高齢者の義歯の取り扱い方法で正しいのはどれか。
公式正答:1
解説
高齢者の義歯の取り扱い方法で正しいものを問う。就寝時に外すことである。
この問題で問われていること
義歯の材質と、口腔の衛生の両面から判断できるか。
しくみから理解する
義歯は、就寝時に外すことが原則になる。理由は3つある。①粘膜を休ませる(義歯が常に載っていると、粘膜が圧迫され続け、血流が悪くなって、傷と炎症、そして義歯性口内炎を招く)、②口腔内の清潔を保つ(義歯の下は汚れが溜まりやすく、細菌が増える)、③誤飲と誤嚥を防ぐ(睡眠中に外れて気道へ入る事故がある)。外した義歯は、洗浄して水または義歯洗浄剤に浸けて保管する。ただし、外すことで顎の位置が不安定になる場合や、本人が強く希望する場合など、個別に判断することもある。
選択肢ごとの確認
熱湯で洗浄してはならない。義歯の床は樹脂(レジン)でできており、熱に弱い。熱湯では変形し、合わなくなる。流水と義歯用のブラシで、機械的にこすって洗う。歯磨剤は研磨剤を含み、表面に傷をつけて細菌が付きやすくなるため、義歯には用いない(義歯用の洗浄剤を使う)。
保管時に乾燥させてはならない。乾燥すると、樹脂が変形し、ひび割れることがある。水または義歯洗浄剤に浸けて保管する。水は毎日交換する。
総義歯を外す際は、奥歯を起点にするのではない。前歯の方から、あるいは片側の後方から空気を入れるようにして、吸着を外しながら取り外す。上顎の総義歯は、前歯を持って下方へ引き、後方から空気を入れる。無理に力を加えると、粘膜を傷つけ、また義歯も破損する。
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混同しやすいポイント
義歯の材質(熱と乾燥に弱い樹脂)から、洗浄と保管の方法が導ける。熱湯は変形、乾燥は変形とひび割れ、研磨剤入りの歯磨剤は傷。いずれも「樹脂を傷めない」という一点で判断できる。加えて、就寝時に外すことは、粘膜と口腔の衛生の両方に関わる。
理解を深める
義歯と口腔ケアを整理する。義歯の手入れ=①毎食後に外して流水で洗う、②義歯用ブラシで機械的にこすり洗いする(歯垢は水洗いだけでは落ちない)、③週に数回、義歯洗浄剤に浸けて化学的に洗浄する(カンジダなどの微生物を減らす)、④落として破損しないよう、水を張った洗面器の上で洗う、⑤就寝時は外して水中で保管する。義歯を外した後の口腔=粘膜、舌、そして残っている歯を、やわらかいブラシまたはスポンジブラシで清掃する。義歯があるからといって、口腔ケアが不要になるわけではない。義歯が合わない場合=痛み、外れやすい、噛めない、話しにくいといった訴えがあれば、歯科へつなぐ。体重の変化と加齢により顎堤が変化するため、定期的な調整が必要になる。合わない義歯を我慢して使うと、粘膜の傷、潰瘍、そして食事量の低下を招く。口腔ケアの意義=①誤嚥性肺炎の予防(口腔内の細菌を減らす)、②味覚と食欲の維持、③咀嚼と嚥下の機能の維持、④会話と表情、⑤全身の健康(歯周病と糖尿病、動脈硬化の関連)。要介護高齢者では、口腔ケアにより肺炎の発症と死亡が減ることが示されており、看護の中で最も費用対効果の高いケアの一つとされる。経口摂取をしていない患者でも、口腔内は乾燥して細菌が増えるため、ケアが必要になる。
間違えやすい考え方
取り扱いを問う型で、誤肢が材質と外し方で誤っている。樹脂は熱と乾燥に弱いという一点で切る。
5分で振り返る
①義歯は就寝時に外す。理由=粘膜を休ませる、口腔の清潔を保つ、誤飲と誤嚥を防ぐ。②熱湯は樹脂を変形させる。流水と義歯用ブラシでこすり洗いする。③歯磨剤は研磨剤で表面に傷をつけるため用いない。義歯用洗浄剤を使う。④乾燥させると変形とひび割れを招く。水または洗浄剤に浸けて保管し、水は毎日交換する。⑤総義歯は、前方または片側の後方から空気を入れて吸着を外す。奥歯を起点にしない。⑥義歯を外した後、粘膜・舌・残存歯も清掃する。⑦口腔ケアは誤嚥性肺炎の予防に有効で、経口摂取をしていない患者にも必要になる。
1分チェック
- 義歯は。→ 就寝時に外し、水または義歯洗浄剤に浸けて保管する。
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