黄疸のある成人患者にみられる随伴症状はどれか。
公式正答:4
解説
黄疸のある成人患者にみられる随伴症状を問う。掻痒感である。
この問題で問われていること
黄疸に伴う症状を、機序から説明できるか。
しくみから理解する
黄疸では、胆汁の流れが妨げられることにより、胆汁酸が血中に増え、皮膚に沈着して神経の終末を刺激するため、強い掻痒感が生じる。とくに、閉塞性黄疸(胆道の閉塞)で顕著になる。掻痒感は、夜間に強まり、睡眠を妨げ、掻破により皮膚を傷つけて感染を招くこともある。ビリルビンそのものよりも、胆汁酸などの物質が掻痒の原因と考えられている。したがって、黄疸の患者では、皮膚の観察と、掻痒感への対応(保湿、爪を短く切る、綿の衣類、室温を上げすぎない、冷罨法、そして薬物療法)が看護の課題になる。
選択肢ごとの確認
動悸は、不整脈、貧血、甲状腺機能亢進症、心不全、そして不安などで生じる。黄疸に特有の随伴症状ではない。
難聴は、加齢、騒音、突発性難聴、薬剤(アミノグリコシド系抗菌薬、シスプラチン)などで生じる。黄疸とは関係しない。
関節痛は、関節リウマチ、変形性関節症、痛風、そして感染症などで生じる。ウイルス性肝炎の前駆症状として関節痛がみられることはあるが、黄疸そのものの随伴症状ではない。
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混同しやすいポイント
「黄疸=掻痒感」という結びつきを、機序(胆汁酸の皮膚への沈着)とともに覚える。誤肢はいずれも、他の病態で生じる症状になる。黄疸に伴う所見としては、ほかに、眼球結膜と皮膚の黄染、褐色尿(ビリルビン尿)、灰白色便(胆汁が腸へ流れない場合)、そして脂肪の吸収の障害による脂肪便がある。これらを、胆汁の流れという一本の軸で理解する。
理解を深める
黄疸の分類と看護を整理する。分類=①肝前性(溶血性)=赤血球の破壊が亢進し、間接ビリルビンが増える。溶血性貧血、血液型不適合、そして大きな血腫の吸収。便と尿の色は大きく変わらない。②肝細胞性=肝細胞の障害により、取り込み、抱合、排泄のいずれもが障害される。肝炎、肝硬変、薬物性肝障害。直接と間接の両方が増える。③肝後性(閉塞性)=胆管の閉塞により、直接ビリルビンが増える。胆石、胆管癌、膵頭部癌。灰白色便と褐色尿が特徴になる。掻痒感も強い。観察=眼球結膜(最も早く現れる)、皮膚、口腔粘膜。皮膚の黄染は、明るい自然光の下で見る(蛍光灯では分かりにくい)。加えて、尿と便の色、掻痒感、腹痛、発熱(胆管炎ではシャルコーの三徴=発熱、黄疸、右上腹部痛)、体重の減少、そして出血傾向。掻痒感への対応=①皮膚の清潔と保湿(熱い湯を避け、石けんは刺激の少ないものを、こすらない)、②爪を短く切り、掻破による傷を防ぐ(綿の手袋を用いることもある)、③衣類と寝具は綿の柔らかいものを、④室温を上げすぎない、⑤冷罨法、⑥薬物療法(抗ヒスタミン薬、そして胆汁酸に作用する薬)。掻痒感は、患者にとって非常につらい症状であり、睡眠と生活の質を大きく損なうため、軽視せずに対応する。
間違えやすい考え方
随伴症状を問う型で、誤肢が他の病態の症状である。胆汁酸の沈着という機序で切る。
5分で振り返る
①黄疸では、胆汁酸が血中に増えて皮膚に沈着し、神経の終末を刺激して強い掻痒感を生じる。②とくに閉塞性黄疸で顕著。夜間に強まり、睡眠を妨げ、掻破により感染を招く。③黄疸の他の所見=眼球結膜と皮膚の黄染、褐色尿、灰白色便、脂肪便。④分類=肝前性(溶血性、間接ビリルビン)、肝細胞性(直接と間接の両方)、肝後性(閉塞性、直接ビリルビン、灰白色便)。⑤黄染は眼球結膜に最も早く現れ、明るい自然光の下で見る。⑥胆管炎のシャルコーの三徴=発熱、黄疸、右上腹部痛。⑦掻痒への対応=清潔と保湿、爪を短く、綿の衣類、室温を上げすぎない、冷罨法、薬物療法。
1分チェック
- 黄疸に伴うのは。→ 掻痒感(胆汁酸が皮膚に沈着して神経を刺激する)。
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