正常な心臓で心拍出量が減少するのはどれか。
公式正答:2
解説
心拍出量を決める要素は前負荷・後負荷・収縮力・心拍数の4つ。このうち増えると心拍出量が減るのは後負荷(大動脈圧)だけ。
この問題で問われていること
心拍出量=1回拍出量×心拍数という式と、1回拍出量を決める3要素(前負荷・後負荷・収縮力)の向きを整理できているか。
しくみから理解する
前負荷は心室が収縮する直前にどれだけ血液が入っているか(静脈還流量が増えれば前負荷が増える)で、フランク・スターリングの法則により、心筋が引き伸ばされるほど収縮力が強まって1回拍出量が増える。収縮力そのものが上がっても1回拍出量は増える。後負荷は心室が血液を送り出すときに逆らわなければならない圧で、大動脈圧が高いほど心室は出しにくくなり、1回拍出量が減る。心拍数は掛け算の相手なので、正常範囲での増加は心拍出量を増やす。 【接地元】ガイトン生理学 心拍出量・静脈還流とその調節、人体の構造と機能 第5版 心機能
選択肢ごとの確認
心拍出量=1回拍出量×心拍数なので、正常範囲では心拍数が増えれば心拍出量も増える。ただし極端な頻脈(毎分180回を超えるような)では拡張期が短くなりすぎて心室が充満できず、かえって減る。設問が「正常な心臓で」と断っているのはこの例外を外すため。
後負荷が増える。心室は高い圧に打ち勝って血液を出さねばならず、1回拍出量が減る。
前負荷が増える。フランク・スターリングの法則により心筋が引き伸ばされて収縮力が増し、1回拍出量が増える。
同じ前負荷でもより多く送り出せるようになるので、1回拍出量が増える。交感神経刺激やカテコラミンで起こる。
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混同しやすいポイント
「圧が上がる=勢いよく出る」と直感で考えると2を選べない。後負荷は心臓にとっての抵抗であって、追い風ではなく向かい風。高血圧が続くと心臓が肥大し、やがて心不全に至るのはこのため。
理解を深める
心不全の理解がここから伸びる。前負荷を減らす(利尿薬・血管拡張薬)、後負荷を減らす(降圧薬・ACE阻害薬)、収縮力を上げる(強心薬)、心拍数を整える、というのが治療の4つの軸で、そのまま心拍出量の4要素に対応している。フランク・スターリングの法則も、心不全では曲線が下にずれて、同じ前負荷でも拍出量が伸びなくなる。安静時の心拍出量は成人で毎分約5L、心係数(体表面積あたり)は約3L/分/m²。
間違えやすい考え方
4要素のうち1つだけ向きが逆のものを混ぜる型。「増えると増えるのが3つ、増えると減るのが後負荷だけ」と覚えれば一発で選べる。
5分で振り返る
心拍出量=1回拍出量×心拍数(成人で安静時 約5L/分)。1回拍出量は前負荷・後負荷・収縮力で決まる。前負荷(静脈還流量)が増える→スターリングの法則で拍出量増加。収縮力が上がる→増加。後負荷(大動脈圧)が上がる→減少。心拍数は正常範囲では増えれば心拍出量も増えるが、極端な頻脈では拡張期が短くなり減る。
1分チェック
- 心拍出量を決める4つの要素は何か
- 後負荷が増えると1回拍出量はどうなるか
- フランク・スターリングの法則とは何か
- 安静時の心拍出量はおよそいくらか
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