次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(30歳、初産婦)は妊娠39週3日で陣痛発来し、4時に入院した。その後、陣痛が増強して順調な分娩進行と診断されて、11時45分の診察で子宮口が8cm開大となった。看護師が12時に昼食を配膳にいくとAさんは額に汗をかいて、側臥位で「陣痛がつらくて何も飲んだり食べたりしたくありません」と言っている。陣痛発作時は強い産痛と努責感を訴え、目を硬く閉じて呼吸を止めて全身に力を入れている。
A さんの分娩経過は以下のとおりであった。 2 時00 分 陣痛周期10 分 4 時00 分 入院 15 時00 分 分娩室入室 15 時30 分 子宮口全開大 16 時00 分 自然破水 16 時15 分 児娩出 16 時30 分 胎盤娩出 A さんの分娩所要時間はどれか。
公式正答:3
解説
陣痛周期10分となったのが2時00分、児娩出が16時15分、胎盤娩出が16時30分である産婦の分娩所要時間を問う。14時間30分である。
この問題で問われていること
分娩所要時間の定義を正確に覚えているか。
しくみから理解する
分娩所要時間は、①分娩第1期、②第2期、③第3期の合計になる。すなわち、①陣痛が規則的になった時点(分娩開始)から、②胎盤が娩出されるまでになる。分娩の開始は、①初産婦では陣痛周期が10分以内、または1時間に6回以上になった時点と定義される。この事例では、2時00分に陣痛周期10分となり、16時30分に胎盤が娩出されている。したがって、2時00分から16時30分までの14時間30分になる。
選択肢ごとの確認
12時間30分は、4時00分(入院)から16時30分までの時間になる。分娩の開始は入院の時刻ではない。
14時間15分は、2時00分から16時15分(児娩出)までの時間になる。すなわち、第1期と第2期の合計であり、第3期(胎盤娩出まで)が含まれていない。
16時間30分は、計算そのものが合わない。
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混同しやすいポイント
計算の手順は、①分娩の開始の時刻を特定する(陣痛周期が10分以内になった時点。入院の時刻でも、分娩室に入った時刻でもない)、②胎盤娩出の時刻を確認する、③その差を求める、になる。誤りやすいのは、①開始を入院の時刻とする、②終了を児娩出の時刻とする(第3期を忘れる)、の2点になる。この設問の誤肢は、まさにこの2つの誤りに対応している。
理解を深める
分娩の経過を整理する。分娩の期=①第1期(開口期)=陣痛の開始から子宮口全開大まで。初産婦で10〜12時間、経産婦で4〜6時間。この事例では、2時00分から15時30分までの13時間30分になる、②第2期(娩出期)=全開大から児の娩出まで。初産婦で2〜3時間、経産婦で1〜1.5時間。この事例では、15時30分から16時15分までの45分になる、③第3期(後産期)=児の娩出から胎盤の娩出まで。15〜30分。この事例では、16時15分から16時30分までの15分になる。合計して14時間30分になる。④第4期=胎盤娩出後の2時間。分娩所要時間には含まれないが、出血の危険が最も高い時期として、観察を要する。遷延分娩=分娩の開始から、初産婦で30時間、経産婦で15時間を経過しても児娩出に至らないもの。判定の終点は児娩出であり、胎盤娩出までを数える分娩所要時間とは終点が異なる。原因=①娩出力の異常(微弱陣痛)、②産道の異常(骨盤の狭小、軟産道の強靱)、③娩出物の異常(児の大きさ、胎位と胎向の異常、回旋の異常)。急速遂娩=分娩を速やかに終わらせる必要がある場合に行う。吸引分娩、鉗子分娩、帝王切開。適応=母体の状態の悪化、胎児機能不全、そして分娩の停止。分娩の3要素=①娩出力(陣痛と腹圧)、②産道(骨産道と軟産道)、③娩出物(胎児と付属物)。この3つの適合により、分娩の経過が決まる。看護=①経過の記録(時刻を正確に。後の評価と、次回の分娩の参考になる)、②各期に応じた援助、③産婦への経過の説明(「あとどのくらいか」は最も知りたいことの一つになる。ただし、確約はできないため、いま何が起きているかを伝える)、④疲労と水分、栄養、⑤排尿、⑥胎児の状態の監視、⑦分娩後の観察。
間違えやすい考え方
計算問題で、分娩の開始(陣痛周期10分以内)から胎盤娩出までを求める。入院の時刻と児娩出の時刻ではない。
5分で振り返る
①分娩所要時間=第1期+第2期+第3期。陣痛が規則的(初産婦で10分以内、または1時間に6回以上)になった時点から、胎盤が娩出されるまで。②この事例=2時00分から16時30分までの14時間30分。③入院の時刻(4時00分)から数えない。児娩出(16時15分)で終わりにしない(第3期を忘れない)。④第1期=陣痛開始から全開大まで。初産婦で10〜12時間。⑤第2期=全開大から児娩出まで。初産婦で2〜3時間。⑥第3期=児娩出から胎盤娩出まで。15〜30分。⑦第4期=胎盤娩出後の2時間。所要時間には含まれないが、出血の危険が最も高い。⑧遷延分娩=分娩開始から初産婦で30時間、経産婦で15時間を経過しても児娩出に至らないもの。終点は児娩出で、胎盤娩出までを数える分娩所要時間とは異なる。⑨分娩の3要素=娩出力、産道、娩出物。
1分チェック
- 分娩所要時間は。→ 陣痛周期10分以内になった時点から胎盤娩出まで(第1〜3期の合計)。
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