泌され、①腎の集合管で水の再吸収を促して循環血液量を増やし、②高濃度では血管平滑筋を収縮させる(このため昇圧薬としても用いられる)。したがって、血圧を上昇させる。
選択肢ごとの確認
ヒスタミンは、血管を拡張させ、透過性を亢進させる。したがって、血圧を低下させる。Ⅰ型アレルギーで肥満細胞から放出され、アナフィラキシーショックにおける血圧低下の主要な原因になる。
ブラジキニンも、血管を拡張させ、血圧を低下させる。加えて、疼痛と炎症に関わる。アンジオテンシン変換酵素阻害薬は、この分解を妨げるため、ブラジキニンが蓄積して空咳を起こす。
心房性ナトリウム利尿ペプチドは、心房が伸展されたとき(循環血液量が増えたとき)に分泌され、①ナトリウムと水の排泄を促し、②血管を拡張させることにより、血圧を低下させる。心不全では、心臓への負荷を反映して上昇し、脳性ナトリウム利尿ペプチドとともに、重症度の指標として用いられる。
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混同しやすいポイント
血管への作用で分ける。①収縮させる(血圧を上げる)=ノルアドレナリン、アドレナリン(血管によっては拡張)、アンジオテンシンⅡ、バソプレシン、セロトニン、エンドセリン、トロンボキサンA2、②拡張させる(血圧を下げる)=ヒスタミン、ブラジキニン、一酸化窒素、プロスタサイクリン、心房性・脳性ナトリウム利尿ペプチド、アセチルコリン。誤肢は、いずれも拡張させるものになる。
理解を深める
血圧の調節を整理する。決定する要素=血圧=心拍出量×末梢血管抵抗。心拍出量=1回拍出量×心拍数。したがって、①心臓(拍出量と心拍数)、②血管(抵抗と弾性)、③循環血液量、④血液の粘性、が血圧を決める。調節の仕組み=①神経性(速い。数秒から数分)=圧受容器反射(頸動脈洞と大動脈弓の圧受容器が、血圧の変化を感知し、延髄の血管運動中枢を介して、交感神経と副交感神経を調節する。血圧が下がると、交感神経が優位になり、心拍数と血管抵抗が増す)、化学受容器反射、②体液性(中間。数分から数時間)=レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(腎への血流が減ると、傍糸球体細胞からレニンが分泌され、アンジオテンシノーゲン→アンジオテンシンⅠ→(変換酵素により)アンジオテンシンⅡとなる。アンジオテンシンⅡは、血管を収縮させ、アルドステロンの分泌を促してナトリウムと水の再吸収を増やす)、バソプレシン、カテコールアミン、③腎性(遅い。数時間から数日)=腎による体液量の調節。降圧薬は、これらの仕組みのどこかに働く=①アンジオテンシン変換酵素阻害薬とアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(レニン・アンジオテンシン系)、②カルシウム拮抗薬(血管平滑筋の収縮)、③利尿薬(循環血液量)、④ベータ遮断薬(心拍出量とレニンの分泌)、⑤アルファ遮断薬(血管の収縮)、⑥ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(アルドステロン)。この対応を理解すると、薬の作用と副作用が導ける(例=アンジオテンシン変換酵素阻害薬の空咳は、ブラジキニンの蓄積による。カルシウム拮抗薬の浮腫と顔面紅潮は、血管拡張による)。
間違えやすい考え方
作用の方向を問う型で、誤肢がすべて血管を拡張させるものである。収縮か拡張かで切る。
5分で振り返る
①セロトニンは血小板に貯蔵され、血管の損傷時に放出されて血管を収縮させる。②バソプレシン(抗利尿ホルモン)は、腎で水の再吸収を促して循環血液量を増やし、高濃度では血管を収縮させる。昇圧薬としても用いられる。③ヒスタミンは血管を拡張させ透過性を亢進させる。アナフィラキシーショックにおける血圧低下の主要な原因。④ブラジキニンも血管を拡張させる。アンジオテンシン変換酵素阻害薬による空咳は、その蓄積による。⑤心房性ナトリウム利尿ペプチドは、ナトリウムと水の排泄を促し血管を拡張させる。心不全で上昇し、重症度の指標になる。⑥血圧=心拍出量×末梢血管抵抗。⑦調節=神経性(圧受容器反射。速い)、体液性(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系)、腎性(遅い)。
1分チェック
- 血圧を上げるのは。→ セロトニンとバソプレシン(ヒスタミンとブラジキニンは下げる)。
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