有害物質を無毒化し排泄する臓器はどれか。
公式正答:2
解説
有害物質を無毒化し排泄する臓器を問う。肝臓である。
この問題で問われていること
臓器ごとの主な働きを区別できるか。
しくみから理解する
肝臓は、体内に入った、あるいは体内で生じた有害な物質を、化学的に変化させて無毒化し、排泄しやすい形へ変える。代表的なものとして、①アンモニアを尿素へ変える(尿素回路)、②薬物と毒物を、酸化・還元・加水分解と抱合により水溶性へ変える、③アルコールをアセトアルデヒドを経て酢酸へ分解する、④ビリルビンを抱合して胆汁へ排泄する、⑤古くなったホルモンを分解する、がある。加えて、肝臓は代謝(糖、蛋白質、脂質)、合成(アルブミン、凝固因子、コレステロール)、貯蔵(グリコーゲン、ビタミン、鉄)、そして胆汁の生成という多くの働きを担う。
選択肢ごとの確認
胃は、食物を貯留し、胃酸とペプシンにより蛋白質の消化を始める。胃酸には殺菌の作用があるが、有害物質を無毒化して排泄する働きは持たない。
膵臓は、消化酵素(アミラーゼ、リパーゼ、トリプシンなど)を含む膵液を分泌し(外分泌)、またインスリンとグルカゴンを分泌して血糖を調節する(内分泌)。解毒の臓器ではない。
大腸は、水分と電解質を吸収し、便を形成して排泄する。腸内細菌により一部のビタミンが産生されるが、解毒の中心ではない。
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混同しやすいポイント
「肝臓=化学工場」という比喩で、その多機能を捉える。代謝、合成、貯蔵、解毒、そして胆汁の生成。誤肢は、いずれも消化に関わる臓器だが、解毒の働きは持たない。なお、腎臓は、血液中の老廃物を濾過して尿として排泄する臓器で、解毒とは働きが異なる(肝臓が化学的に変え、腎臓が物理的に濾して出す、という分担になる)。
理解を深める
肝臓の働きと障害を整理する。働き=①代謝(糖:グリコーゲンの合成と分解、糖新生。蛋白質:アミノ酸の代謝、尿素の合成。脂質:脂肪酸の合成と分解、コレステロールの合成)、②合成(アルブミン、凝固因子、コリンエステラーゼ、リポ蛋白)、③貯蔵(グリコーゲン、脂溶性ビタミン、ビタミンB12、鉄)、④解毒(薬物、アルコール、アンモニア、ホルモン)、⑤胆汁の生成と分泌(脂肪の消化と吸収を助ける)。障害されると=低アルブミン血症(浮腫、腹水)、出血傾向(凝固因子の低下)、黄疸(ビリルビンの処理の障害)、肝性脳症(アンモニアの蓄積)、低血糖、薬物の効果の増強、そして易感染性。検査=AST・ALT(肝細胞の障害)、γ-GT・ALP(胆道系)、総ビリルビン(黄疸)、アルブミン・プロトロンビン時間・コリンエステラーゼ(合成能)、アンモニア(解毒能)。肝臓は再生能力が高く、また予備能も大きいため、障害が進んでも症状が出にくい(沈黙の臓器)。したがって、症状が現れた時点では、既にかなり進行していることが多い。看護では、検査値の推移、出血傾向、意識、腹水と浮腫、そして薬物の代謝への影響(用量の調整、副作用の観察)に注意する。
間違えやすい考え方
臓器の働きを問う型で、誤肢がいずれも消化に関わるが解毒の働きを持たない。肝臓=化学工場で切る。
5分で振り返る
①肝臓は、有害物質を化学的に変化させて無毒化し、排泄しやすい形へ変える。②代表=アンモニア→尿素、薬物と毒物の酸化・還元・加水分解と抱合、アルコール→アセトアルデヒド→酢酸、ビリルビンの抱合。③肝臓の働き=代謝、合成、貯蔵、解毒、胆汁の生成。④胃は消化の開始、膵臓は消化酵素とホルモン、大腸は水分の吸収と便の形成を担う。⑤肝臓が化学的に変え、腎臓が物理的に濾して出すという分担になる。⑥障害されると=低アルブミン血症、出血傾向、黄疸、肝性脳症、低血糖、薬物の効果の増強。⑦再生能力と予備能が大きく症状が出にくい(沈黙の臓器)。
1分チェック
- 有害物質を無毒化する臓器は。→ 肝臓。
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