神経性無食欲症 anorexia nervosa で正しいのはどれか。2つ選べ。
公式正答:4・5
解説
神経性無食欲症で正しいものを2つ問う。ボディイメージの歪みがあること、第二次性徴の発現前に発症すると初経は遅れることである。
この問題で問われていること
この疾患の中核と、身体への影響を説明できるか。
しくみから理解する
①ボディイメージの歪みは、この疾患の中核になる。客観的には著しくやせているのに、本人は「太っている」「もっと痩せなければ」と感じる。自分の体重と体型の感じ方が障害されており、これが治療を難しくする最大の要因になる。②低体重と低栄養により、視床下部から下垂体への働きかけが抑えられ、性腺刺激ホルモンの分泌が低下する。その結果、女性では無月経になる。第二次性徴の発現前に発症すれば、初経が遅れる(原発性無月経)。
選択肢ごとの確認
過食と嘔吐を繰り返すのは、神経性過食症の特徴になる(嘔吐などの代償行為を伴わない過食は過食性障害という別の診断で、代償行為の有無で区別する)。ただし、神経性無食欲症にも、①摂食制限型と、②過食・排出型があり、後者では過食と嘔吐がみられる。したがって、「過食と嘔吐を繰り返す」ことが、この疾患を定義する特徴ではない、という意味で誤りになる。両者の区別は、①神経性無食欲症=著しい低体重がある、②神経性過食症=体重は正常またはそれ以上、という点になる。
腸管で吸収不全があるのではない。摂取そのものが不足しているのであり、吸収の機能に問題があるのではない。吸収不全を起こす疾患(クローン病、セリアック病、膵外分泌機能不全)とは、機序が異なる。ただし、長期の低栄養により、腸の粘膜が萎縮し、二次的に吸収の効率が落ちることはある。
男性では性欲が亢進するのではなく、低下する。女性の無月経と同じ機序(性腺刺激ホルモンの低下によるテストステロンの減少)による。
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混同しやすいポイント
誤肢は、①別の疾患の特徴、②機序の誤り、③方向の誤りになる。この疾患の要点=①中核はボディイメージの歪みと、体重増加への強い恐怖、②著しい低体重、③無月経(男性では性機能の低下)、④本人に病識が乏しい、⑤身体の合併症が生命に関わる、⑥治療は身体の管理を優先し、心理的な介入を並行する、になる。
理解を深める
神経性無食欲症を整理する。診断=①有意に低い体重、②体重の増加または肥満になることへの強い恐怖、または体重の増加を妨げる持続的な行動、③自分の体重と体型の感じ方の障害、または低体重の深刻さの認識の欠如。型=①摂食制限型、②過食・排出型(過食と、嘔吐、下剤・利尿薬の乱用)。身体の合併症=①循環(徐脈、低血圧、不整脈、心筋の萎縮、心嚢液の貯留、突然死)、②電解質(低カリウム血症=嘔吐と下剤の乱用による。不整脈の原因になる。低ナトリウム血症、低リン血症)、③内分泌(無月経、成長ホルモンの上昇と作用の低下、甲状腺ホルモンの低下、コルチゾールの上昇、低血糖)、④骨(骨密度の低下と骨折。若年で発症すると、生涯にわたる影響を残す)、⑤消化管(胃排出の遅延、便秘、上腸間膜動脈症候群)、⑥血液(貧血、白血球減少、血小板減少)、⑦皮膚と毛髪(乾燥、産毛の増加、脱毛、手の甲の吐きだこ)、⑧歯(嘔吐による酸蝕)、⑨腎、⑩低体温。死亡率は、精神疾患の中で最も高い部類になる(身体の合併症と自殺による)。治療=①身体の管理を最優先する(生命の危険がある段階では、心理的な介入より身体が先になる)、②再栄養(少量から段階的に。再栄養症候群に注意し、電解質=とくにリンを監視して補充する)、③心理療法(認知行動療法、家族療法)、④薬物療法(併存する抑うつと不安に対して)、⑤入院の適応(著しい低体重、電解質の異常、循環の異常、自殺の危険、外来での改善が見込めない場合)。看護=①治療の枠組みを定め、揺るがせない(食事の時間と量、体重測定の方法、活動の範囲)、②責めず、脅さず、取引をしない、③食べたかどうかで態度を変えない、④食後の観察(嘔吐、過活動)、⑤気持ちを聴く時間を、食事の場面と分けて持つ、⑥本人を疾患として扱い、人格の問題としない、⑦回復の過程で、体重が増えることへの恐怖が強まることを理解する、⑧家族への支援、⑨看護師自身の感情(無力感、腹立たしさ)を自覚し、一人で抱えない。
間違えやすい考え方
疾患の正誤を問う型で、誤肢が別の疾患の特徴・機序・方向を誤る。中核と身体への影響で切る。
5分で振り返る
①ボディイメージの歪みが中核になる。著しくやせているのに「太っている」と感じる。②低体重と低栄養により性腺刺激ホルモンの分泌が低下し、無月経になる。第二次性徴の発現前に発症すれば初経が遅れる(原発性無月経)。③男性では性欲が低下する。同じ機序による。④過食と嘔吐は、神経性過食症の特徴。ただし神経性無食欲症にも過食・排出型がある。区別は、著しい低体重があるかどうか。⑤腸管の吸収不全ではなく、摂取そのものが不足している。⑥合併症=徐脈、低血圧、不整脈、低カリウム血症、無月経、骨密度の低下、貧血、低体温。死亡率は精神疾患の中で最も高い部類になる。⑦治療は身体の管理を最優先する。再栄養では、再栄養症候群に注意し、リンを監視して補充する。⑧体重が増えることへの恐怖が、回復の過程で強まる。
1分チェック
- 神経性無食欲症は。→ ボディイメージの歪みと、低栄養による無月経。
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