次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(47歳、女性、会社員)は、夫(54歳)と2人暮らし。6か月前から月経不順になり、閉経前の症状と思い様子をみていた。しかし、徐々に普段の月経時の出血量よりも多くなり、下腹部痛が出現してきたため、病院の婦人科外来を受診した。診察後、経腟超音波検査の指示が出され、看護師はAさんに検査について説明することになった。
A さんへの経腟超音波検査の説明で正しいのはどれか。
公式正答:2
解説
月経不順と過多月経、下腹部痛で婦人科外来を受診した47歳女性への、経腟超音波検査の説明で正しいものを問う。検査前に排尿するよう促すである。
この問題で問われていること
検査の方法から、必要な準備を導けるか。
しくみから理解する
経腟超音波検査は、細い探触子を腟内へ挿入し、子宮と卵巣を近い距離から観察する検査になる。膀胱が充満していると、①子宮と卵巣が押し上げられて観察しにくくなる、②検査中に尿意を感じて苦痛になる、③体位を保ちにくい、という問題が生じる。したがって、検査の前に排尿を済ませてもらう。なお、経腹超音波検査では逆に、膀胱を充満させることで、超音波が伝わりやすくなり、子宮と卵巣が観察しやすくなるため、水分を摂って我慢してもらう。この違いが、繰り返し問われる。
選択肢ごとの確認
検査が終了するまで絶飲食にする必要はない。腹部の超音波検査で、胆嚢を観察する場合には絶食を要する(食後は胆嚢が収縮して見えにくくなるため)が、経腟超音波検査では不要になる。
検査は側臥位ではなく、砕石位(内診台での体位)で行う。両下肢を開き、股関節と膝関節を屈曲させた体位になる。
検査後1時間の安静は不要になる。侵襲が少なく、検査後は直ちに日常の活動へ戻れる。少量の出血がみられることがあるが、通常は問題にならない。
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混同しやすいポイント
誤肢は、①不要な絶飲食、②体位の誤り、③不要な安静になる。検査の説明では、①何をするか、②どのくらいかかるか、③何を準備するか、④どんな感じがするか、⑤終わった後どうなるか、を伝える。加えて、この検査は、①羞恥を伴う、②緊張すると腹圧がかかり観察しにくくなる、という点から、プライバシーへの配慮と、リラックスできる声かけが重要になる。
理解を深める
婦人科の検査と看護を整理する。経腟超音波検査=①子宮(大きさ、形、筋腫、内膜の厚さ)、卵巣(腫瘍、嚢胞、卵胞)、そして骨盤内の状態を観察する、②性交の経験がない場合は、経直腸または経腹で行う(必ず確認し、本人の意思を尊重する)、③準備=排尿を済ませる、④体位=砕石位、⑤時間=5〜10分程度。内診=①視診(外陰部、腟、子宮腟部)、②双合診(腟内の指と腹壁の手で、子宮と付属器を触れる)、③腟鏡診。看護=①目的と方法の説明、②排尿、③衣服(脱ぎ着しやすいもの。下半身を覆う布を用いる)、④保温、⑤プライバシー(カーテン、扉、声)、⑥体位の介助と、力を抜くよう促す声かけ、⑦検査中の様子の観察(表情、緊張、疼痛、気分不良)、⑧終了後の説明と、出血の可能性、⑨結果への不安に応える。この事例の症状=①月経不順、②過多月経、③下腹部痛。閉経前の年齢であり、更年期の変化として片づけられやすいが、①子宮筋腫、②子宮腺筋症、③子宮内膜増殖症、④子宮体がん、⑤子宮頸がん、⑥卵巣の腫瘍、といった疾患を除外する必要がある。とくに、①閉経前後の不正出血、②過多月経、③持続する下腹部痛は、悪性腫瘍の可能性を含めて精査する。この患者も、その後の精密検査で子宮体がんと診断されている。子宮体がん=①危険因子=エストロゲンへの曝露(未経産、閉経の遅れ、肥満、多嚢胞性卵巣症候群、エストロゲン単独の補充療法、乳がんに対する抗エストロゲン薬)、そして遺伝性の要因、②症状=不正性器出血(最も多い。閉経後の出血はとくに重要)、③診断=子宮内膜細胞診と組織診、経腟超音波(内膜の肥厚)、磁気共鳴画像、④治療=手術(子宮全摘出、両側付属器切除、リンパ節郭清)、放射線療法、化学療法、ホルモン療法。子宮頸がんとの違い=子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルスの持続感染が原因で、検診と予防接種で予防できる。子宮体がんには、有効な検診の方法が確立していないため、症状(不正出血)での受診が発見の契機になる。
間違えやすい考え方
検査の準備を問う型で、誤肢が不要な絶飲食・体位・安静である。経腟か経腹かで切る。
5分で振り返る
①経腟超音波検査は、探触子を腟内へ挿入し、子宮と卵巣を近くから観察する。②膀胱が充満していると、子宮と卵巣が押し上げられて観察しにくく、尿意による苦痛も生じる。検査前に排尿する。③経腹超音波検査では逆に、膀胱を充満させると超音波が伝わりやすく観察しやすい。④絶飲食は不要(胆嚢の観察では絶食を要する)。⑤体位は砕石位。側臥位ではない。⑥検査後の安静は不要。少量の出血がみられることがある。⑦性交の経験がない場合は、経直腸または経腹で行う。必ず確認し、本人の意思を尊重する。⑧閉経前後の不正出血、過多月経、持続する下腹部痛は、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮体がん、卵巣腫瘍を含めて精査する。⑨子宮体がんの最も多い症状は不正性器出血になる。
1分チェック
- 経腟超音波検査の前には。→ 排尿を済ませる(経腹では膀胱を充満させる)。
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