次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(64歳、女性、主婦)は、50歳で高血圧症〈hypertension〉と診断され、降圧薬を服用している。栄養指導を受け、食事療法も実施している。趣味はサイクリングと海外旅行である。数か月前からサイクリング中に息苦しさやめまいを感じるようになったため、かかりつけ医から紹介された病院を受診した。外来受診時のバイタルサインは、体温36.8℃、呼吸数24/分、脈拍40/分、血圧96/52mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(roomair)。
その後、A さんにはペースメーカー植込み術が行われ、看護師は退院後の電磁 干渉について説明を行った。A さんからは「生活の中でどのようなことに注意をす れば良いですか」と質問があった。 A さんが最も注意する必要がある状況はどれか。
公式正答:4
解説
ペースメーカー植込み術を受けた患者が、退院後の電磁干渉について最も注意する必要がある状況を問う。電子商品監視装置の通過である。
この問題で問われていること
何が電磁干渉を起こすかを説明できるか。
しくみから理解する
電子商品監視装置は、店舗の出入口に設置され、商品に付けたタグを検知する装置になる。強い電磁界を発するため、①その中で立ち止まる、②寄りかかる、③ゆっくり通る、といった行動により、ペースメーカーが誤作動する可能性がある。したがって、①立ち止まらず、②中央を、③普通の速さで通り抜ける、という指導を行う。同様の注意を要するものとして、空港の金属探知機、そして万引き防止装置がある。
選択肢ごとの確認
新幹線への乗車は、通常は問題にならない。ただし、①車両の連結部と、②一部の座席(電力の供給に関わる装置の近く)では、念のため長時間の滞在を避けるという指導がなされることがある。日常の移動として制限されるものではない。
パーソナルコンピュータの使用も、通常は問題にならない。ただし、①本体を植込み部位に密着させない、②無線通信の機器も同様、という一般的な注意を伝える。
電動アシスト付き自転車での移動も、通常は問題にならない。
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混同しやすいポイント
誤肢は、いずれも日常的に用いるもので、通常は影響がないものになる。電磁干渉の指導では、①避けるべきものを明確にし、②それ以外は普通に生活してよいと伝えることが重要になる。「何が危ないか分からない」状態は、外出と生活を過度に制限し、生活の質を大きく下げる。
理解を深める
ペースメーカーの生活指導を整理する。避けるべきもの、注意すべきもの=①電子商品監視装置と金属探知機(立ち止まらず、普通の速さで中央を通る。金属探知機では、手帳を提示して、別の方法での検査を求められる)、②電磁調理器(一般に、植込み部位から一定の距離=おおむね50cm程度を保てば使用できる。機種により異なるため、取扱説明書と主治医に確認する)、③体脂肪計と低周波治療器(使用しない)、④強い磁石(磁気マットレス、磁気ネックレス、そしてスマートフォンとタブレットのカバーに含まれる磁石にも注意する)、⑤携帯電話(植込み部位から15cm程度離す。反対側の耳で使う。胸ポケットに入れない)、⑥高圧の電線と、大型の発電設備、⑦アマチュア無線の送信機、⑧電気溶接。医療の場面での注意=①磁気共鳴画像(対応した機種であれば、条件付きで撮影できる。必ず事前に確認する)、②電気メス(手術の際は、ペースメーカーがあることを必ず伝える)、③放射線治療、④体外式除細動、⑤ジアテルミー(禁忌)、⑥経皮的電気神経刺激。日常生活=①ペースメーカー手帳を常に携帯する(受診時、空港、そして緊急時に提示する)、②定期的な受診とチェック(電池の残量、リードの状態、作動の記録)、③電池の寿命はおよそ7〜10年。交換の時期が近づくと受診の間隔が短くなる、④植込み側の上肢は、当初(およそ1か月)は肩より上に挙げない。その後は通常に使える、⑤創部と植込み部位の観察(発赤、腫脹、疼痛、突出)、⑥脈拍の自己測定、⑦症状(めまい、失神、動悸、しゃっくりが続く=横隔膜の刺激)があれば受診、⑧運転(一定の条件と手続きがある。医師に確認する)、⑨入浴、運動、旅行は、原則として制限されない。看護=①避けるべきものを具体的に伝える、②それ以外は普通に生活できることを強調する、③手帳の携帯を習慣づける、④家族にも説明する、⑤不安への対応(「機械に頼って生きている」という感覚、故障への恐れ、そして外見の変化)。
間違えやすい考え方
電磁干渉を問う型で、誤肢が通常は影響のないものである。強い電磁界を発するかで切る。
5分で振り返る
①電子商品監視装置(店舗の出入口の万引き防止装置)は強い電磁界を発する。立ち止まる、寄りかかる、ゆっくり通ると誤作動しうる。②立ち止まらず、中央を、普通の速さで通り抜ける。③空港の金属探知機も同様。手帳を提示して別の方法を求める。④新幹線、パーソナルコンピュータ、電動アシスト自転車は、通常は問題にならない。⑤携帯電話は植込み部位から15cm程度離す。胸ポケットに入れない。⑥電磁調理器は、おおむね50cm程度離せば使用できる(機種により異なる)。⑦体脂肪計と低周波治療器は使用しない。強い磁石にも注意する。⑧磁気共鳴画像は、対応機種なら条件付きで撮影できる。必ず事前に確認する。⑨手帳を常に携帯する。⑩入浴、運動、旅行は原則として制限されない。
1分チェック
- ペースメーカーで注意するのは。→ 電子商品監視装置(立ち止まらず普通の速さで通る)。
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